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ひだまりのFランク冒険者  作者: みなと劉


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65/220

65話

翌朝、リルドは窓辺で羽を休める小鳥に「今日は探し物のお手伝いだよ」と声をかけ、いつものようにギルドへと向かった。

ギルド内は、昨日「神の薬草」を拾ったCランクパーティーが、「あの場所には癒しの聖域があるに違いない」と地図を広げて議論を戦わせていた。リルドはそんな喧騒をさらりと聞き流し、掲示板の隅に貼られた二枚の依頼札を手に取った。

「今日はこれと、これ。歯車なんて珍しい依頼だね」

彼が剥がしたのは、いつもの『薬草採取』と、『なくした歯車を探してほしい』というもの。

「おはよう、受付さん。今日はこの二つに行ってくるよ」

「おはようございます、リルドさん。あ、その歯車の依頼……時計職人の頑固なおじいさんが出したものなんです。森の広場付近で落としたらしいんですが、かなり小さいパーツみたいで誰も見つけられなくて。受理しますね、頑張ってください!」

「うん、お散歩ついでに目を凝らしてくるよ」

リルドはまず、道中の陽だまりで瑞々しい薬草を丁寧に採取した。

その後、指定された場所へと向かうと、そこには一本の大きな古木の下で、老人が地面を這うようにして何かを探していた。

「こんにちは。ギルドから来たリルドです。歯車を探しに来たよ」

「おお、あんたか……。わしの不注意でな。先祖代々伝わる古い時計の、一番大事な歯車をここで落としてしまったんじゃ。魔獣に驚いて転んだ拍子にどこかへ……。小さいし、もう見つからんかもしれん」

老人は肩を落として力なく笑った。リルドは「大丈夫、きっとすぐに見つかるよ」と穏やかに微笑むと、そっと「視野拡大」と「言語理解(自然のささやき)」を働かせた。

(……風に運ばれた音、草が隠した金属の冷たさ……あそこだね)

リルドは数歩歩くと、重なり合った落ち葉の隙間に指を差し入れた。そこには、鈍い金色に輝く、精密に細工された小さな歯車が挟まっていた。

「これかな? 木の根っこが守ってくれていたみたいだよ」

「おおお! 間違いない、これじゃ! まさかこんなに早く……。あんた、ただ者じゃないな!」

夕刻、リルドはギルドに戻り、報告を済ませた。

「ただいま、受付さん。薬草を持ってきたよ。歯車も無事におじいさんに返せた。すごく喜んでくれたよ」

「おかえりなさい! ……えっ、あの歯車を見つけたんですか!? ベテランの斥候セッコウでも見つけられなかったのに……。職人さん、さっきギルドに連絡をくれましたよ。『最高の幸運を運ぶ冒険者がいた』って」

「あはは、運が良かっただけだよ。お日様の光がちょうど歯車に反射して教えてくれたんだ」

リルドはとぼけた顔で報酬の銅貨を受け取ると、満足げに微笑んでギルドを後にした。

「さて、僕も今夜は、あのおじいさんにお礼でもらったお菓子を食べて、ゆっくり休もうかな」

万年Fランク冒険者の日常は、今日も誰にも知られることのない鋭い観察眼を秘めて、穏やかに更けていく。


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