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想造世界  作者: 玲音
第四章 種族争い
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苦悩の末の現実は・・・・

「んーーーーーっ、わからん!ってか、この数字、一体なんなんだよ・・・・」


俺は、ため息をつきながらも頭を回転させる。


「こんな時、魔方陣でも書いてちゃちゃっと終わらせたいな・・・・」


そう自分でボソっとつぶやいて、ふっと何かが引っかかった。

何が引っかかったのかわからないが、一応再検索をしてみると、

数字に関連する単語は魔方陣と言う言葉だった。


俺が言った魔方陣の意味は、魔法を使う時に出現する魔方陣を思い浮かべたのだが、

数学の世界でも、魔方陣と呼ばれるものがある。


確か、三つぐらいの四角があり、そこに数字を当てはめるのだが、

その三つの数字を足した答えが縦、横、斜め全てが同じにならないといけない。

そんなルールだったと思う。


「ちょいとやってみるか・・・・」


そうつぶやくと、3×3の正方形を書いたが、数字の数を数えて違うと思った為、

4×4の正方形を書いた。そして、そこに数字を当てはめて行く。


それから30分近く格闘した末に、答えが見出せた。


「・・・・18」


自然と笑みがこぼれ、急いで立ち上がると、

扉をロックしている機械に「18」と打ち込んだ。

読み込み中・・・・と言う言葉が表示された後、ピーッと言う音がしたと思ったら、

突然、その機械の下側からカードのようなものが飛び出して来た。

想定外の出来事に少しだけ気が立ったけれど、直ぐにそれを取る。

すると、目の前で固く閉ざされていた鉄製のドアが開いた。


「おおっ!」


自然と驚きの声が漏れるが、それよりも中に何が入っているのかと言うことが気になって

中に入って行くと、人が座り込んでいた。


「お前、大丈夫か?」


そう話しかけたが返事がない。


更に近付いて行くと、話しかけた相手が骸骨だと気づいた為、

驚いて二、三歩後退りをしてから部屋を後にしようと身を翻したした時、

今にも死にそうなほど力のない声が聞こえて来た。


「助けてくれ・・・・ここから出してくれ・・・・」


空耳かと思って再び歩き出すと、暗闇の中から何かを叩くような音が聞こえて、

骸骨が不気味ではあったが、その部屋の奥に歩いて行った。

すると、隣にある骸骨と変わらないぐらいガリガリに痩せ細った神が俺の方を見ていた。


「お前、大丈夫か!?ガリガリじゃないか!」


「やっと助けに来てくれたのか・・・・。

ここに閉じ込められて150年。

地獄と共に生きて来た日々に終止符を打てる時が来たのか・・・・」


俺は、今にも消え入りそうな声でしゃべるそいつの腕を取ると、肩に担ぎ、歩き出す。


身長が高めなのだが、子供のように体重が軽い。

もう、肉なんてないだろう。皮が骨に張り付いていると言う表現が一番忠実だと思う。


「もうちょっと待ってろよ。ここから出して、飯を食わせてやる」

「・・・・」


「おいっ、聞いてるのか?」

「・・・・」


俺は、何もしゃべらなくなったそいつの方を向くと、そいつは目を閉じていた。


「・・・・おい、寝るなよ」

「・・・・」


俺の背中は徐々に体温を下げ、やがて氷の様に冷たくなった。

それを感じた時、背中にあるものがほんの数秒前よりもとても重く感じた。


俺は自然とうつむき、重くなった体を引きずって、灸縁と琉貴の元に歩いて行く。


「おっ、お前、どこ行ってたんだよ?」

「肩に背負っている者はどうした?」

「・・・・」

「何もしゃべらないとわからないではないか」


そうぶつくさ言っている灸縁とは裏腹に、

琉貴は無言で近づくと、両手を合わせ、深く礼をした。


「雰囲気で察しろ」


そのセリフで全てを理解した灸縁は目を見開くと、

俺の近くに寄って来て同じ動作をした。


「しかし、この者をどこで発見したのだ?」


無言でカードを見せるけれど、二人はもちろん首をかしげた。

こんな説明でわかるのは凄いと思う。


俺は、すっかり冷たくなった体をゆっくりと床に寝かせると、

灸縁達が苦戦していたパスコードを入力する機会にカードを差し込む。

すると、読み込み中と言う表示がされた後、ピーッと言う音と共に、

鉄製の扉が開き、カードが出て来た。


「なんだって!?」

「何が起きたんだ??」


「パスコードを解除した後、直ぐにこのカードが出て来た。

どうやら、これがあればどこの部屋でも開けられるようだ」


「パスコードはなんだったんだ?どうやって答えを見出したんだ!?」


俺は確か、カードの説明をしたはずなのだが、

灸縁はよっぽどパスコードが知りたかったらしく、物凄い勢いでまくし立てて来た。

だから、俺は、とてもわかり易く説明してやった。

すると、ようやく灸縁は納得して、すぐ先にある扉で確かめに行った。


「あの人も案外子供なのだな」


「多分、あの扉の向こう側には惨い光景が広がっている可能性が高い。

だから、あまりいい気分にはならないことを覚悟しておいた方がいいぜ」


「わかっている。しかし、こんなところに閉じ込めておく訳には行かないだろ?」


「・・・・そう言うと思った。

こいつみたいに、俺達のような存在を待って日々を過ごしている奴もいるはずだ。

だから、そいつらの為にも、一つ一つの扉を開けて、中を確認して行く」


俺の言葉が意外だったのか、琉貴は少し驚いたような顔をした。


「いいのか?一つ一つ扉を開けていたら時間がかかり、

お前の族長を見つけ出すまでの時間が延びることになるんだぞ?」


「・・・・決めたことだ。やるしかないだろ?

それに、どこかに族長がいるかもしれないからな」


「そうだな。では、やるとするか」


互いの意見を言い終わった後で動き出そうとした時だった。


「おいっ、こっちに来てくれないか!?」


いつもは口調をあまり荒げない灸縁がかなり慌てた様子だった為、

急いで灸縁が開けた鉄製の扉の中を見た。


そこには、長い金髪の妖怪が壁に寄りかかっていた。


それを見た途端、俺は族長だと思って走り寄ったが、

それの完全な姿が見えた直後、足を止めてしまった。


目の前にいたのは、妖怪ではなかったのだ。

神でも、人間でもない。


骨・・・・骸骨だったのだ。


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