仲がいいと言うことは、中々気づきにくいもの
全てを話し終わった時には、もう、一日が経っていた。どうりで疲れたと思っていたが、一日中しゃべっていたらしい。しかも、話を聞いている神羅も、ちゃんと眠らずに俺の言葉に耳を傾けて来るところが凄いと思った。
「なぁ・・・・今思ったんだけどよ、地獄監獄から出て来た部分からは、もう、説明しなくてよかったんじゃないか?」
神羅の最もな言葉に、俺は思わず黙り込む。確かに、あの部分は言わなくてもよかっただろう。神羅がいない時の行動を話すのだから。しかし、ここで肯定すると、負けてしまうような気がして、何とか理由をつけることにした。
「まぁ、そっ、その・・・・あれだ。一応、補足として言っておいたんだ」
「まぁ、あの時、族長が何を思ってるのかと言うのがわかったからいいんだけどな」
「・・・・そっ、そう言うことだ」
「やっと終わりましたか・・・・」
突然、優羅の声が直ぐ近くで聞こえた為、俺は心臓が跳ね上がるほど驚いたが、直ぐに平常心を取り戻し、直ぐ近くに来ていた優羅を睨みつける。
「そんなに睨み付けないで下さいよ、神羅さんは近くにいてもいいけど、私は嫌だと言うんですか?」
優羅の言い方が嫌で、立ち上がって全力で否定する。別に、変な意味はないのだ。ただ、気づかないうちに直ぐ近くにいたから、驚いただけなのだ。
「・・・・そんな言い方するなっ!なんか、気持ち悪いっ!」
俺の言葉に気持ちを害されたようで、神羅も立ち上がって反論する。
「なっ・・・・その言い方はないだろっ!」
「まぁまぁ、落ち着いて下さい。この辺りに家がないからいいですけど、もしここが住宅街でしたら、近所迷惑で、通報されますよ?」
「・・・・まっ、まぁ・・・・『気持ち悪い』って言うのは、確かにまずいと思った。一応謝る。ただ、元々はと言えば、お前が変な言い方をするのがいけないんだろ?」
「別に、私は変な意味で言ったんじゃありませんよ。勝手に勘違いしたのは貴方ですよ?」
「俺のせいにするな!お前がいけないんだ!」
「貴方と行動を共にしていていつも思っていたのですが、貴方は人のせいにすることが多過ぎです!もう少し、人のことも考えたらどうですか?」
優羅も立ち上がり、珍しく声を荒げて反論する。
「まぁまぁ、お二人さん、喧嘩はそこまでにしましょうや」
神羅が俺達の間に割り込み、諭すような口調で言う。その表情が、まるで暴れている子供を宥めるような表情で、それすらもイラッとして、言葉を発しようとするが、神羅に腕を突き出されて止められる。
「そう言えば優羅、お前、俺と族長の仲がいいなってしみじみ言ってたけどな、俺から見るに、十分お前も族長と仲がいいと思うぜ?」
予期せぬ言葉だったのか、優羅は今までのまくしたてるような勢いをなくし、ポカンとした顔で神羅を見ている。
「まぁ、そう言うことで、仲良く行こうぜ」
「行くって、どこか目的地でもあるのか?」
「ああ、急いで行かないとな。ただでさえ遅れてるって言うんだ」
「・・・・は?」
「とりあえず、行こうぜ!」
一人だけ状況のわかっている神羅に、俺と優羅はされるがままになっていた。一体、どこに連れて行かれると言うのやら。