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想造世界  作者: 玲音
第四章 種族争い
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瘴気の奥は・・・・

「さて、どうしようかね」


僕は、瘴気の中でため息をついた。

入ったはいいけど、何をすればいいのか・・・・。


そんなことを思いながら歩いていた時、

不意に、地の底から響いて来るような声が聞こえて来た。


【ここになんの用だ?】


「おっ、ボスの方ですかね?なら、言わせてもらいましょー!

この瘴気をなんとかして下さいっ!以上です!」


【それは出来ん】


僕の申し出は考えもなく却下されてしまった為、僕は大きくうなだれた。


だってそうじゃん!

少しくらい考えてくれたっていいのにさ、

考えもしないで否定されたら、僕も嫌な気分になっちゃうよ。


「なんでですか?」


【それを、今ここに来たばかりの奴に言う義務はない】


「まぁ、そりゃごもっともと言いたいところだけど、ダメ!

言ってくれなきゃ、ここで暴れちゃうもん!」


【そんなことをしても追い出すだけだ。

ここは、私の体の中と言っていい。いつでも追い出すことは可能だぞ】


「・・・・と言うことは、あなたは、あの大きな木ですか?」


【まぁ、それぐらいなら教えてやってもいいだろう。

そうだな、私は、この森一番の巨木だ。霊樹と呼ばれている】


名前まで教えてくれとは言わなかったけど、教えてくれたので、何も言わなかった。


「・・・・チェッ、全くさ、イジワルだね!

もういいよっ!僕、出て行っちゃうもん!」


薄暗かった木の中から出る為に、明かりのある方へ歩いて行った途端、

今まで余裕に聞こえていた霊樹の声が、突然切羽詰ったものに変わった。


【その先に行くな!】

「えっ・・・・?」


僕は、既に光りの中に足を踏み込んだ後で、

そのまま、どこか違う場所に飛ばされてしまったようだ。


「おっ・・・・おろ?」


僕は、慌てて辺りを見渡すけれど、さっきの瘴気のような雰囲気はなく、

むしろ、物凄く澄んだ空気の綺麗な森の中に立っていた。

今までいた怪しい雰囲気じゃなくて、汚れ一つない綺麗な森だ。


二回綺麗と言ったことは気にしないでよ。

だって感動して、思わず二回言っちゃったんだ!


水が流れる音、青い空、澄んだ空気。そして、目の前には風車小屋があった。

まるで、映画の中のワンシーンのような気がした。


とりあえず、その風車小屋が気になったから、そこに入ってみた。


その風車小屋は安易な造りで、強く蹴ったら壊れちゃいそうだった。

木造だから脆く見えるのかもね。


とりあえずドアノブを回してみると、鍵もかかっていないようですんなり開いた為、

そのまま風車小屋に入った。その途端、鋭い声がした。


「誰!?」


僕は、とっさに体が反応して、両手を上に上げると引きつった笑みを浮かべた。

刃物か何かを突きつけられた訳ではないのだけれど、

その声だけで危険を感じて、体が動いた。


「あっ、えっと・・・・失礼しました!」


僕は、なんとかそれだけ言うと、お辞儀をしてその場を去ろうとするけれど、

呼び止められた。


「あなた・・・・悪い人じゃなさそうね」


そう言って、その声の主が姿を現した。


歳は、僕と同じくらいで、身長は僕とそんなに変わらない。

紅くて長い髪に、透き通るような白い肌で、

これまた、アニメの登場人物のようなイメージがあった。


「ええ、まぁ・・・・珍しいですね、紅い髪って・・・・。

今まで神の世界にいたけど、見てないよ?」


僕がそう言うと、その子は僕のことをじっと見た後視線を逸らし、

部屋の隅にあるベットに座った。


僕はどうしていいかわからず、そのまま動かないでいると、

手招きをされてベットに座れと促された為、

ゆっくりと扉を閉めると、出来るだけ足音を立てないように歩いた。


「どうしてそんな変な歩き方をしてるの?」

「えっ、だってこの家、ちょっと力入れただけでも壊れちゃいそうで・・・・」


僕が苦笑いでそう言うと、その子はクスクス笑い出した。

それを見て、何かおかしいことを言ったかと思うけれど、

思い当たる節がみつからない。


「まぁいいわ。とりあえず座って」


ポンポンとベットを叩かれた為、僕は、ベットに座った。

最初は、なんでこの子がベットに座ったかわからなかったけど、

部屋の中を見渡して、椅子がないことがわかって納得した。


「あなたの名前は?」

「僕は、凛だよ」

「あなた、不思議な子ね、女の子なのに僕って言うなんて・・・・」


そう言って、その子は再びクスクス笑った為、僕も、同じように笑うしかなかった。


やっぱり、男って見られないんだなって思うと悲しくなって、ため息をついてしまう。

でもまぁ、こんな体型に声だし、当たり前かな?って思った。

それに、半ば諦めてる面もあるから、いいかなって。


「いやね、僕って言うのが癖づいてるんだよね。

気にしないで!ところで、君の名前は?」


「私は、朱音(あかね)って言うの」

「そっか、いい名前だね。それに、髪の色も綺麗だね、珍しいと思うけど・・・・」


「・・・・私ね、神様じゃないんだ」

「えっ、そうなの?じゃあ、何?」

「・・・・それは」


僕が聞いた途端、朱音ちゃんは黙り込んでしまった。

深刻なことなのか、話し出そうとしない。


「僕ね、今は普通の格好をしてるんだけどね、実は、妖怪だったのです!」

「えっ!?」


僕のカミングアウトに、朱音ちゃんは驚いた。

そして、なぜか、ホッとしたような顔をした。

もしかして、朱音ちゃんも妖怪だったり・・・・?


「実はね、私、神と妖怪の子供なんだよね・・・・」


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