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想造世界  作者: 玲音
第四章 種族争い
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悪戦苦闘中です

「狭いなぁ、ここ」

「確かに、俺も最初は狭いと思いましたが、慣れればそこまででもないですよ」

「っぽいな、慣れた感じで進んでるもんな」


神羅にはそう言っているが、俺は、別に慣れた訳じゃない。まぁ、今、初めてこの隙間と呼ばれる場所を通っている神羅に比べれば、慣れていのかもしれないがな。


「とか、なんでこんな場所を通るんだよ?」


そう神羅に問われ、思わず考え込む。普通は、侵入者が堂々と表の道を歩ける訳がないから、こう言う道を通っていると思うと思っていたのだが、そんな道理は、神羅には通用しないだろう。ちゃんとした訳を言わないと、納得しなさそうな雰囲気だ。


「ああ、あの通路、トラップなんです。警備員とかは、他の通路を通ってますよ。あの通路を真剣に歩いても、上に行くことは出来ないんです」


「と言うことは、俺達、無駄な道を懸命に歩き続けていたと言うことか・・・・」


俺の適当な言い訳を真に受けて、神羅は顔をしかめる。そうされた時は、さすがに悪いかと思ったが、そんなことを言わない限り、神羅はずっとこの話題を引きずりそうな為、訂正をしないでおいた。


「大丈夫ですよ、そんなに気落ちしないで下さい。誰でも気づきませんよ」

「・・・・気落ちなんかしてねぇ!」


訂正はしないものの、さすがに申し訳ない気持ちになって、一応フォローしたのだが、神羅がムキになる為、これ以上言うのはめんどくさくなりそうだから、話題を変えることにした。


「それに、もう直ぐで着きますから」


「・・・・は?上に上ってないだろ?真っ直ぐ歩いてるだけなのに、上にたどり着くなんて、嘘に決まってるぜ」


「言いましたよね?俺、嘘だけはつきませんから。もう直ぐですよ」


これは本当のことだ。神羅と話をしながら、優羅に道を教えてもらい、歩いて来たのだが、もう直ぐで目的地に着くらしい。


「お前、よくそんなことをニコニコ顔で言えるな?さっき、普通に嘘をついただろ?」


神羅にそう指摘されて、そう言えば、さっき嘘はつかないと言って、直ぐに嘘をついたことを思い出し、苦笑いをする。しかし、あれは、嘘と言うよりも、いい間違えみたいなものなのだが・・・・別にいいか。


「ま、まぁ、それは置いておきましょう。今度は嘘じゃないですよ、修羅様にバラされたら大変ですからね」


俺は、慌てて笑顔を作ったが、神羅は疑り深そうな表情を浮かべている。まぁ、もともと人をそこまで信用しない奴だが、他人には、本当に厳しいんだな、こいつ。


優羅の指示通り、それから直ぐに、開けた場所に出ることが出来たのだが、優羅の姿が見当たらない。


「おいっ、どうなってるんだ?お前はここで待ってるんじゃないのか?」


俺が小声でそう聞くと、しばらく声が聞こえて来なかったのだが、やがて、「あっ・・・・」と言う声が聞こえて、優羅が話しだした。


「すみません、道を一本間違っていたようです。どうも、道が入り組んでいる為、見間違えたようです」


そう言われた途端、思わずため息をついて、体から力が抜ける。あんなにはっきりとここだと言ってしまったのに、違うとバレたら、完璧に、神羅からの信頼を失うことになる。


「なんなんだ、ここ。やっと出られたぜ。で、ここがてっぺんなのか?何もない場所だが・・・・?」


そう神羅が言っているのを、俺はどうしようかと戸惑いながら聞いていた。それが皮肉なのか、それとも素なのかわからないが、とりあえず、適当に誤魔化してみる。


「・・・・あれ?ここに、修羅様がいるはずなんですけどね・・・・もしかして、道を間違ってしまったかな?」


俺の言葉に、神羅は目を見開いて抗議を始めた。当たり前だな。絶対この先で合っていると言い張っていたし、確か、方向感覚も抜群とか適当なことを言っていたような気がする。


「はぁ!?お前、方向感覚抜群じゃなかったか!!?」

「あっ、えっと・・・・その地図を貸して下さい」


俺は、下手に偉そうにするのをやめて、今度は下手に出た。ここでも偉そうにしたら、完璧に、神羅からの信用を失う。そうなると、色々厄介な為、仕方がないのだ。


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