表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ひだまりのFランク冒険者  作者: みなと劉


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

154/346

154話

翌朝、昨夜の回想の余韻を振り払うように、僕はいつものようにギルドで掲示板をみる。

今日は少し高い場所の空気を吸いたくて、険しい場所の依頼を選んだ。

「これに決めたよ、受付さん」

依頼書『ホノル山脈でホノウ石の採取』。

標高の高い場所にしかない、熱を帯びた珍しい鉱石の採取依頼だ。

「おはよう、受付さん。ちょっと山まで登ってくるね」

「おはようございます、リルドさん。ホノル山脈は冷えますから、準備は入念にしてくださいね」

受理印をもらうと、僕は道具屋で必要な物を揃え、防寒具や採掘用のピッケルを鞄に詰めて、ホノル山脈へ向かうことにした。

澄んだ空気と雪に覆われた山道を、「視野拡大」で足場を確認しながら登っていく。目的の場所へ着くと、岩の隙間で赤く光るホノウ石を採取した。熱を放つその石を慎重に袋へ詰め、ホッと一息ついて帰り道を歩いている時のことだ。

向こうからやってきたCランク冒険者が来て、僕の前に立ちはだかった。彼は僕を上から下に見て、鼻で笑いながら言った。

「おいおい、こんな雪山に女の子がこんなとこ来ちゃだめだろ。危ないから俺が……へ?」

その瞬間、僕の耳には「女の子」という言葉が鋭く刺さった。

最近よく頭を撫でられたり、小動物扱いされたりしていた我慢が、ついに限界を超えた。

「……僕は、男だ!!」

ばきっ! どかっ!!

一瞬の静寂。地面には、何が起きたかわからず目を白黒させて倒れているCランク冒険者の姿があった。

僕は乱れた襟元を整え、ふんと鼻を鳴らす。

「ふう……すっきりした」

性別を間違われて不機嫌なリルドは、倒れた冒険者を放置したまま、足早に山を下りた。

街に戻り、まだ少し頬を膨らませたまま、僕はギルドに報告するためにカウンターへ向かった。

「ただいま、受付さん。ホノウ石、持ってきたよ」

「おかえりなさい、リルドさん! ……あら? なんだか今日は少し……お怒りですか?」

「……受付さん。僕、そんなに女の子に見えるかな?」

僕が低い声で尋ねると、受付さんは「えっ、あ、いえ! 中性的で可愛らしいとは思いますけど……」と冷や汗をかきながらフォローしてくれた。

報酬の銅貨を受け取り、僕はまだ少し収まらないイライラを抱えながらギルドを後にした。

「さて、僕も今夜は、自分が男だってことを再確認するために、ガッツリと厚切りの肉でも焼いて、豪快に食べてゆっくり休もうかな」

万年Fランク冒険者の日常は、たまには溜まった不満を爆発させながら、賑やかに更けていく。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ