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想造世界  作者: 玲音
第四章 種族争い
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ある意味一番恐ろしい相手

「・・・・知り合いなのか?」

「ええ、まぁ・・・・なんと言いましょうか・・・・そのまんまの意味ですよ」

「そのまんまの意味って言うと・・・・お前は、この女の叔父ってことか?」


「そう言うことです」

「でも、なんで、そんなに気まずそうな顔してんだよ?」

「それは・・・・」


その時、今までずっと黙っていた女が口を開いた。


「優羅叔父さん、そんな顔しないで?これは、叔父さんのせいじゃない。私は、叔父さんが、無事に私の前に現れてくれたことだけで嬉しいの」


「・・・・」

「だから、そんな顔しないで?」


二人の間で何が起こったのか、俺は全くわからないのだが、単純なことではないのだろうなと言うことだけはわかった。しかし、今は、その話は後にしてもらいたい。


「話に割り込んで悪いが、今は、奥にいる得体の知らない奴を倒すことを優先するべきじゃないのか?その後だったら、俺は、もうこの話には割り込まないさ」


「・・・・そうですね。すみません、勝手に話込んでしまいまして・・・・」


「謝るな。何も事情を知らない俺が勝手に割り込んだんだ。むしろ、俺が謝るべきだろう」


「いえ、気にしないで下さい」


何だか、今までと、優羅の態度が少し違っている為、違和感を感じる。いつもは、もっと砕けた感じでイラつかせられることもしばしばあるのだが、今の態度は、目上の人に対して会話するように緊張している感じだ。


「ところで、お前は桜木達といたんだろ?あいつらに何があったのかわかるか?」


俺がそう聞くと、今まで笑顔だった女の顔が、見る見る真っ白になって行くのがわかる。この女の目の前で何が起こったのかわからないが、ショックを受けるようなことだったのだろう。


「・・・・話せば長くなるんですけど・・・・」

「短く頼む」


「あっ、すみません。えっと・・・・私をかくまってくれていた方の愛人・・・・もう、死んでしまってるのですが、その人に、どこか連れて行かれてしまったんです」


「お前は、その間どうしてたんだ?一緒にいたんだろ?」


「はい・・・・でも、とっさに明日夏さんに隠れてろって言われて、あの場所に隠れてたんです」


「・・・・」


俺は口を閉ざすと、深く息を吐いた。と言うことは、桜木達は、霊によってどこかに連れて行かれたと言う訳だ。しかも、その連れて行った奴は、今もここにいるはずだ。この、異様な気がそれを物語っている。


今まで、色んな奴を相手に戦ったことがあるが、さすがに、霊と戦ったことはない。だから、どんな対処をすればいいのかもわからない。


「相手が霊となると、戦いで済ませられるほど単純じゃなさそうですね」

「そうなのか?」


「ええ、無闇に戦ってもこちらの攻撃は当たりません。相手は空も飛べますし、力も、我々みたいに物質的なものではなく、どちらかと言えば魔法と似たようなものなので、下手に戦いを挑んでしまえば、我々の負けは確実でしょう」


「・・・・じゃあ、どうするんだ?」

「話し合うしかなさそうですね」

「・・・・俺の性に合わないな」


「それでも、これも、一種の戦いです。ただ刀を振って相手を痛めつけるだけが、戦いじゃないんですよ。時に、相手の絡まった心を説き解いて、互いに和解しあおうと言う試みも戦いなんです」


「そうだとしても、俺にはむいてなさそうだ。お前にそれは任せる」

「わかりました。それでは、行きましょうか」


そう言って優羅は歩きだすが、なぜか、女は歩き出そうとしない。


「どうしたんだ?」

「いっ、いえ、何も・・・・」

「・・・・怖いのか?」


俺がそう聞くと、女はおずおずと首を縦に振った。確かに、目の前で知り合いが襲われるのを見た後、その襲った相手のところに行くのは怖いだろう。


俺は、地獄監獄に出るまで着ていた黒いマントを、女に投げ渡した。


「これは・・・・?」


「それを着ると、敵から姿を隠すことが出来る。だから、まず、襲われることはないと思うが・・・・もし、何かあったら教えろ」


「あっ、はい」


こんなことで安心するかどうかはわからないが、とりあえずは歩き出した。だから、少しは気持ちを楽にすることが出来ただろうと思った。


「貴方も、中々優しいんですね」

「・・・・優しくはない。ただ、歩いてもらわないと困るからな」


「どんな言い訳をしたとしても、彼女の心を楽にしたのは事実ですよ、そんなに謙遜しないで下さい。彼女のことは、貴方が護って下さいね」


「まぁ、まず、警官が入って来なければ、ここにいるのはその霊だけだから、敵はいないと思うけどな、一応そのつもりではいる。だから、お前は安心して説得をしろ」


「はい」


「ああ、そうだ。小型の通信機をくれないか?あのマントに通信機はついていても、俺がもってないと意味がないからな」


「そうですね、どうぞ」


手渡された通信機を服の襟につけると、大きくため息をついた。


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