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想造世界  作者: 玲音
第四章 種族争い
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まさかの希望!

奴と別れた後、俺はその地図を頼りに歩きだした。

警備員に捕まったのは、確か、螺旋状の通路の中間部分だった気がする。


しかし、自分がどこにいるのかわからない。


「ったく、現在地がないと、地図って意味がないのが難点だよな」


そうつぶやきながらも、何とか上に向かって歩いて行く。

上に、何か気になるものを見つけたのだ。

地図の一番てっぺんの通路のところに〇印が書いてあり、「ココ」と書いてあった。

何があるのかわからないが、ここに何かがあるのは事実だと思ったのだ。


だから、とりあえず上って行く

現在地はわからないが、前に進めば、いつかは上にたどり着くだろうと思ったのだ。


しかし、現在地がわからないと、

事細かく書いてあるわかりやすい地図も、全く役に立たないものになってしまう。


どれくらい詳しいかと言うと、監視カメラの位置はもちろん、

この辺りを何時に警備員が巡回に来るかとか、一つ一つの扉の答えまで書いてある。

それなのに、現在地がわからないから、全く意味がない。


「ったく、見にくい地図だな・・・・」


俺がそうボソッとつぶやいた時、

不意に、地図が抵抗をしたかのように動くと、バサッと下に落ちた。


俺は理解不能だった。今の表現は明らかにおかしかっただろう?地図が動くはずがない。

抵抗をするはずがないのに、動いたと言う表現をした。

しかし、そう言う表現をするしかなかったのだ。

風も吹いていないのに、地図が俺の手から落ちたのだから。


【何を無礼なっ!私のどこが醜いの!?】

「・・・・は?」


俺は、突然しゃべり出した地図を唖然と見つめていた。何が起こったのかわからない。

しかし、これは一体・・・・?


「・・・・お前がしゃべってるのか?」


俺は、地面に落ちている地図にしゃべりかけるけれど、返事が返って来ない。

それを確認して、俺は大きく息を吐いた。


自分がおかしくなったんじゃないとわかって、とても安心したのだ。


そのまま地図を拾い上げようとするが、石のように重くなって、持ち上げられない。

しばらく粘って頑張ったが、100トンの重さになってしまったかのように、

全くもってびくともしない。


「重過ぎて対処しきれないぜ」


俺がそう言った途端、今まで重かった地図がさっきまでのペラペラの紙の重さに戻った。

それは嬉しいことなのだが、再び幻聴が聞こえて来た。


【そう!綺麗って言えばいいのよっ!さっ、どこへ行きたいのかしら?】

「・・・・」


俺は、無言でしゃべっている地図を見下ろすと、そのまま停止した。


・・・・やっぱり、地図から声が聞こえる。やはり、頭をおかしくしてしまったらしい。


「いやいや、そんなことはねぇよ。

ついに俺は、幻聴まで聞こえるようになったのか・・・・」


【幻聴なんかじゃないわっ!失礼ね。どこに行きたいの?】

「・・・・まずは、俺の現在地を教えてくれないか?」

【お安い御用よっ!】


そう言うと、今まで何も書かれていなかった場所に、赤い丸印が出現した。


「うおわぁっっ・・・・」


俺は驚いて、地図を取り落とした。

そして、自分の大きな声に驚いて慌てて口を塞ぐと、通路の端にしゃがみこんだ。

そんなことをしても姿は見えるのだが、出来るだけ体を小さくして身を隠そうとしたのだ。


【そんなに驚くこともないじゃない。

私はね、あなた達の知っているような低レベルの地図じゃないのよ!

超スーパーハイレベルの未来型地図なのよ!覚悟しなさい!】


「ちっげーよっ!俺が驚いたのは、お前の高性能ぶりからじゃねぇよっ!

総合的に驚いたんでぃ!」


【あらあら、お口が悪いようね。でも、私の高性能ぶりに驚いたのは確かね。

ではでは、次に何を聞きたいかしら?】


「じゃっ、じゃあ・・・・後何分でこの場所に警備員が来るのか。

そして、監視カメラの数。後、目的地」


俺は、地図が物凄い高飛車な為、少しイジワルを言ってみた。

さすがに、目的地までは言えないだろうと思ったのだ。


【警備員は、30分ごとにここに現れるわ。だから、後20分後にここに現れる。

そして、監視カメラのことは気にしなくていいわ。

オーナーが既に、使い物にならなくしてるから。

そして今、あなたの向かうべき道は、最上階です】


「・・・・お前、ほんとに高性能なんだな」


まさか、目的地まで的確に答えるなんて、思っても見なかった。

だから、つい本音が漏れてしまった。


【やっとわかったのですか!それならよろしい!では、急ぎましょう!】

「ところでさっき、オーナーって言ったよな?そいつって、あの、頭が変な奴か?」


【失敬なっ!修羅様は頭の変なお方ではないっ!無礼なっ!】

「修羅・・・・?」

【ええ、オーナーの名前でございます。それでは、行きましょうかね!】

「待て!その修羅って奴・・・・それが本名なのか?」


【いえ、確かなところは私もわからないわ。

ただ、オーナーは『修羅』と呼ばれておりました】


俺はそれを聞いて、電撃が走ったような気がした。

修羅とは、族長の名前に近いじゃないか。

だから、自然と、あいつが族長なんじゃないかと言う思いがしてならなかった。


「じゃあ、その・・・・修羅とか言う奴の居場所はわかるか?」


【オーナーなら、あなたを連れて来いと言っていたので、

私が示した場所に行けば会えると思いますよ】


俺はそれを聞いて、俄然やる気が出てきた。

単純だと思われるだろうが、それは事実なのだ。


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