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ひだまりのFランク冒険者  作者: みなと劉


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66/228

66話

翌朝、リルドは窓の外で川辺へと急ぐ水鳥たちを眺めながら、「今日はキラキラしたものを探しに行こうか」と独り言を漏らし、ギルドへと向かった。

ギルド内は、昨日リルドが「時計の歯車」を一瞬で見つけ出した話が広まっており、一部の冒険者が「あいつの目は魔力眼か何かか?」と遠巻きに観察していた。リルドはそんな視線を気に留めることもなく、掲示板の隅から二枚の依頼札を剥がした。

「おはよう、受付さん。今日はこの二つをお願いするよ」

「おはようございます、リルドさん。……あ、『砂金の採取』ですね。根気のいる作業ですし、腰を痛めないように気をつけてくださいね」

「うん、ありがとう。お水遊びのついでにやってくるよ」

リルドはまず、川へと続く道すがら、朝露に濡れた瑞々しい薬草を丁寧に摘み取った。彼が摘む薬草はどれも色が濃く、籠の中からは生命力に満ちた香りが立ち上っている。

川辺に到着すると、リルドはさらさらと流れる清流に素足を浸した。

「冷たくて気持ちいいね……」

彼は「視野拡大」の力をふんわりと使い、砂利の間に混じった微かな黄金の輝きを見つけ出していく。本来なら専用の皿で何度も揺すって選別する作業だが、リルドが水面に指を浸して軽く回すと、水の流れが意志を持ったかのように砂金を一箇所に集めてくれた。

「よし、これで依頼の分は十分だね。……おや、この綺麗な小石は庭に飾ろうかな」

砂金と薬草を抱え、満足げに街への帰り道を歩いていると、前方から同じFランクの新人冒険者のグループがやってきた。

「あ、見て……。あの人、すごく綺麗……」

「本当だ。なんていうか、雰囲気がすごくかわいいよね」

すれ違いざま、彼らはリルドを見て顔を赤らめながらそう囁き合った。

リルドは首を傾げ、自分の服に何か付いているのかと見回したが、特に変わった様子はない。

「……?? 僕、何かついてたかな。……まあいいか。お天気がいいから、みんな機嫌がいいんだろうね」

本人は全く自覚がないまま、ふわりとした穏やかな微笑みを浮かべて歩き続けた。

夕刻、リルドはギルドに戻り、小瓶に入った砂金と薬草を受付に置いた。

「ただいま、受付さん。砂金、集めてきたよ。川のお水がとても綺麗だった」

「おかえりなさい、リルドさん! ……えっ、こんなにたくさんの砂金を一日で!? 熟練の採掘師でも難しい量ですよ。……それにリルドさん、なんだか今日はいっそう……その、キラキラして見えますね」

「あはは、砂金の光が移っちゃったのかな。……あ、そういえば帰り道に『かわいい』って言われたんだけど、僕の顔に泥でもついてたかな?」

「あ……。いえ、それはきっと……そのままでいいと思います」

受付嬢は顔を少し赤らめて苦笑いし、報酬の銅貨を手渡した。

「さて、僕(僕)も今夜は、川で冷やした果物でも食べて、ゆっくり休もうかな」

万年Fランク冒険者の日常は、今日も誰にも気づかれない美しさを纏いながら、穏やかに更けていく。


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