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想造世界  作者: 玲音
第四章 種族争い
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ストーカー?それとも、仲間?

「起きて下さい!」


そう聞こえたかと思ったら、何回か体を揺すられてやっと目が覚めた。

ゆっくりと目を明けて見えたのは、俺の顔を覗きこんでいる男の顔だった。

それを見て、とっさに跳ね起き、二、三回後ろに飛ぶと、相手の様子を伺う。


この部屋に閉じ込められているのは俺一人のはずだから、

もう一人の人間がいるはずがない。

だから、気を張らずに眠っていたのがいけなかったようだ。


「お前・・・・何者だ?警備員じゃないようだな。

かと言って、俺の味方でもなさそうだ」


「・・・・まぁ、仲間・・・・ではないですね。しかし、敵ではありません。

私は、あなたの力を借りる為にこの部屋であなたが起きるのを待っていました」


そう言われて、自然と顔から血の気が引いたのがわかった。


俺は、こいつがいたにも関わらず、それに気づかないで熟睡をしていたらしい。

それは、こいつが気配を殺すのがよほど上手かったのか、

それとも、俺が気を抜き過ぎていたのか。そのどちらも重なったことだろう。


俺は、物の気配には敏感な方だ。

頭脳種族だから、他の種族の中でも気配などには過敏に反応するのだ。

だから、長時間、他人に見られているのに気づかずに眠っていたことを知って、

血の気が引いたのだ。


なぜなら、強い者ほど気配を殺すのが上手い。

そして、こいつの気配は、ほぼ無いに等しい。こいつは只者ではない気がした。


ここは下手に挑発などをしない方が得策だろうと思い、

戦闘の構えをやめ、そいつに視線を向ける。


歳のころは、俺よりも五、六歳ぐらい上だな。短い金髪に青い瞳で、肌の色も白い。

まるで、異国の者みたいだ。

これだけじゃ、あまりわかることは少ないが、一つだけわかることがある。


それは、こいつは囚人ではないと言うことだ。身なりが整っている。

と言うことは、こいつが侵入者か?


「・・・・お前が、昨日ここに侵入した者か?」

「ええ、そうですよ」


「・・・・なぜ、侵入を試みたんだ?

こんな地獄みたいな場所に侵入するなんて、

よっぽどの馬鹿か、物好きくらいだと思うが・・・・」


「・・・・まぁ、それは後で話すことにします。私に協力してくださいますか?

それとも、侵入者である私を警備員に報告しますか?

・・・・後者を取るならば、あなたの命は今日で終わりを迎えることとなりますが」


そう言って微笑んでいる奴を、俺はにらみつけた。

物腰は柔らかいものの、言っていることはとんでもない。

こいつが言っていることは本当みたいだ。


「・・・・俺は、お前の力量や信憑性がわからない以上、信用することが出来ない」


俺はそう言うと、近くにあった鉄の棒みたいなものをそいつに向かって投げてみた。

結構スピードを出したから、普通の奴だったら当たるところだろうが、

鉄の棒は、そいつに当たる前に溶けて消えた。


「・・・・お前、何をやった?」

「ああ、一つ言って置きますが、私は妖怪ではありませんよ。神です」

「なら、どうして鉄の棒が解けたりしたんだ?火を飛ばした訳でもないようだが」


「まぁ、それは・・・・貴方次第です。

私の攻撃は、一瞬で貴方をさっきの鉄の棒のように破壊することが可能です。

だから、やるなら一瞬ですよ?」


相手の行動が見えないのが悔やまれる。

薄暗いと言うのもあるし、妖怪でもない奴が鉄の棒を溶かしたと言うことに驚いて、

動揺したのもあるだろう。とにかく、相手の姿が見えにくいのだ。


「・・・・わかった。お前に力を貸してみようと思う。

しかし、お前のことを信じた訳じゃないからな。覚悟しておけ」


「そう言うと思ってましたよ。では、早速お願い事を言ってもいいですかね?」

「図々しい奴だな。人が寝てるのを観察する、悪質なストーカーめ」


「・・・・とても不快な言葉を浴びせられましたが、一応流します。

待機場所をここにさせて欲しいのです」


「勝手にしろ。で、お前は何を目的でここに侵入したんだ?」

「・・・・とりあえず、ここから出ましょうか?」

「なぜ?」

「過程よりも、結果が全てです。行きましょう!」


そいつはそう言ったかと思うと、普通に扉の前に行くと、鍵を開けて外に出た。


俺は、開いた口が塞がらなかった。

ここのドアは、内側から鍵を開けるのが不可能なはずなのに、

どうしてこいつは内側から普通に開けたのだろうか・・・・。


「お前、どうやってここの鍵を開けたんだよ?」

「・・・・それは、企業秘密です」


そう言ってニコニコ笑う奴を見て、

俺は、こいつを本気で怒らせなくてよかったと心底思った。


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