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ひだまりのFランク冒険者  作者: みなと劉


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159/346

159話

鳥のさえずりと共に、今朝も頭の中に直接響く不躾な声で朝起きる。

『おい……薄のろま』

「あの」

『なんだ? 薄のろま』

「リルドだ」

『なんだ? 薄』

「リルド!!」

『ほう? リルドか、薄のろま』

「それやめろ!」

朝から不毛な押し問答を繰り返し、僕はすっかり疲れ果てた顔で、肩にうさぎ、背中にうるさい剣を背負ってギルドで掲示板をみる。

『薄……いやリルドよ……これなどどうだ?』

剣が選んだ依頼書を、同時にうさぎもぴっぴと同じ依頼書を叩く。

『ほう? お主、なかなかに骨がある。我と気が合うようだな』

「ぴっぴっ!」

いつの間にかこの二人は仲良くなっている。……僕を置いてけぼりにして。

現場への移動中も、剣の口(?)は止まらない。

『リルド……帰ったら、報酬の油で俺の柄をよしよししてくれないか?』

「それは卑猥な行為だったら許さないよ?」

『…………おぅ』

一瞬の沈黙。(そういう行為だったんだな)と僕は確信し、冷ややかな視線を背中の剣に送った。

依頼書の内容をこなす最中も、剣は「俺の角度が悪い」だの「うさぎ、そこだ!」だのと騒がしい。だが、帰り道に運悪く魔獣の群れに襲われている冒険者に出くわした。

「助けてくれ!」

「ちょうどいい、僕も少しイライラしてたんだ」

僕は冒険者の前に躍り出る。一緒に魔獣討伐を手伝う。

『さあ、リルドよ!! 我を使い……最高の魔術剣技を見せろ!』

「ああ! そのつもりだ!(そしてストレス発散させてもらうからな!!!)」

僕は剣の文句を封じるように魔力を全力で流し込み、目にも止まらぬ速さで剣を振るった。

「(魔術回路・全開! 剣士格闘術・極!)……せいッ!」

青白い閃光が森を駆け抜け、魔獣たちは悲鳴を上げる暇もなく霧散した。あまりの威力に、助けた冒険者はポカーンと口を開けて固まっている。

スッキリした顔でギルドに報告するために戻ってきた。

「ただいま、受付さん。討伐と採取、終わったよ」

「おかえりなさい! リルドさん、なんだか今日は……剣から『ひぃぃ、もう勘弁してくれ』って声が漏れ聞こえてきそうなほど、凄みがありますね」

「あはは、気のせいだよ。しっかり『よしよし(物理的な手入れ)』してあげないとね」

報酬を受け取り、僕は「お、俺が悪かった……」と震える剣を背負い直した。

「さて、僕も今夜は、少し静かになった聖剣を眺めながら、うさぎ君と一緒に美味しいスープでも飲んでゆっくり休もうかな」

万年Fランク冒険者の日常は、伝説の武器を力技で黙らせながら、今日も穏やかに(?)更けていく。


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