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ひだまりのFランク冒険者  作者: みなと劉


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171/346

171話

ギルドの扉を開けると、いつものように騒がしい活気がリルドを迎えた。

「おい、この酒場の新しいチキン、マジで美味いぞ!」

「それよりこのおすすめ小説読んだか? 『時の剣士』の正体について熱い考察が載ってるんだ」

そんな会話を耳に流しながら、リルドは掲示板の前へ。

「(今日も目立たない仕事を……)」

彼は『薬草採取』と『岩トカゲの生態記録』の依頼書を剥がし、受付に持っていった。

街の外へ出ると、まずは草原で慣れた手つきで薬草採取を済ませる。

次に、岩場の陰に潜む岩トカゲの生態記録を行う。じっと動かずにトカゲの動きを観察し、手帳に筆を走らせる。地味だが、リルドの鋭い観察眼が光る作業だ。

帰り道、背中の剣と少し話す。

『リルドよ、先ほどの岩トカゲの観察眼、なかなかどうして鋭いではないか。あの隙を突けば一撃だったろうに』

「……ラッファード、僕は別に戦いたいわけじゃないんだってば。記録するだけで十分だよ」

『ふん、欲のない主だ。だが、そういう静かな強さも……まあ、悪くはない』

そんなやり取りを、肩の上のうさぎが「ぴっぴ」と楽しそうに聞いている。

夕暮れ時、リルドはギルドに報告するために戻ってきた。

「ただいま、受付さん。薬草と、岩トカゲの記録だよ」

「おかえりなさい、リルドさん! いつも丁寧な報告、ありがとうございます。生態調査の資料、学者さんたちが喜ぶわ」

報酬の銅貨を受け取り、リルドは安堵の息をつく。

「さて、僕も今夜は、ギルドで話題のチキンでも買って帰って、ラッファードの昔話でも聞きながらゆっくり休もうかな」

万年Fランク冒険者の日常は、伝説の勇者との穏やかな会話を楽しみながら、静かに、けれど確実に実績を積み重ねていく。


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