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ひだまりのFランク冒険者  作者: みなと劉


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81/331

81話

翌朝、リルドがギルドの扉を開けると、そこにはいつも通りの活気ある喧騒が広がっていた。数日前に新人冒険者を助けたことなど、当事者以外は誰も気にしていない。それがこの場所の良さだと、リルドは心地よく感じていた。

「……おや、これ。お散歩には最高かもしれないね」

リルドが見つけたのは、掲示板の下の方に追いやられていた『温泉の調査』と『温泉饅頭の納品』の依頼。

「温泉の様子を見て、お土産をギルドに持ってくればいいのかな?」

リルドがその札を剥がすと、今回はDランク冒険者の青年・ルシドと同行するよう受付で案内された。

「リルドさん、よろしくお願いします! Dランクのルシドです。……うわぁ、本当に綺麗な方だ」

「僕はリルド。よろしくね、ルシドくん」

二人は街から少し離れた山間にある温泉地へと向かった。

まずは源泉の状態を確認するため、間欠泉の調査を開始する。リルドは「視野拡大」を使い、地中の魔力の流れや温度の偏りを一瞬で把握した。

「うん、地脈の乱れもないし、お湯の質も安定しているよ」

「流石ですね、リルドさん。作業が早すぎて僕の出番がないくらいだ」

ルシドが感心する中、調査は滞りなく終了。その後、二人は土産屋に立ち寄り、蒸したての香ばしい匂いが漂う『温泉饅頭』を必要数購入した。

「リルドさん、せっかくここまで来たんです。……一っ風呂、浴びていきませんか?」

ルシドからの爽やかな提案に、リルドも「そうだね、疲れも取れるし」と快諾した。

脱衣所で服を脱ぎ、湯気ゆげに包まれた大浴場へ。

リルドの肌は、透き通るように白く、無駄な脂肪のないしなやかな体つきをしていた。湯船に浸かると、隣に座ったルシドが、なぜか顔を真っ赤にしてじっとこちらを見ている。

(……ルシドくん、さっきからずっとこっちを見てるけど……)

(……まさか、僕の体に、何かおかしなところでもあったかな?)

「あの、リルドさん……その、肌、すごく綺麗ですね。女性かと思うくらいで……」

「あはは、よく言われるよ。でも、ちゃんと男の子だからね」

リルドは困ったように笑い、肩までお湯に浸かった。そんな彼を見て、ルシドは「……知ってますけど、でも、やっぱり……」と小声で何かを呟き、のぼせたように顔を伏せていた。

夕刻、リルドとルシドはギルドに戻り、完了の報告をした。

「ただいま、受付さん。温泉の調査結果と、お土産の温泉饅頭だよ」

「おかえりなさい、お二人とも! わあ、お饅頭! ギルドのみんなでいただきますね。……あら、ルシドさん、顔が真っ赤ですよ? 湯あたりですか?」

「……ええ、まあ、そんな感じです。ちょっと刺激が強すぎたというか……」

ルシドはフラフラと椅子に座り込み、リルドはいつも通りの涼しい顔で報酬の銀貨を受け取った。

「さて、僕も今夜は、温泉の余韻を楽しみながら、お土産の余りの饅頭でお茶にしようかな」

万年Fランク冒険者の日常は、新しい同行者との少し「熱い」思い出を乗せて、穏やかに更けていく。


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