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ひだまりのFランク冒険者  作者: みなと劉


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314/346

第314話

翌朝、リルドはいつものようにギルドの扉をくぐり、朝の活気の中に身を置いた。

掲示板を眺めながら、今日の「お散歩コース」を考えていると、背後から大きな影が近づいてきた。

「よう、リルド! 今日も朝から精が出るな!」

ガッ、と力強い手で肩を叩かれた瞬間、リルドの肩が跳ね上がった。

「ひゃっ!? ……あ、なんだ、ゴルドさんか。びっくりさせないでよ……」

「ははは! 相変わらずいい反応するじゃねぇか。お前さん、線が細いからつい構いたくなるんだよな」

リルドは心臓の鼓動を落ち着かせながら、苦笑いして掲示板から『薬草採取』の依頼札を剥がした。

森へ入ると、リルドはいつもの静寂に包まれた。

指先から微かな魔力を流し、地中の水分量を感じ取りながら、最高級の薬草を選り分けていく。

「よし、今日はこれで十分かな。……クロ、帰りにあそこの川の石も見ていこうか」

「キー!」

籠いっぱいの薬草を背負い、鼻歌まじりに街への帰り道を歩いていると、先ほどのゴルドたち冒険者パーティーと鉢合わせした。彼らは大型の魔獣を仕留めた帰りらしく、上機嫌だった。

「お、リルド。仕事は終わったか?」

「ええ、ちょうど今帰りです。皆さんもお疲れ様です」

リルドが丁寧にお辞儀をすると、ゴルドは「よく頑張ったな」と言わんばかりに、大きな掌をリルドの頭に乗せた。そのまま、わしゃわしゃと乱暴に髪をかき混ぜる。

「……っ、ちょっ、やめてくださいってば!」

「がっはっは! 柔らかい髪してんなぁ。まるで迷い込んだ仔兎だぜ」

リルドはぐちゃぐちゃになった前髪を押さえながら、少しだけ頬を膨らませて早歩きでギルドへ向かった。

ギルドのカウンターに薬草を差し出すリルドの顔は、いつもより少しだけ不機嫌そうだった。

「ただいま、受付さん。……今日の薬草です。あ、髪は……気にしないで」

「おかえりなさい、リルドさん。……ふふ、またゴルドさんたちに構われちゃったんですか?」

そこへ、追いかけてきたゴルドが再び現れた。

「おいおい、そんな怒るなよリルド。ほら、お疲れさん!」

不機嫌そうに背中を向けているリルドの頭を、ゴルドはさらに追い討ちをかけるように撫で回す。

「もうっ……! だから、子供じゃないんだから……やめてください!」

リルドはさらに顔を真っ赤にして、受け取った報酬を握りしめると、ぷいっと横を向いてしまった。

『……ふん。お主のその「隙」の多さが、粗野な連中の庇護欲を無駄に刺激しておるのだ。少しは我のような鋭さを身につけよ』

腰のラッファードが呆れたように念じるが、リルドは「もう、知らない!」と心の中で叫び、逃げるようにギルドの奥へと消えていった。

最強の力を秘めながら、ギルドの荒くれ者たちには完全に「いじられキャラ」として定着してしまっている。

万年Fランクのリルドの毎日は、誰かの親愛(?)という名の受難に遭いながら、今日も騒がしく、そして温かく更けていく。

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