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ひだまりのFランク冒険者  作者: みなと劉


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151/346

151話

翌朝、僕はいつものようにギルドで掲示板を見る。今日は少し風が冷たく、体が疼くような感覚があった。僕は二枚の依頼札を選び取る。

「今日はこれと、これにするよ」

依頼書『古井戸の調査』と『シンサーウルフの討伐』。

「(さて、たまには本気でやるかな)」

「おはよう、受付さん。この二つ、受けていくね」

「おはようございます、リルドさん。ウルフの討伐ですか? 無理はしないでくださいね」

受理印をもらい、僕は静かに街の外へと歩き出した。

まずは、郊外にある依頼書の古井戸の調査を行う。

「視野拡大」で暗い井戸の底まで見通し、構造を確認する。

「ふむ……滑車が安定してないね」

僕は手際よく緩んだ部位を調整し、安全を確認した。

続いて、森の奥深くへ。依頼書のシンサーウルフ討伐だ。

「聴覚向上」を最大まで広げ、森の呼吸を読み取る。

「(うまく出くわすと良いんだけどね)」

気配を消し、森と一体化して獲物を探す。ほどなくして現れたシンサーウルフを、僕は無駄のない動きで仕留めた。

森の出口付近で、悲鳴と共に巨大な地響きが聞こえてきた。冒険者が「助けてくれー!」と、巨大な魔獣に追われてこちらへ走ってくる。

相手は突進力の塊、ロンガーディバイソンだ。

僕は落ち着いて背中の手荷物からロングソードを取り出した。

「本日は大サービス」

そう呟き、僕の体内で、眠っていた魔力が鋭く脈打ち始める。

「(魔術回路、剣士格闘術、魔術剣士を久しぶりに使うよ)」

ロンガーディバイソンが突進してくる。

僕は最小限の動きで、ロンガーディバイソンの角を軽い風圧で斬り飛ばした。さらに、背後の飛び木の幹を利用して風の魔術に乗り、空中で剣を旋回させる。

「(風よ、火よ、混ざり合え……!)」

火の魔術と風の魔術を合わせた剣技で討伐する。紅蓮の渦を纏った一閃が魔獣を貫き、巨大な体は一瞬で沈黙した。

その華麗な切っ先に冒険者は腰を抜かす。

「な、なんだ……今のは……。あんた、一体……」

僕は剣の汚れを軽く払い、いつもの穏やかな微笑みに戻った。

「あはは、運が良かっただけだよ。怪我はないかな?」

夕暮れ時、僕はギルドに報告するためにカウンターへ向かった。

「ただいま、受付さん。古井戸の調査も、ウルフの討伐も終わったよ」

「おかえりなさい! ……あれ? なんだか今日のリルドさん、いつもより少し……シュッとして見えますね?」

「そうかな? 運動したからかな」

背後で、先ほどの冒険者が「とんでもない剣士がいたんだ!」と熱弁しているのを横目に、僕は報酬の銅貨を受け取った。

「さて、僕も今夜は、久しぶりに動かした体の節々を労りながら、温かいお粥を食べてゆっくり休もうかな」

万年Fランク冒険者の日常は、その真の姿を夕闇に隠したまま、また穏やかに更けていく。


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