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ひだまりのFランク冒険者  作者: みなと劉


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149/346

149話

翌朝、昨日の「小動物扱い」に少しだけ納得がいかないまま、僕はいつものようにギルドで掲示板を見る。

今日は少し体を動かしたい気分だったので、目にとまった素朴な依頼を手に取った。

「今日はこれにするよ、受付さん」

依頼書『裏通りのドブさらいと排水点検』。

地味で汚れ仕事だけれど、街の衛生を守るためには欠かせない大切な仕事だ。

「おはよう、受付さん。街の裏側、少し綺麗にしてくるね」

「おはようございます、リルドさん。まあ、あそこは足場も悪いですし、匂いもきついですよ。本当にリルドさんが受けちゃうんですか?」

「あはは、大丈夫。鼻は利くけど、綺麗にするのは得意だからね」

受理印をもらうと、僕は長靴と清掃道具を担いで、依頼書の裏通りへと移動を開始した。

現場に到着し、仕事開始だ。

「視野拡大」で排水溝に詰まった泥やゴミの塊を正確に見つけ、「聴覚向上」で水の流れが滞っている場所の微かな異音を拾い上げる。

特別な力で一瞬にして浄化することはしない。僕は自分の手で泥を掻き出し、石の隙間に詰まった枯れ葉を取り除いていく。地道な作業だけれど、詰まりが取れた瞬間に「スッ」と水が流れていくのを見るのは、何とも言えない爽快感がある。

「(……よし、これで雨が降っても溢れることはないね)」

泥だらけになりながらも、僕は全ての点検を終えた。近くの井戸で軽く手足を洗い、夕暮れの涼しい風を浴びながら帰り道を歩く。

すると、向こうから屈強な戦士風の冒険者がやってきて、すれ違いざまに僕の肩をポンと叩いたかと思うと、そのまま頭を力いっぱい撫で回してきた。

「おっ、リルドじゃねえか! 精が出るな! ……お前は本当に、見てるだけで心が洗われるぜ!」

「ちょっ……、あはは! 髪がぐちゃぐちゃになっちゃうよ……!」

またしても撫でられた理由がわからず、僕は首を傾げる。

「(……さっきまでドブを掃除してたから、むしろ汚れてるはずなんだけどな。冒険者の人たちは、不思議な感覚を持っているんだね)」

髪を整え直し、僕はギルドに報告するためにカウンターへ向かった。

「ただいま、受付さん。裏通りの点検、バッチリ終わったよ。水も綺麗に流れるようになった」

「おかえりなさい! お疲れ様です……あら、なんだか今日は一段と髪がふわふわに跳ねていますね。また誰かに可愛がられましたか?」

「あはは、さっき。……ねえ、受付さん。僕、そんなに撫でたくなるような顔をしてるかな?」

僕が真剣に鏡を覗き込むと、受付さんはクスクスと笑いながら、「リルドさんには、不思議な癒やしのオーラがあるんですよ」と教えてくれた。

報酬の銅貨を受け取り、僕は心地よい疲れを感じながらギルドを後にした。

「さて、僕も今夜は、綺麗になった水の流れを思い出しながら、温かいお風呂に入ってゆっくり休もうかな」

万年Fランク冒険者の日常は、街の隅々を整えながら、誰かの優しさに包まれて穏やかに更けていく。


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