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ひだまりのFランク冒険者  作者: みなと劉


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22話

リルドは肩に猫を乗せたまま、冒険者たちが騒いでいる現場へとゆっくり歩み寄った。

そこには、普段なら森の強者として恐れられる「ウルフリーダー」がいた。しかし、その様子は明らかにおかしかった。威厳に満ちたその巨体は小刻みに震え、尻尾を股の間に丸め込み、「キャイン、キャイン……」と情けない鳴き声を上げている。

「どうしたの? そんなに怯えて、大丈夫?」

リルドがいつものように穏やかな声をかけながら近づくと、周囲の冒険者たちは目を見開いた。

「おい、リルド! 近づくな、そいつは凶暴なリーダーだぞ!」

だが、ウルフリーダーはリルドの気配に気づくと、救いを求めるようにその足元へ転がり込み、クンクンと鼻を鳴らして必死に何かを訴え始めた。

「……ふむふむ。なるほど、それは怖いね」

リルドは動物や魔獣の言葉を理解できる。リーダーの話によれば、森の奥に「得体の知れない、とてつもなく不気味で騒がしいモノ」が突然現れ、森の主たちが一斉にパニックを起こして逃げ出しているのだという。

「わかったよ。君たちが安心して眠れるように、僕が見てきてあげる」

リルドはウルフリーダーの頭を優しく撫でて落ち着かせると、騒ぎの根本を確認するために、一人で森の奥へと足を踏み入れた。

森に入ると、確かに異様な気配が漂っていた。多くの魔獣がリルドの横を猛スピードで駆け抜けていくが、リルドは動じることなく、騒音の源へと向かう。

やがて彼が辿り着いたのは、森の最深部にある古い遺跡の広場だった。

そこでは、一匹の巨大な「エンシェント・ゴーレム」が、腕を振り回しながらぐるぐると回転していた。

「あー……あれか」

ゴーレムの足元を見ると、岩の隙間に小さな、しかし非常に強力な魔力を帯びた「魔力結晶」が挟まっていた。どうやらそれがゴーレムの関節を刺激し、暴走に近いダンスのような動きを引き起こしていたらしい。ゴーレムが動くたびに、周囲の木々がなぎ倒され、地響きのような音が鳴り響いていたのだ。

「そんなところに挟まってたら、痛いし落ち着かないよね」

リルドはゴーレムの巨大な足元へ、まるで散歩でもするように近づいていった。

暴走するゴーレムの腕が、リルドの頭上を凄まじい風切り音と共に通過する。

しかし、リルドは絶妙なタイミングでその攻撃をかわすと、一瞬の隙を突いてゴーレムの足元へ指先を伸ばした。

「はい、取れたよ」

リルドが指先で「トン」と岩を叩くと、挟まっていた魔力結晶がポロリと外れた。

すると、あんなに暴れていたゴーレムは、ふっと力を抜いたように動きを止め、元の静かな石像のような姿に戻って座り込んだ。

「これで静かになるね。おやすみ」

リルドは拾った結晶をポケットに放り込み、静まり返った森を抜けて街へと戻り始めた。

夕暮れ時、ギルドに戻ったリルドは、まだ騒いでいる冒険者たちを横目に受付へ。

「お疲れ様。石像磨き、終わったよ。あ、森の騒ぎももう収まったみたい」

「えっ? あんなに大騒動だったのに……? 警備隊が出動しようとしてたところよ?」

受付嬢が驚きに目を見開く中、リルドは報酬の銅貨を受け取り、満足げに微笑んだ。

「きっと、みんながびっくりして逃げただけだよ。さ、帰って猫ちゃんにミルクをあげなきゃ」

リルドは肩の上で眠そうにしている猫を優しく撫で、穏やかな夕焼けの中を家路についた。


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