表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
想造世界  作者: 玲音
第四章 種族争い
134/591

作戦タイム

「えーっと、この辺りですかね?」

「ん?何もないんじゃないか?」

「ここですよ」


そう言って、優羅はしゃがむと、目の前のタイルを取ろうとした。それを見た俺は、とっさに優羅の腕を摑んだ。


「おいっ!何やってるんだよっ!」

「えっ・・・・何って、ここのタイルを取って、下の様子を伺うんじゃないですか」

「このタイルを取ったてな、下が見える訳ないだろ?」


「ええ、普通は見えませんが、ここはちゃんとした場所です。だから、大丈夫です!」


「全く言葉になってないぞ。とか、ちゃんとした場所ってなんなんだよ。そんな強引な説明じゃ、俺は納得しないぞっ!それに、ここのタイルを取ったら、目立ってしょうがないじゃないか」


「貴方、もしかして、ここのタイルを取りたくないと言うんですか?一応自分のものではないからと。とてもいい心がけですね」


「違うっ!」


俺は、優羅の勝手な解釈に、思わず大声で反論してしまった為、優羅に口を塞がれた。


「全く、その辺りがお子様と言うのです。もう少し状況を考えて下さい」


「まっ、まぁ・・・・今のは俺が悪かったよ。ただ、お子様ってなんだよっ!お子様じゃないぞっ!」


「落ち着いて下さい。これはどうでもいいことですから」


そう言って、再びタイルを取る作業に戻った優羅を、俺は手伝わなかった。


別に、ここが人のものだから壊しちゃまずいとか言う優羅のような考えがあるからじゃない。ただ単に、ムカついたから、こいつを手伝ってやろうと言う気になれなかったのだ。


「そう言うところがお子様と言うのですよ」

「お前っ!人の心を読むなっ!」

「そう大声を出さないで下さい。ほら、取れましたよ」


そう言って、取ったタイルを横に置き、光りが差し込んでいる下を覗き込む。


俺は、最初は一緒に覗き込むのが嫌で、ずっと我慢をしていたのだが、これも嫌味かなんなのかわからないが、優羅が一向に退こうとしない為、俺は仕方なく、反対側から下を覗き込んだ。


そこには、かなり大勢のみすぼらしい格好をした者達と、神羅が見えた。


「私が見たのは、あの方です。あの方で合ってますね?」

「ああ、あいつだ。相変わらずだな」

「護衛の人を、護られる人が心配するなんて珍しいことですね」


「当たり前だろ?護衛とあいつは言っているが、俺は、護衛とは思ってないからな」

「・・・・でしたら、なんと?」


そう言われて、俺は覗き込むのをやめて、ふと考える。


護衛とは思っていないのは確かだ。それなのだが、じゃあ、何と思っているのかと聞かれると、全くわからない。俺は、神羅のことをなんと思ってるんだ?


「・・・・『仲間』じゃないんですか?」


そう言われて、自然としっくり来るものがあったが、なんだか、それに肯定をすると、自分が負けたような気がして、首を振った。


「違う。そんなもんじゃない。そこまでは思ってないはずだ」


「それにしては、あの方の為に結構体を張ってますよね?私の実験台になったり、引っ張りあげられたり。普段の貴方では絶対にしないような行動をしてるじゃないですか?」


「・・・・おい、なんで、お前は俺の普段を知っているような口ぶりなんだよ。まさか、お前・・・・」


俺がそこで言葉を切る為、優羅は不思議そうに首をかしげたが、直ぐにポンと手を叩くと、してやったりと言うような表情をすると、一言言った。


「ストーカーじゃないですよ」


「・・・・いや、そう言おうとはしてないぞ。とか、そう引きずるってことは、よっぽどストーカーと思って欲しいと取っていいのか?」


「・・・・それはないですよ。それに、貴方が言いそうだったので、言っただけです」

「ふんっ」


俺が鼻で笑うと、優羅はシュンとなって、ため息をつくと、俺に背を向けて黙り込んでしまった。


俺はそれを見て、いじけていると解釈をするまで、約数秒かかった。


「もっ、もしかして・・・・いじけてるのか?」

「いじけてなんかいませんよ」


優羅は否定をするが、これは、誰がどう見たっていじけているように見える。しかし、こいつがこんなに子供っぽいことをするなんて、意外だと思った。


「まぁ、とにかくだ。俺は、あいつのことを仲間だとは思っていない。だが、護衛とも思っていない。それだけだ。そして、お前に思ったことはない」


「・・・・さっき、何か言いかけてませんでしたか?」


「あれは忘れてくれ。あの先がどうも思いつかない。だから、いくら思い出せと言っても無駄だ。以上」


俺はそれだけ言うと、再び下を覗き込んで、会話を聞き取ろうとするが、俺達が話している間に重要な部分を聞き逃してしまったようで、話の内容が全くわからなかった。


「全く、お前のせいで、話を聞き逃したじゃないか!」

「私のせいじゃないですよ。運が悪かったんです」


「しれっと言ってんじゃねぇよ。全く」


「八つ当たりもいいところですね。貴方が覗くのをやめたのに」

「まっ、まぁ・・・・」


俺はそう言われて、黙り込むしかなった。確かに、覗き込むのをやめたのは俺自身だ。だから、優羅のせいではない。


「あの様子だと、どうやら、強行突破を図っているようですね」

「・・・・とは?」


「貴方を助ける為に、地下の牢獄・・・・私達の牢獄の場所に行く為の作戦を練っているようです」


「地下とか地上とか、バラバラになってるのか?」


「まぁ・・・・・ここの牢獄は、罪が重い程に地下へ行くことになります。ここは地上なので、ここにいる方達は、そこまで罪が重いことはないでしょう。しかし、地下に入れられる者は極悪な者で、地上から地下への入り口は、とても厳重に閉ざされています」


「なるほどな・・・・。っと、それって、危なくないか?」


「ええ、危険ですよ。私ですら裏口から入ったんです。表から行くのは危険だと感じましてね。しかし、あの方は裏口を知りませんし、表から突破しようとするでしょうね」


「・・・・どうするんだよ」


「そこまではわかりませんが、とりあえず、これからも何回か集会があるようなので、覗きに来ましょう。そして、私達も作戦を練りましょう」


「ああ」


俺はうなずくと、大きく息を吐いた。


神羅は死ぬ気で俺を護るだろう。そんな奴を、俺はいつまで認めないつもりなんだ・・・・。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ