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ひだまりのFランク冒険者  作者: みなと劉


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152/346

152話

ギルドに戻ると、昨日の戦いを見た冒険者の話に尾ひれがつき、とんでもない剣士の噂がギルドで流れるが、誰もその正体に気づかないまま酒の肴にしたり、ファンタジー小説の話をしたりしていた。

特に少し昔に連載していたファンタジー小説『時の剣士』が人気らしく、荒くれ者たちが「あの剣技はまさに主人公の再来だ!」と盛り上がっている。その剣士の実のモチーフがリルドであることも知らずに語っているのを横目に、僕は苦笑いした。

「(あれ……僕なんだけどなぁ。あの作者さん、僕の旅の様子をこっそり書いてたんだよね)」

そんな喧騒をすり抜け、掲示板でたまに見るポエムのような依頼書があったのを見つける。

「(あ、またこういうの出てきたね)」

『されどもされども行く末は末端である。だが『ここにある』それまた人生である』。

目的も報酬も判然としない、哲学的な一文。

「(何を意味してるのか……今回のお散歩はそれを確かめるのが正しそうだね)」

僕がその紙を剥がそうとしたら、隣から伸びてきた手が被った。

「あ」

「あ……悪い、君もこれに興味が?」

そこにいたのは、真面目そうな目をした若手剣士のエストだった。結局、意気投合してこの奇妙な依頼書を一緒に行うことにした。今回はリルド、エストと一緒に行くことになった。

街の外へ出て、僕たちはポエムの意図を汲み取ろうと歩き回る。

「末端……人生……。リルドさん、これは境界線のことでしょうか? それとも人生の終着点?」

「うーん、どうだろうねぇ」

歩き続けて数時間、なかなか文章の意味に辿り着けない。だが、街道の本当に端っこ、手入れもされていない古い行き止まりに差し掛かった時、とある場所につきリルドは思った。

そこには、誰にも見られず、ただ静かに一輪の小さな花が咲いていた。道はここで終わり。まさに「末端」。けれど、その花はそこで精一杯に命を謳歌している。

「(『ここにある』。……そっか。どこへ行くかじゃなく、今ここでどう在るかってことか。この依頼主は、この景色を見てほしかったんだね)」

何も倒さず、何も得ず。ただその「在り方」を心に刻んで、僕たちは街へ引き返した。

ギルドに報告すると、受付さんは「ああ、あのポエム依頼ですね」と笑った。

「あれ、隠居した元ギルド長が、お気に入りの景色を誰かに見せたくてたまに出すんですよ。正解に辿り着いたのはリルドさんたちが初めてです」

「あはは、いいお散歩になったよ」

エストは「深い……深すぎる……」と感動に震えている。報酬の銅貨一枚を分け合い、僕は夕暮れの空を見上げた。

「さて、僕も今夜は、道端の花の強さを思い出しながら、温かい野菜スープでも飲んでゆっくり休もうかな」

万年Fランク冒険者の日常は、物語の正体を隠したまま、一輪の花のように穏やかに更けていく。


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