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想造世界  作者: 玲音
第四章 種族争い
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実力をわからせたい!・・・・けど、案外難しい

「あっ、凛君!?」

「お前!?」

「よっ!帰って来たぜ、無人島!」


「・・・・へ?」

「まぁ、気にしないで。とりあえず、この子を外に出して!急いで!」

「へっ、あっ・・・・凛君は??」

「僕は、後から行くから、とにかくそのこの指示に従って!」


僕は、よくわからないまま、

とりあえず、凛君の連れて来た女の子の手を取ると、

戸惑っている幸明の腕を摑んで走って森から出る。


「どうしたんだ?なぜ、あいつを置いて来た?」

「だって、凛君が、この子を連れて森から出ろと言ったんです。だから、出るんです」


「えっ、私、一体どうしたら・・・・ここはどこですか?」

「どこも何も、ここは神域だ。お前、なぜそれを知らない?」

「あの、私は・・・・」


幸明の言葉がきつかったのか、その女の子がうつむいてしまった為、

僕は、幸明をにらみつけた後、その女の子に向かって微笑んだ。


「大丈夫ですよ?そんなに大事なことじゃないですから。

ここは、現実の世界の神域です」


「あっ、はい・・・・」

「他にも聞きたいことがあったら、なんでも聞いて下さいね」


僕がそう言うと、その子は安心したような表情を浮かべると、微笑み返して来た。


「全く、大丈夫なのか?人のことを気づかっている場合か?」


「幸明は黙ってて下さい!今は、この子に不安感を持たせてはいけないんですっ!

安心感だけを与えなくてはいけないんです!」


「どうしてそう言える・・・・」


「この子、きっと、何かを抱えているはずです。

だから、心を開くのに時間がかかるはずです。

その時間を少しでも短くする為に、細心の注意を払うんです!」


「・・・・」


僕の勢いに、幸明はしり込みしたようで、もう何も言わなくなった。


そんな僕らのやり合いを女の子は不思議そうな顔をしてみていたが、

警戒している顔色をしていない。


「そう言えば、名前をまだ教えてもらってなかったんですが・・・・

よかったら、教えていただけませんか?」


「あっ、えっと・・・・私の名前は朱音って言うんです」


「なるほど、いい名前ですね。

ところで・・・・あの樹の中で何があったか、よろしければ教えてもらえませんか?」


僕が丁寧に聞くと、朱音さんは、ゆっくりと間違った言葉を話さないように、

丁寧に話すように話し出した。


「実は、私・・・・妖怪と神の子供なんです。

だから、妖怪とも言えず、神とも言えず、どこの世界にもいけないんです。

神の世界では妖怪と恋愛をすると言うのはいけないことなのだけれど、

私のお父さんとお母さんはその掟を破り、

私と言う神と妖怪を融合した生命体を作り出してしまった。


私は、神にとっては堕ちた存在で、直ぐに私を殺そうとしました。

科学者達には、神と妖怪の融合体は私は一人しかいないから、研究をしようと追われ、

私は、逃げ場を失いました。

そして、たどり着いた森が、ここでした。

ここで優河さんに拾われ、今までずっとかくまってもらっていたんです」


僕は、うなずきながら聞いていたけど、ほんとは、よく意味がわかっていなかった。

だって、難しいじゃない。今直ぐに理解しろと言われても無理があるだろうと思う。


「そうですか・・・・僕は、人間なんです」


僕がそう言うと、朱音さんは目を丸くしたけれど、僕が微笑むと、微笑みを返される。


「人間なんですか・・・・。でも、どうして神域なんかに?」


「僕は、この通り・・・・とは言ってもわからないと思うのですが、

妖怪関連に精通している人間なんです。だから、全然平気ですよ?

まぁ、普通の人間に妖怪のことを言っても怖がられるだけでしょうけど、

僕は事情を知ってるので大丈夫です。

それに、妖怪と互角に戦うことが出来るので、襲われても大丈夫です」


「えっ、それは・・・・一体どう言うことなんですか!?」


人間なのに、妖怪のことを普通に話していて、

しかも、互角に戦えると言うことに衝撃が走ったのか、

勢いよく聞いて来た為、これは言っていいものかと迷ったけれど、言うことにした。


「実は、妖怪退治屋養成学校と言うところに通っていた為、

妖怪のことを知っている上に、退治屋と言うことなので、互角に戦えると言う訳です」


「それじゃあ、敵・・・・?」


「いえ。卒業はしました。

でも、そのまま人間界に戻って平凡な暮らしをしていたので、大丈夫です!

それにもし、僕が退治屋に仕事をしているとしたら、

妖怪である凛君や修さん、神羅さんと仲良くする訳ないじゃないですか!

だから、大丈夫です。まぁ、たまに襲われたりしますが、大丈夫ですよ」


「・・・・はぅ」


僕の説明に、朱音さんは訳がわからなくなったようで、

風船が萎んだかのように黙り込んでしまった。


「あっ、えっと・・・・とりあえず僕は、妖怪並の強さを持っていて、

妖怪や、神域などの知識を

普通の人間よりも知っている存在だと思っていただければいいと思います」


「なるほど、理解しました」


物凄くわかり易く短縮したところ、朱音さんは理解して、大きくうなずいていた。


「でも・・・・見たところ、普通の人間のように見えるのですが・・・・?」


「にっ、人間ですもん。うーん、信じてもらえないようですね・・・・

うーーーん、じゃあ、ちょっと、これを使ってやってみます」


僕はそう言うと、近くにあった木の棒を朱音さんに向けて言った。


「何をするんですか?」


「今からこの棒を上に投げるので、

これが落下する前に、ここからここの距離を、往複10回します」


「えっ、そんなこと・・・・出来る訳ないじゃないですか!

神ですら出来ないことですよ?」


「でも、出来るんですよ、脚力には自信があるので」


僕はそう言うとさっそく木の枝を放り投げると、

10往復して、余裕で木の枝をキャッチした。


「はいっ、これで理解してもらえますか?」

「あっ、あの・・・・よくわからなくて・・・・」


僕は、肩で大きく息を吐きながら、ため息をついてしまった。

だって、頑張ったのに・・・・。


「じゃっ、じゃあ・・・・」


僕は、大きく息を吐いて、汗を拭った。


「こんなところで遊んでいてていいのか?」

「あっ、そうでした!こんなところで立ち止まっている場合ではないですもんね!」


僕は、慌てて呼吸を整えると、まともに歩き出した。

ふざけちゃいけないんだ。今は大変な時なのに・・・・。


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