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ひだまりのFランク冒険者  作者: みなと劉


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18話

翌朝、リルドはギルドのロビーにある使い古された革張りのソファに深く腰掛けていた。

片手には、ギルドに併設された酒場で淹れてもらった温かい木の実のジュース。

「ふぅ……。今日も平和だなぁ。急いで依頼を受けるのもいいけど、こうして人が行き交うのを眺めるのも悪くない」

のんびりと飲み物を飲み干したリルドは、一度お手洗いを済ませてから、おもむろに掲示板の前に立った。

指先で依頼札をなぞりながら、今日の「散歩コース」を決めていく。

「ふーん……ん? 『鉄鉱石を納品お願いします』か。あそこの鉱山跡なら、涼しくて過ごしやすそうだな。これにしよっと」

リルドはその依頼札を剥がし、受付へと持っていった。

「おはよう、受付さん。これお願いします」

「おはよう、リルドさん。鉄鉱石ね。少し重いけど大丈夫? あの場所は道が険しいから、気をつけてね」

「うん、大丈夫。力仕事は得意な方だからね」

目的地である古い鉱山跡に到着したリルドは、涼しい風が吹き抜ける坑道へ入っていった。

普通ならツルハシで力任せに掘るところだが、リルドは岩肌にそっと手を触れる。

「……ここかな」

指先に微かな魔力を通すと、岩の隙間から純度の高い鉄鉱石がポロリとこぼれ落ちる。無理に砕かないので、石も傷つかず、音も静かだ。

リルドは必要分の鉱石を丁寧に籠に詰め、満足げに坑道を後にした。

街への帰り道、切り立った岩場の続く街道で、数人のCランク冒険者が慌てふためいていた。

「くそっ! なんだってこんな所に『ワイルドウルフ』の群れが!」

「囲まれた! 応援を呼ぶ時間はねぇぞ!」

冒険者たちが武器を構え、凶暴なウルフたちが今にも飛びかかろうとした、その時。

空を裂くような鋭い鳴き声と共に、巨大な影が舞い降りた。

「……ロック鳥!?」

冒険者たちが絶望の声を上げる。空の王者が現れたとなれば、もはや全滅は免れない。

しかし、その大きな鳥はウルフたちには目もくれず、驚くべき速さでリルドへと駆け寄ってきた。

「あ! 君は前に怪我をしていた子だね? もう大丈夫?」

リルドが笑顔で声をかけると、ロック鳥は目をキラキラと輝かせ、大きな頭をリルドの肩に「すりすり」と押し付けた。

「く、くえぇ……」

喉を鳴らし、甘えた鳴き声を出すロック鳥。その光景に、Cランク冒険者たちは腰を抜かして固まっている。

「よしよし、元気そうでよかった。……あ、そうだ。君にお願いがあるんだ」

リルドは自分たちを取り囲んでいるワイルドウルフたちを指差し、ロック鳥に優しく微笑みかけた。

「あの子たちがね、ちょっと悪い子をしてるみたいなんだ。僕たちで少し懲らしめてあげようか」

「くええ!」

ロック鳥はリルドの言葉に応えるように力強く鳴くと、大きく羽を広げた。

リルドが指先で「トン」と空気を弾いた瞬間、ロック鳥は凄まじい風圧を伴って旋回し、ウルフたちの包囲を瞬時に瓦解させる。

リルドの放つ穏やかな、しかし絶対的な「意思」と、空の王者の圧倒的な力。

それは、暴れていたウルフたちを戦意喪失させるのに十分すぎるものだった。

夕暮れの街へ向かう道中、ロック鳥は名残惜しそうにリルドの頭上を何度も旋回してから、空の彼方へと帰っていった。

「またね、お友達」

リルドは手を振り、何事もなかったかのようにギルドへ鉄鉱石を届けに向かった。

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