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想造世界  作者: 玲音
第四章 種族争い
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人のことを必要以上に探るのは、あんまりいいことじゃない

それにしても、こいつは半ば身勝手なところが多過ぎる。だから、頭を叩くぐらい、別に構わないだろうと思った。


「一応言って置きますが、私の方が、貴方よりも年上なんですよ?」

「ああ、わかってる。ところで、いくつなんだ?」

「・・・・それを聞きますか?全く、無神経な人ですね」


最も無神経な奴にそうサラッと言われて、俺は、今まで以上の怒りを覚えたが、確かに、少し無神経な部分もあるなと思った。


「じゃあ、教えなくていい」


「でも、そうすると、貴方は絶対影で文句を言うはずなので、言って置きますが、私は二十四です」


「・・・・案外、年とってるんだな」


俺の呟きに、優羅は一瞬足を止めたが、また直ぐに歩き出した。その手には、さっきいじっていた機械を持っていた。


「・・・・おい、何してんだよ」


「貴方の個人データを朗読します。名前、亜修羅。種類、妖狐。年齢、十六歳、家族構成、父親は健在しているが、命が狙われている。母親は既に他界している。人間界に来るきっかけは、父親の事情。人間界では普通の高校一年生として生活し、その整った顔とスタイルの良さで、女子にはモテモテ。そんな彼の初恋は・・・・」


そこまで言われた時、俺はとっさに優羅の背中にタックルをして突き飛ばし、それ以上言葉を続けさせないようにした。


いつの間に、こんな大量の俺のデータを調べたのかわからないが、こいつはとても恐ろしい奴だ。俺の初恋の時まで知っているとは・・・・。いや、知らなくて、ふざけて言ったのかもしれないが、もし、本当にわかっていて、それを朗読されたら、俺は恥ずかしくて、しばらく顔が赤くなるだろう。だからそれを防ぐ為に、ギリギリ言葉を続けさせないことにしたんだ。


「・・・・なんなんだ、今のデータは?嫌がらせか?」


「いえ、そう言う訳じゃないですよ。研究所の仲間に、貴方のことを調べて、そのデータを送ってもらったんです。ちなみに、初恋と言いましたが、そのデータは現在解析中だそうで・・・・」


そう言ってニヤニヤ笑う優羅を、俺は思い切り睨みつけてやったが、全く相手にされなかった。


「あっ、解析結果が送られて来ました。初恋は・・・・」

「やっ、やめろ!」


俺は、再び優羅にタックルして、優羅の手からその機械を奪い取ると、慌ててそのデータを消去した。


ちなみに、その時に初恋の歳のデータを見たが・・・・合っていた。俺が初恋をした年齢までもが、データ化されていたのだ。


俺はため息をついて、後ろから抗議を言いながら歩いて来る優羅を黙らせると、研究所の場所を調べさせる。


「一応、通路として使われていない部分とは言え、声が聞こえないことはないだろ?静かにしろよ」


「・・・・貴方が叫んだんじゃないですか」


「叫んでない。元はと言えば、お前が悪かったんだ。俺の個人データを朗読するような真似をして・・・・普通、怒られることがわかるだろうに」


「いえ、大元は、貴方が私の年齢を馬鹿にすることから始まったんです。よって、貴方が悪いんですよ」


「おい、減らず口叩いてないで、早く調べろよ」

「少し待って下さいよ、データを受け取るのに、少し時間がかかるんですよ」

「ったく、めんどくさい機械だな」


俺がそうボソッと言うと、優羅は心外そうな顔をして、自分が使っている機械の凄さを説明し始めた。その説明は二十分にも及び、俺はその言葉のほとんどを聞き流した。


「・・・・と言う訳です」

「で、お前の言いたいことはそれだけか?」


「・・・・貴方には、何を言っても無駄のようですね。もういいです。諦めました。さぁ、データも取得出来たことですし、研究所へ行きましょうか」


「向かっていたんじゃないのか?」


「ええ、向かっていましたが、途中で立ち止まったでしょう?あの場所からわからなくなったんです」


「・・・・そうか。じゃあ、もうわかるんだな」

「ええ、行きましょう」

「しかし、行って、何をするんだ?」


「研究所には、色んな薬品があると思うので、戦う前の準備と、貴方の死体と思わせる人形を持って来るんです」


「なるほどな」

「理解していただけましたか?」


「まあな。俺だって、物分りの悪い、頭の固い奴じゃないんだ。説明して、納得すれば、言うことを聞くさ」


俺がそう言うと、優羅は面白そうに笑ったが、直ぐに真顔に戻ると、目の前にある扉を開けて、中に入った。


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