表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
想造世界  作者: 玲音
第四章 種族争い
124/591

優羅と修羅の正体

ハッと目を覚ますと、俺達はどこかの草原に転がっていた。


最初は頭がボーッとしていて、

なぜ自分がこんなところに転がっているのかと不思議に思っていたが、

直ぐに状況を思い出して、隣に転がっている修羅の首を摑むと大きく揺すった。


「おいっ、てめぇ!何してんだっ!」


俺が揺すると修羅は目を覚ましたが、ぼんやりとした目で俺を見た後、

俺の手を払い除け、大きく伸びをした後欠伸をし、ゆっくりと立ち上がった。


「貴方、どうして野蛮なんですか?」

「お前は修羅じゃねぇな。お前ら、そっくりでわかりづらいぜ」

「ところで、修羅様はどこに行かれたのでしょうか?」


「そんなの知らん。あんな奴、どうなったっていい」

「まぁ、そう言わないで下さいよ。とりあえず、探しに行きましょう?」

「・・・・ふんっ、あいつなんか・・・・」


「貴方はどうでもいいことかもしれませんが、

俺にとってはどうでもいいことじゃないんです。

貴方にとって修羅様は最低な人間かもしれませんが、

俺にとって修羅様は、命の恩人なんです」


そう言って俺の方を見る優羅の目は、睨んでいる訳でもないのだが、

やけに鋭く、誰かに似ているような気がした。

笑みが消えると、随分雰囲気が変わった。まるで・・・・。


俺は、自分の考えに首を振ると、ため息をついた。


「・・・・」


「貴方だって、命をかけて護らないといけない人がいるでしょう?

俺は、それが修羅様なんです。それだけです・・・・」


それだけ言うと、優羅は歩き出した。


「わかった。俺が悪かった。ちょっと、奴のことを悪く言い過ぎた。すまん」


俺がそう言うと、優羅はいつもの笑顔に戻った。

それを見て、自然と俺はほっとする。こいつは、怒らせたら危ないなと思った。

殺気とは違うが、なんとも言えない雰囲気に、そう思ったのだ。


「そう言っていただけると、こちらとしてもありがたいです。

では、修羅様を探しましょう・・・・」


その時、後ろから突然声が聞こえた。


「いたぞーーーっ!捕まえろ!」

「!?」

「えっ??」


俺達は驚きながらも後ろを向いた。

すると、なぜか、いないはずの警備員が追いかけて来ていた。


「なっ、なんだってんだ!?」

「俺に聞かれてもわかりませんが・・・・とりあえず、やるしかないようですね」


そう言うと、俺よりも早く振り返ると、警備員の方に突進して行き、

動きずらいであろうフードつきマントを着たまま戦い始めた。


その切り替えの早さに俺は唖然としていたが、それよりも、動きのよさに驚いた。

今まで見て来た神の動きなんかより、ダントツで動きがいい。

まるで、妖怪のトップクラス並の強さだ。


「優羅は強いぞ」

「!?」


俺は、いつの間にか隣に立っていた修羅に驚いて、

二、三歩飛び退いたが、直ぐに聞き返した。


「なんで奴は強いんだ?まるで、妖怪のトップクラス並だぞ?」

「だが、あれ以上強くなる。この刀を使えばな」


そう言って渡された刀を抜いた時、俺は目を見開いた。


「これって・・・・」


「何を考えているのかはわからないが、とりあえず、加勢をした方がいい。

いくら優羅が強いと言ってもな、一人で戦わせるのはまずいだろう」


「・・・・そうなのか?」

「ああ・・・・まぁ、訳は言えんがな・・・・」


そう修羅が言った時、優羅の方から声が聞こえて来た。


「修羅様、刀を下さい!」


そう言われた途端修羅は慌てて俺から刀を奪い、優羅に向かって投げた。

そして、そのまま自分も走り出す。


「おっ、おい!俺、どうすりゃいいんだよ!」

「お前も加勢しろ!でないと、色々とまずい状況だ」

「わっ、わかった!」


俺は、よくわからないまま、とりあえず走って加勢に行く。


しかし、修羅がどうして危ないと言ったのかがわからない。

状況的にはこっちの方が圧倒的に有利なはずなのに、どうして・・・・?


そう言えば、刀を渡す時の修羅の顔がかなり焦っているように見えて、

加勢に行く途中で考え込んでしまう。今戦いに向かっても、返り討ちにされそうだ。

いや、そんなことはどうだっていい。しかし、どうして・・・・何が危ないんだ?


何かが引っかかって、なんだか変な気分だ。

何か思いついた気がするけれど、違うような気がする。


「避けろ!」


そう声をかけられているのが俺だと気づいたのは、声をかけられてから数十秒後で、

俺は反応が間に合わなかった。

しかし、目の前に黒い何かが出て来て、警備員からの攻撃を変わりに受けてくれた。


「おいっ!大丈夫か??」


俺は慌てて走り出すけれど、それよりも早く修羅が走って行き、

優羅の顔を隠すようにフードを急いで被せると、

飛ばされる時に吹っ飛んだ刀を取りに行った。


優羅はと言うと、ゆっくりと立ち上がり、

うつむいたまま、しっかりとした足取りで歩き出している。


修羅は急いで刀を拾うと、優羅に向かって投げた。

優羅はそれを上手くキャッチすると、身をかがめて臨戦の構えをしたかと思うと、

突っ込んで来た警備員を一斉に吹っ飛ばした。


「なっ、なんだよあれ・・・・今までの力と全然違うじゃねぇか。

ありゃ、まるで妖怪だぞ?」


「・・・・ここまでみたいだな。最善は尽くして来たが、私の限界が来たようだ。

すまないな、修羅さん」


修羅はそう言うと、優羅の方を見た。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ