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想造世界  作者: 玲音
第四章 種族争い
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変身・・・・と言うか、若返り?

俺は、無言で優羅のことを睨みつけたが、優羅も微笑みを浮かべたまま、俺のことをじっと見て来る。


しばらくの間にらみ合いが続いたが、ついに俺が折れた。こいつが言っていることが本当か嘘かわからないが、確かに、あいつはあまり冷静に考えて行動もしないから、捕まるのは時間の問題かもしれない。


「・・・・わかった。これを飲めば、あいつを助けることを許してくれるんだな。なら、仕方が無い」


「はい、やっと折れてくれましたか。では、この薬を頭から被って下さい」

「・・・・は?話が違うじゃないか。飲むんじゃないのか?」


「一応、この薬は、飲むと被る両方で変化が出来るようになっているのですが、飲む方が確実なのです。だから、飲んで欲しいと言いました」


「じゃあ、とりあえず、かければいいんだろ?」


俺は、差し出された薬をひったくる様に奪うと、栓を抜いて、頭から被った。


香水に近いような甘いにおいが体中についてしまって、くしゃみが出そうになるけれど、何とか我慢した。


しかし、何か変化がある訳でもなく、俺は、ジトッとした目で優羅の方を見た。すると、慌てながら懐からハンカチを出し、俺に差し出す。


俺は、それをひったくると、体を拭いた。それから、おずおずと差し出された薬をグイと飲み込んだ。


本当は飲みたくなかった。しかし、半ばヤケになっている部分もあって、体が動いていたのだ。


薬の味は、意外にも甘くて、とてもまずい味ではなかった。上手く現すと、子供用の薬みたいな味だと言えばいいかもしれない。


しばらくの間、俺は、そのまま動かないで立っていたのだが、何も変化が起きない。


「・・・・実験は失敗だったようですね?」


「ったく、人に実験薬をぶちまけた挙句、何も変化が起こらなかったじゃないか。でも、一応実験台にはなったんだ。約束は守ってくれよ?」


俺は、そう言って一歩を踏み出した途端、体が地面に沈んでいくような感覚がして、視線が下に落ちて行く。


わかりにくいとおもうが、そうとしか言い様がなかった。視線を下に向けた訳でもないのに、見える位置が下がっていくのだ。同じところをみているはずなのに、視線が下がっていると言うことは、体が縮んだとしか思えなかった。


「成功したようですね!」


「・・・・全く、どうして縮むんだよ!まぁ、変なものに変えられるよりはマシだが・・・・」


「これが貴方の姿です」


そう言って差し出された鏡を見て、俺は、思わず絶句した。


歳は十三ぐらいに戻っていて、髪の色は黒色。その長さは、肩よりも少し短めの長さで、曖昧な感じだ。


「・・・・これは??」


「まぁ、何も言わないで下さい。一応変化はした訳ですし・・・・行きましょうか?」


「お前は姿を変えないのか?」


「私は、ヘマをするようなことをしないので。それに、最悪は、姿を消すことが出来るので、ご心配なく」


そう言ってスタスタと歩いて行く優羅の後を、俺は何とかついていくのだが、優羅は歩くのが早い。付いていくのがやっとだ。


「あっ、そうだ。これも着て下さいね」


そう言って渡されたのは、俺の今の背丈に丁度いいくらいの、黒いフード付きマントだった。


「これは、何か特別な何かなのか?」


「いえ、これと言って特別な性能はありませんが、この紐を引っ張ると、姿を消せます」

「・・・・それ、十分便利な性能がついてると言えるんじゃないか?」

「いえいえ、こんなの序の口ですから」


そう言って笑う優羅を見て、こいつはきっと凄い奴なのかもしれないと思う。


「まぁ、とりあえず着ておこう」

「随分と素直になりましたね。少しは私の凄さがわかったようで」

「そうじゃない。これは役に立つと思ったから着ているんだ。勘違いするな」


黒いマントを羽織ってフードを付けると、腰のベルトを締めて、大きく息を吐いた。


「なんで、ここまで俺にピッタリに作られてるんだ?もしかして、元から、俺が小さくなるってわかってたのか?」


俺がそう聞くけれど、優羅は何も答えずに、そのまま鍵を開けて外に歩き出した。


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