表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ひだまりのFランク冒険者  作者: みなと劉


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

76/328

76話

翌朝、リルドは窓から差し込む柔らかな光で目を覚ました。大きく伸びをして庭に出ると、いつもの場所で丸まっていた猫が「おはよう」と言うように小さく鳴く。

「おはよう。今日もいい天気になりそうだね」

リルドは猫の頭を優しく撫でてから、身支度を整えてギルドへと向かった。

ギルド内は、昨日「旧市街の魔獣が消えた」という怪現象の話題で依然として持ちきりだったが、リルドはそんな喧騒には加わらず、掲示板のいつもの位置にある依頼札を手に取った。

「今日はこれにしようかな。のんびり歩きたいしね」

彼が剥がしたのは、最も基本的な『薬草採取』の一枚。

「おはよう、受付さん。今日は薬草を摘んでくるよ」

「おはようございます、リルドさん! はい、受理しました。昨日の今日でそんなに落ち着いていていいんですか……? まあ、リルドさんらしいですけどね。いってらっしゃい!」

リルドは鼻歌を歌いながら、街外れの森へと足を踏み入れた。

新調した長靴が心地よく地面を叩く。彼は「視野拡大」を使い、落ち葉の陰に隠れた上質な薬草を見つけ出しては、一つずつ丁寧に摘み取っていった。

「うん、今日の薬草はどれも元気だ。いいお茶になりそうだね」

籠がいっぱいになる頃、リルドは木陰で少し休憩することにした。彼が座ると、周囲の空気がふわりと穏やかに凪いでいく。

採取を終えてギルドへの道を歩いていると、道端の大きな水たまりの横で、一匹の大きな蛙と目が合った。

その蛙は微動だにせず、じっとリルドを見つめている。

「やあ、こんにちは。君も日向ぼっこかい?」

リルドが声をかけると、蛙は「ケロリ」と一鳴きして、リルドの足元にポトリと何かを吐き出した。それは泥にまみれていたが、よく見ると鈍い光を放つ古いコインだった。

「おや、これは僕にくれるのかい? ありがとう、大切にするよ」

リルドがコインを拾い上げると、蛙は満足そうに水たまりへと飛び込んでいった。

夕刻、リルドはギルドに戻り、収穫した薬草を受付に置いた。

「ただいま、受付さん。薬草を持ってきたよ。それと、これ……途中で蛙さんにお礼にもらったんだ」

「おかえりなさい! ……えっ、このコイン……。ちょっと待ってください、鑑定士を呼びます! これ、数百年前に滅びた王国の古銭じゃないですか!? 保存状態もいいし、歴史的価値が凄まじいですよ!」

「あはは、ただの珍しいおまけだよ。蛙さんが『道案内のお礼に』って言ってた気がするしね」

リルドは驚愕する受付嬢から、薬草の報酬と古銭の鑑定料としてかなりの額の金貨を受け取ると、困ったように笑ってギルドを後にした。

「さて、僕も今夜は、庭の猫さんにお土産でも買って、ゆっくりお魚でも焼こうかな」

万年Fランク冒険者の日常は、今日も動物たちとの不思議な交流を添えて、穏やかに更けていく。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ