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想造世界  作者: 玲音
第四章 種族争い
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危険な森へ突入!

「どうしたのですか?」


「いえ、なんでもないです。それで、話を戻しますが、僕らは大丈夫です!

強靭な精神力を持ってます!大丈夫です!きっと魔界を救ってみませます!」


僕は、大きく胸を張って言った。


「本当は、私が変わりに行きたいのですが、いつ何が起こるかわからない状態なので、

ここから動くことは出来ないのです。

せっかくここまで頼みに来ていただいたのに、申し訳ありません。

せめて、魔光霊命が蘇生出来る様に努力をいたします」


「はい!とりあえず、目的地は神域の最果てに位置する邪悪な森。

で、目的は、そこの霧を撤去する・・・・・?

ところで、どうやって霧を無くすんですかね?」


「多分あそこには、邪悪な霧を発している何かがあるはずです。

それを無くせば霧は消えるでしょう」


「うーん、了解です!とりあえず、目的地に向かってみます!」


僕は、天命様に敬礼をすると、クルッと後ろを向いて歩いて行こうとする。

しかし、またも引き止められた。


「これを持って行って下さい」


そう言って投げ渡されたのは、明らかに毒々しい紫色をしていて、

しかも、ドロッとしている液体の入った小瓶だった。


「・・・・これは?」

「これは、催眠を解く・・・・言わば、解毒剤のようなものです」


そう言われて、とても不審に思う。


天命様を信じてる信じてないの問題以前に、

この液体の色が、明らかに毒だと告げているんだ。

だから、その裏をついた解毒剤だと言われても、納得がいかないのだ。


「催眠にかかると、まずは暴れます。

と言っても、これはあくまでの催眠の効果である為、

催眠にかからなかった場合、暴れることはありません。

そして、しばらくすると、息が荒くなり、頭痛やめまいがします。

それからしばらくすると、死に至ります」


あまりにも淡々とした口調で普通に死ぬとか言われたから、

思わず聞き流しそうになった。


「えっ!?死んじゃうんですか?幻を見せる霧じゃないんですか!?」


「あそこの霧には、幻を見せる効果と、猛毒効果があるのです。

ですから、長時間あの場にいては死に至ります。

長くても、せいぜい一時間以内に外に出て新鮮な空気を吸わないと、死に至ります。

と言っても、頭痛やめまいがしない状態の時はまだ安心して大丈夫です。

ですが、そう言う症状が出た場合、直ちにその薬を飲ませて下さい」


「えっ・・・・飲むんですか?この毒を?」

「毒ではありません。解毒剤です」


「わかってますけど・・・・これ、明らかに

『俺は毒だ!誰も飲むんじゃねぇぞ!』って色してるじゃないですか!」


「そう言って飲まなければ、死にますよ。進行が早いのが難点なんです。

頭痛やめまいがした三十分以内にこの解毒剤を飲ませないと、その者は死ぬだけです」


「えっ・・・・それなら、空気を吸わなければいいってことですか?」


「そう言うことですが、体からも中に入って来る上、

防護マスクも意味のないようなものです。

ですから、せいぜいハンカチで口を覆うぐらいでいいでしょう。

下手に重装備で行って動きが遅くなるよりは、

軽装備で挑んだ方が、生存確率はあるでしょうから」


「・・・・了解です!僕、必ず種族争いを断ち切って見せます。

だから、天命様もお願いしますね!」


「ええ。くれぐれも、気をつけて下さいね」

「大丈夫です。っね、桜っち!」


今までずっと僕と天命様で話をしていたのに、

急に話を振られた桜っちはとてもうろたえたけれど、

雰囲気を上手く読んで、大きくうなずいた。


「はい、僕達に任せて下さい!」


「・・・・わかりました。ご武運をお祈りします。

今私が出来ることは、せいぜいあなた達を目的地に飛ばすことです。

今から向かいますか?」


「はい!」


僕が大きくうなずいたのとは裏腹に、

桜っちはなんだか心配そうな顔をしていたけれど、

僕が肩をポンと叩いて笑いかけると、笑い返してくれた。


「では、どうかご無事で」

「ありがとうございます。天命様も、頑張って下さいね!」


僕がそう言った後、天命様が優しい微笑みを浮かべたのが見えた。

だけど、直ぐに景色が変わったから一瞬しか見えなかったんだけれど、

どことなく、雰囲気が魔光霊命様に似ているような気がした。


「さて、ここかな?」

「・・・・みたいですよね。明らかにまずい色をしてますし・・・・」


僕らの目の前には、確かにそれらしい森があった。

それと言って、普通の森と大差ない気がする。でも、違うところが一つある。

それは、森の中の空気が紫色をしているんだ。明らかに毒ガスってわかる色の空気。


こんなところを防護マスクもなしで行くなんて危険だと思ったけれど、

天命様の言葉を信じて、ハンカチで口を押さえる。


これだけの方がいいって言ってたんだ。もう、天命様の言葉を信じるしかない!


「なんか、森に飲み込まれそうですけど・・・・」

「大丈夫!僕らは魔界の英雄になる為に、頑張るんだ!」

「英雄?」


「そうだよ!無事に帰還したら、テレビとかの取材が来て、

きっと、歴史に残る英雄になれるんだ!これは、その為の試練だと思えばいいよ!」


「・・・・はい、頑張りましょう!」


桜っちの不安そうな顔は消えたけれど、僕だって不安なんだ。

表情には出さないだけで、本当は物凄く怖い。

心臓を握り潰されるような感覚がしてる。


でも、約束したんだ。絶対に魔界を助けるって。

それに何より、あの亜修羅に託されたんだ。絶対に諦められない。

ここでやめちゃったら、僕の負けだ。


「よしっ、みな様、これから僕達は、この不気味な森に飛び込みます!

準備はいいですか!3、2、1・・・・ゴー!」


僕は、大声でそう叫ぶと、

時計の針を確認している桜っちの腕を引っ張って森の中に突っ込んだ。


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