表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
想造世界  作者: 玲音
第五章 新しい出会い
169/591

こんな生徒会長どうですか?

「やぁ!」

「・・・・シャツの中に何を隠してるんだ?」


「ゲーム機」


「・・・・は?」

「だから、ゲーム機!授業に行くのが嫌だからさ、

亜修羅に懇願して買ってもらったんだ」


「亜修羅?随分と変な名前の奴だな・・・・」


慌てて首を振ると、

謹慎ルームの鍵を閉めて和音君の向かい側に座った。


「気にしないでね。では、やるとしますか!」

「・・・・それをか?」

「当然!二つあるんだしさ、一緒にやろうよ!」


「・・・・カセットは?」

「エルドラ」


鍵がかかっているか確認した後時計を見て時間を把握する。


あっ、エルドラって言うのは「エルドドラゴン」ってゲームを略した名前なんだ。

そのゲームは勇者を育てて7頭のドラゴンを倒し、

その上にいるドラゴンの王様を倒すゲーム。

ちなみに、倒したドラゴンは3体まで仲間にすることが出来るんだ。


最初は渋ってたけど一生懸命頼んで、やっと買ってもらえたゲームなんだ!


「新発売の奴か?」

「あぁ、そんな大声を出さないで!

先生に許しなんてもらってないんだから!」


「お前、生徒会長だろ?いいのかよ?校則を守らないで」

「いいんだよ、先生は嫌いだし生徒会長って言うのも趣味でやっただけだし」


「悪い奴だな・・・・」

「違うよ、僕はいい子だから校則を破るんだ」

「?」

「まっ、始めましょ」


困惑顔の和音君を促してさっそくゲームを始める。

さっきの言葉の意味、あれは自分でもよくわからない。

いい子だから校則を破るって、どう言う意味だろうね。


ゲームを2個買った理由は二つある。一つ目は桜っちとやるため。

二つ目は、こうやって相談に来た生徒と遊ぶため。


当然、学校に許しなんかとってないし僕が勝手にやってることだけど、

相談に来てくれた子はこれをやって楽しんでるみたいだし、

僕の考えはあながち間違ってはいないようだった。


こうやって話をするに当たって

僕が一番大切にしてるのは相手を楽しませることだから、

これも一種の手段だと思えばいいんだ。

たとえ校則を破ってどうこう言われても、

みんなが楽しんでくれればそれが一番だしね。

ゲームを持って来る時点でバレた時のことは考えてるから、覚悟は出来てるんだ。


「・・・・他の奴のデータがあるぞ」


「当たり前じゃん。色んな生徒がやってるんだからさ。

ゲームがあることを知らないのは先生ぐらいだよ。

他の生徒は毎回やりに来てるんだ、生徒会室にね」


「そうなのか」


そんな会話をしながら、マルチプレイを始めたけれど・・・・。


「もしかしてさ和音君って・・・・このゲーム苦手なの?」

「うるさい!」


和音君は毎回ドラゴンに突っ込んで行ってその度に一撃でやられている。

そんな和音君を生かしながら戦っているから結構大変だったりする。

普通ならもう少し慎重に行動するだろうから、僕は和音君を初心者と見た。


それから何分か経つと突然チャイムが鳴り、

一番近くの教室から号令の声が聞こえる。


「あっ、まずい。みんなが出て来た」


とっさに電源を切ると、和音君に怒鳴られる。


「おい、何をやってんだ!」

「何って、みんなが出て来ちゃったんだからさ。仕方ないよ」


ブツブツ怒っている和音君からゲーム機を取り上げてポケットにしまう。

そして、何事もなかったかのように和音君に別れを告げる。


「じゃあ、また今度!」

「・・・・」


急いで生徒会室に戻るとゲーム機を引き出しにしまう。

鍵をかけられるのは先生用の机だからなんだよね。

その理由は、大事な書類とかをしまう為だとか。

でも、僕は違う意味での大切な物を入れてしまってる訳だけど・・・・。


役目を果たして大きく息を吐き出していると

生徒会室の扉が勢いよく開いて、同じクラスの男の子が入って来る。


「おっす!生徒会長!」

「あっ、おはよ。どうしたのさ?」


「実はな、俺の仲間が茸にさらわれたんだ」


「えっ、本当!?そりゃ大変だ!!」

「場所は体育館だ。すぐに来てくれ!」

「わかった。すぐ行くよ!」


このやりとりは日常のことで、僕らの間の遊ぶ誘いみたいなものかな?

普通に「体育館行こうぜ!」って言うよりも面白そうじゃないか?

って、向こうから言って来たのがこのやりとりのきっかけ。


それに僕が乗ってそのやりとりが始まったんだけど、

最初はなんか不自然でやめようかって話にもなったけど、

今ではそれが普通と言うまでになった。


だからいつもの調子で体育館に行ってその光景を見た時、

体が引きつるのを感じた。


そこには、本当に大きな手足の生えた茸がいて、

紫色の花粉を飛ばしながら

集まっている生徒達を捕まえては食べるを繰り返していたんだ。


あれは魔界の人種茸と言って人間のように動いたり話したり感情があったりする、

魔界ではありふれた茸の一種だ。

でも、人間界ではそんなのいないはずのに

なぜ魔界の茸が人間界のとある学校の体育館に?


「おい、何とかしてくれよ。生徒会長!」

「へっ?あっ、む、無理だよ!」

「そこを、何とかしてくれよ!」


僕が躊躇している間にも被害者はどんどん増えて行き、

気付けばさっきの1.5倍ほどの大きさになっていて、

ただでさえ体育館ギリギリの大きさだったものがそれ以上大きくなったせいで、

ギシギシと悲鳴をあげ始めていた。


それと共に凄い音と地響きが起きて、

みんなが悲鳴をあげながら僕らのいる方向に走って来る。


魔界から帰って来て早々こんな自体が起こるとは思っていなかった。

やっぱり、僕は平和と言う言葉とはかけ離れた存在なんだなと実感した。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ