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想造世界  作者: 玲音
第四章 種族争い
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側近の奴と変な通路

「おい、合ってんのかよ、この地図・・・・」


【合ってるに決まってるでしょっ!私は、超スーパーハイレベルの地図なのよっ!?

間違ってるはずがないわ!】


「ったく、その言葉を何十回も聞いたが、

まだ最上階にたどり着かないと言うのはどう言うことでしょうね?」


【・・・・そっ、そんなことないわっ!

私はオーナーに雇われて、あなたを最上階に連れて行くことを命じられたのに・・・・】


「なぁ、その修羅って奴、いつからお前を雇ったんだ?」


【それは教えられません。オーナーの名前を言った時点でアウトなんです。

修羅様になんと言われるか・・・・怖いです】


「そんなに怖い奴なのか?」


【ええ、それはもう、とても・・・・。

修羅と言う名前も本当の名前ではないような・・・・

はっ!私はまた何を!?いけない!なんでこんなことを言わせようとするのですか!?】


「俺は、単に聞きたいことを聞いただけだぜ?それに、どうして修羅なんて・・・・」


【修羅場とか言うじゃない?その修羅の部分を取って修羅】


「じゃあ、本当の名前はわからないのか?」


【噂です。本当の名前かも知れないし、偽名かもしれないです。

ただ、私は雇われた身なので、オーナーのことを詳しく詮索しちゃいけないの!】


「お前、口調崩れてるぞ」

【うるさいわね!あなたに一々丁寧な言葉を使わなくてもいいなって思ったのよ!】


俺は、怒鳴って来る地図の声がかん高過ぎて、思わず耳を塞ぐ。そして、顔も歪める。

それほど耳に刺さるような声なんだ。


「うるせぇよっ!もっと声潜めろ!」

【なんでそんなことをしなくちゃいけないの?私、うるさい?】

「そこだけ無邪気に言うな!」


俺は何とかツッコミを入れると、大きく息を吐いた。


何せ、こいつはうるさいしボケばかり言って来る。

俺はもともとボケの立ち位置にいると族長に言われたことがあるが、

こいつは、そんな俺でさえツッコミをいれるような奴なのだ。大ボケに違いない。


そんな言い合いをしながら歩いている時、不意に目の前に立ちふさがれ、

自然と姿勢を低くして身構えたが、相手は修羅と似たような格好をした奴だった。


「武器を向けないで下さいよ。俺は、貴方の味方です」


そう言って、俺が何も言わずともフードを取った。


その顔は無邪気な笑みを浮かべていて、とても敵だとは思えないような雰囲気がした。

髪の色は黒色で、長さは修羅と同じく肩上だった。

やっぱり、こいつも妖怪じゃないらしい。


「なら、何の用だ?」


「いや・・・・どうも苦戦しているようなので、

部下である俺に連れて来いと命じられたのです」


「そうなのか・・・・。お前は修羅の部下なのか。

それなら、修羅のことを知ってるか?」


「うーん、修羅様のことは、俺もよく知らないんですけどね。

あの人、部下にも秘密を教えようとする人じゃないので。

側近の俺でさえもよくわからないお方なのでね。

俺が知ってることと言えば・・・・修羅って名前だけですね」


「・・・・そうなのか」


俺は大きくため息をついた。

そして、もっと修羅と言う人物が族長であるような気がしてならなかった。

族長なら、骨に自分はなったと見せかけて、脱走でもしそうな人だからだ。


「まぁ、とりあえず、俺について来てくれば的確です。

俺、こう見えて、方向感覚抜群なんで」


そう言って笑う奴を、俺は不思議な感覚で見ていた。


「そう言えばお前、名前は?」

「俺は、優羅(ゆうら)って言います。以後、お見知りおきを」


優羅はそう言ってお辞儀をすると、歩み寄って来て、握手をした。


「優羅っと修羅って・・・・似てるな?」


「ああ、俺のこの名前、修羅様が付けて下さったんです。

だから、似てるのかもしれません」


「そうか・・・・優羅か」

「・・・・はい、それがどうかしましたか?」


優羅がけげんそうな顔をした為、俺は慌てて首を振って弁解をした。


「と言うか・・・方向感覚抜群って、関係なくないか?

ここは元々一方通行だし・・・・」


俺がそう言うと、優羅は再びけげんそうな顔をして、ポンッと手を叩いた。


「そうか、貴方は知らないのかもしれませんね?俺達の通路」

「・・・・俺達の通路?」

「ええ。俺達、主にこう言う場所を移動しないんですよ」

「・・・・は?」


にこやかに説明している優羅の説明がわからず、俺は物凄く戸惑った。

こう言う場所を移動しないって、どう言う意味なんだ?


こう言う場所と言うのは、今、俺達のいるこの通路のことだとはわかる。

しかし、それ以外にどこを通路と呼んでいるのかがわからない。


「こう言う場所と言うのが普通の・・・・俺達が立っている通路だと言うことはわかる。

しかし、それ以外に、お前が通路と呼んでいる場所がわからない。それはどこだ?」


「・・・・それはですね、ズバリ、下水ですよ」


俺は、その言葉を聞いた途端、思わず耳を疑った。

下水だって?こんなところに下水なんてあるのか?

そもそも、下水ってマンホールの下のことを言うんだろ?ありえないぞ・・・・。


「はぁ?下水なんて、こんなところにないだろ?」

「いやいや、俺、嘘はつきませんよ。嘘だけは・・・・ね?」


「・・・・下水かよ・・・・臭いんだろ?あそこだから黒いマントを着てるのか?」

「いえいえ違いますよ、下水なんて思わないで下さい。嘘ですから」


そう言ってクスクス笑う優羅を見て更にイラッと来たが、俺はなんとか精神を保った。


「まぁ、そう言う嘘は置いといて、そろそろ出発しましょうか」

「どこを通るんだよ?」

「俺達が通る道・・・・それは、『隙間』ですよ」


「・・・・隙間?」

「ええ、聞くより見る方がわかりやすいです。では、行きましょう」

「えっ、あっ、おいっ!」


俺は強引に腕を引っ張られ、そのままずるずると引きずられて行った。


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