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想造世界  作者: 玲音
第四章 種族争い
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危険と平和は紙一重!

「んで、これで全員か?」

「・・・・みたいだな。助かった、そなたのおかげだ」

「いやいや、礼なんていらないぜ。と言うより、なんで、地下への道がないんだよ!」


「・・・・そこまではわからないのだ」

「それじゃ意味ねぇじゃねぇかよ。最悪だぜ・・・・」


俺はため息をつくと、近くの壁に寄りかかって、大きく息を吐いた。


族長を助けに地獄監獄に来たと言うのに、

他の奴らを助けて、肝心の族長を助けられないのなら、全く意味がない。


「地下へ行きたいのか?」

「・・・・ああ。知り合いが、地下に閉じ込められたんだ」

「俺、地下への道を知ってるぞ」


「本当か!?」

「ああ。だが、地下へ行くには、厳重な警備をすり抜けなければいけないぞ?」

「そんなに厳重に警備されてるのか?」


「ああ、まず、監視カメラが二十ぐらいあり、赤外線センサーもあって、面倒なんだ」

「・・・・」


俺が無言でうつむいていると、再びそいつは口を開いた。


「だが、俺達神は、助けてもらった恩を返すように言われている。

だから俺達は、お前の仲間を助けられるように努力をする。

それに、これぐらいの人数がいれば、何とか全てを乗り越えることは可能だろうな」


「なるほど。よしっ、それなら早速、地下に行こうじゃねぇか!」


「いや、待て。まずは役割分担をしなければならない。

それに、ここから最短で行ける通路を考えないとな。

今は警戒態勢がとられていないが、警戒態勢を取られたここは、

まさに、地獄監獄と言うに等しい場所だ。

警戒態勢がとられた時点で、この作戦は消滅する。

だから、事実上、勝負は一度きりだ。誰かが失敗したらそこで終わりだ」


そう言われて、自然と大きく息を吐いた。緊張感が体に走り、一気に体が冷たくなる。


「まずは、地下に行く人物を決める。それは、お前を除いて、後四人」

「なんでそんなに大勢で地下に行くんだ?」


「万が一と言うことがある。だから、四人を予備として地下に送る。

でないと、困るのはお前だ。

そして、防犯カメラを破壊するのは二十人。

そして、赤外線センサーを止める為に警備室に入り込む奴は五人。

そして、地下への扉のロックを解除する奴が一人。

この配置で、丁度全員に役割分担される。

それぞれ相談を仕合い、役割を決めろ。以上」


そう言われた途端、みなが輪になって話し合いを始める。


俺は、子供の会議みたいだな・・・・とか呑気なことを考えていると、

話を仕切っていた奴に肩を叩かれた。


「お前、大丈夫か?」

「・・・・は?」

「間違えた。お前の仲間は大丈夫か?」


「わからない・・・・。ただ、こいつが言うに、族長はもっとも地下・・・・

一番辛い刑の場所に連れて行かれたらしい」


俺は、直ぐ近くにいた灸縁を目で見やりながらそう言うと、大きくため息をついた。


「まず、そいつが生きているのかを確かめるのが先なんじゃないのか?」

「・・・・族長は生きてるさ」


「そんな保障はどこにもない。まず、生きているかどうかを確認しろ。

もし死んでいたら、無駄になるからな」


俺はため息をつくと、深く考え込む。どこを見たところで何も変わらない。

ただ、目をウロウロと動かさないと、落ち着かないのだ。


「確か、地下を監視している部屋は、この近くにあるはずだ。

俺が力を貸すから、お前の族長の様子を見に行くか?」


「・・・・」

「行きたくないなら行かないでいい。ただ・・・・」


「族長の様子を見ることが可能ならば、そうしたい。

生きているかぐらいは確認出来るんだろ?なら・・・・」


「そうか。なら、みんなが決めている間に俺達だけで行くか」

「私もついて行くぞ」


そう言って近寄って来たのは、俺が一番最初に牢屋から出した奴。灸縁だった。


「お前、どうしてついて来るんだよ?」

「そなたの族長と言うのを見てみたいと思ったのだ。どんな者なのか・・・・」

「まぁ、別にいいけどな、顔とかなんか、見えないかもしれないぞ。

俺だってよくわかんね」


「それでもいい。ついて行こう」


俺はうなずくと、そいつの後に続いてその部屋から出た。


「確か、ここの中に入れば見れるはずだ。

今は丁度誰もいないみたいだな。入ってみよう」


扉を開けて中に入って見ると、中央に三つぐらいの椅子があり、

それを囲むように液晶画面が並んでいて、色んな場所が映し出されている。


「どこだろう?」

「さあな。ん?」


一つだけ気になる画面を見つけて、自然とその画面に見入る。


壁に貼り付けられ、視線を落としている人の姿が見える。

髪が顔を隠して顔は見えないが、雰囲気で、族長だってわかった。


「あっ、族長!」

「どれだ?」

「これだ」

「172番カメラのマイクを入れよう」

「ん??」


意味がわからなくて、自然と首をかしげる。

どうやら、俺達妖怪は戦闘能力が高いが、神ほど頭が働かないらしい。


「我々の声を、向こうに繋げる」

「そんなこと出来るのか?」

「ああ、出来る。向こうの声も聞こえるようにしよう」


まさか、そんなことが出来るとは思っていなかった為、

俺は、自然とワクワクした気持ちになった。


「とりあえずこの様子だと、今のところ、地下には誰もいないらしな。

それなら、監視カメラからのスピーカーでいいな」


そんなことをブツブツ言われるけれど、俺は全く理解出来ない。

でも、大事な部分だけ理解していればいいよな?


「とりあえず、ここに向かってしゃべってみてくれ」


そう言われて、マイクらしき何かに向かってしゃべってみる。


「・・・・族長?」


俺の声が聞こえたのか、族長の体が動いたが、声が聞こえることはなかった。


「・・・・大丈夫か?」

「・・・・」


やっぱり無言のまま、体が微妙に動くだけだった。

もしかしたら、言葉すら発することが出来ないのかもしれない。


「クッ・・・・」


そう思うとやりきれない気持ちになり、せっかく話せると言うのに、言葉が続かない。


その時、突然警備室の扉が開き、警備員が入って来た。


俺達は、なんとか済んでのところで影に隠れたが、

さて、これからどうやって外に出ようか。


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