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想造世界  作者: 玲音
第四章 種族争い
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ある意味、長い戦いでした。

警備員を吹き飛ばして大きく息を吐くと、神羅達の方を向いた。すると、優羅はフードを取っていた。きっと、正体をばらしているのだろう。


「お前・・・・誰だ??」

「私は、優羅と申します。今まで騙していてすみませんでした」


驚愕している神羅を無視して、優羅は優雅にお辞儀をする。それにしても、毎回毎回、あいつのお辞儀の仕方はムカつく。どこかの王国の王子のような仕草をするのだ。それが、どうも鼻につく。


俺が、そんなことを思いながら、ボーッと二人のことを見ていると、突然、優羅が小声で話しかけて来た。


「何をボーッとしてるんですか。あなただって、自分の正体を明かすんですよ?そんなところでボーッとしていないで、近寄って来て下さい」


俺は、その発言にイラッと来たが、渋々二人に近付く。しかし、どうやって切り出すかが問題だ。あいつは、俺のことをわかっているようでわかっていない。だから、普通に言葉をしゃべっただけでは俺だと気づかないだろう。しかし、あえて、わからないように言ってやろうと思う。理由なんて、別にないが、試しと言うのが妥当だと思う。護衛なら、俺の声ぐらい判別しろと言うことだ。


「はぁ?何が起こったんだ?よくわからないが・・・・」


「相変わらず鈍感な奴だな。前にも言ったろ?周りをよく確認して、相手をよく見極めろってな」


「!?」


意外にも、神羅は俺の声を聞いただけで反応した。俺の髪の色を見分けられなかった為、てっきり、声だけを聞いても俺だとはわからないと思っていたが、わかったようだ。


俺がフードを取ると、とても驚いたような顔をして、自分が見ている光景が信じられないのか、目を擦っているのが見える。確かに、そうする気持ちもわかる。一回死んだと思った奴が、目の前に現れたんだからな。自分の目が信じられなくもなる。


「俺が勘違いしてたのはバレてたんだな・・・・。さすが族長だぜ」

「当たり前だろ?俺は、護衛のお前なんかよりも、よっぽどお前を観察している」


俺がそう言うと、気の抜けたように神羅が笑った。それを見て、俺も自然と笑みが浮かぶ。


「ああ、そうだな・・・・。でも、まさか、優羅の方が族長だったとはな。てっきり、修羅の方が族長だと思ってたぜ」


「お前は、俺達の罠にまんまとハマったって訳だ」

「チッ、なんか、その言い方がムカつくぜ」


ムカつくと言っているが、表情はとてもムカついている人の表情ではないので、嘘だとわかる。


「話は後にして下さい、まだ、敵は残っているようですよ」


優羅に言われて後ろを振り向くと、さっき吹っ飛ばしたはずの警備員が突進して来ていた。中々しぶとい奴だ。


「おっしゃ、行くぜ!」

「そんなに気合入れなくてもいいんじゃないか?」

「いやいや、さっさとやっちまいたいからよ!」


とても疲れているはずなのに、それを思わせない神羅の元気ぶりには、いつも感嘆させられる。その元気のおかげで、俺は、ほとんど戦わずして警備員を倒す事が出来た。ほぼ、神羅が倒した訳だ。


「さて、族長、ちゃんと説明してくれよ?俺、意味わからなくて頭が死にそうだ」

「死ぬなんて言うなよ、こっちは死にそうなところを脱して来たんだ」


「まぁ、確かにそうだな!」

「貴方たち、本当に仲がいいんですね」


優羅に突然言われて、思わず耳を疑う。仲がいいなんてことはないはずだ。


「まぁ、当たり前・・・・」

「そんなことはない。俺は、まだお前を認めてないからな」


神羅が何を血迷ったか、変なことを言い始めた為、俺は、それを遮るように言葉を発した。しかし、少し言い過ぎたかもなとも思ったが、とりあえず、そのまま神羅の様子を伺う。


「・・・・」


神羅は、無言で俺の方をじっと見て来る。その視線を感じて、俺は後ろを向いた。そんな目で見られると、何だか、物凄い罪悪感を感じるんだ。


「まっ、まぁ・・・・今だけは認めてやるっ!」

「・・・・だけは??」


最後の最後には、そう吐き捨てるように言ったのだが、神羅がからかうように聞き返してくる為、もう、これ以上は何を言われても答えなかった。


「で、どう言うことか説明してくれないか??」

「俺は説明したくないっ!」


「族長、何怒ってんだよ?優羅の時と、声もしゃべり方も全然違うじゃんか!」

「・・・・とりあえず、優羅、お前が説明しろ。俺は寝る!」


それだけ言うと、俺はその場に寝転がり、目を瞑った。あれは嘘じゃない。本当に眠いのだ。まぁ、説明が面倒なのもあるが、眠かったからだ。しかし、神羅と優羅は俺の言葉を信じていないようだ。俺がもう眠ったと思ったのか、ボソボソと小声で話している。


「護衛なんだから、ちゃんと護れよ、俺のこと」

「あっ、ああ!」


俺が起きていることにうろたえているのは、声を聞くだけでわかった。優羅も慌てたらしく、俺は、神羅に言ったはずなのだが、優羅のうなずきも聞こえた。


それからしばらくの間は起きていたが、さっきのように陰口を言う様子もなかったので、俺は、本当に眠ることにした。


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