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ひだまりのFランク冒険者  作者: みなと劉


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147/346

147話

翌朝、少しだけお酒が抜けてスッキリした頭で、僕はギルドで掲示板を見る。

今日は体が軽かったから、少しクリエイティブな仕事がしたいなと思っていると、一枚の依頼札が目に留まった。

「これ、受けてもいいかな」

依頼書『お料理補助を頼みます』。

街の小さな食堂が、忙しいランチタイムの助っ人を探しているようだ。

「おはよう、受付さん。これ、僕が手伝いに行っても大丈夫?」

受付からは「お料理って作れます? 問題ないならいいですけど」と少し心配そうに聞かれた。

「あはは、腕には自信があるよ。自分で魚を捌いたり、野菜を煮込んだりするのは日常茶飯事だからね」

「それなら安心です。よろしくお願いしますね、リルドさん!」

受理印をもらうと、僕はエプロンを鞄に忍ばせて、依頼書の場所へいくために、下町の「ひだまり食堂」へと向かった。

現場に到着すると、厨房は戦場のような忙しさだった。僕はさっそく袖を捲り、戸惑っている若い見習いの子にアドバイスを始めた。

「ここはフライパンを一旦熱してから、濡れ布巾に落として、それから再度温めてから油を引いたほうがいいよ」

僕は実演しながら教える。ジューッという小気味よい音と共に温度が均一になったフライパンへ、滑らかに油が馴染んでいく。

「で、玉子焼きは油を引いたら卵液。それから一旦端に寄せてから、油をまた引いて卵液。それから巻くと、層が均一になって綺麗になるよ」

僕が手際よく菜箸を動かすと、黄金色のふわふわな玉子焼きが次々と焼き上がっていく。見習いの子や店主は「おお……なんて鮮やかな手際だ!」と感心しきりだ。

「視野拡大」で焼き色のムラを見逃さず、「聴覚向上」でパチパチという油の弾ける音を聞き分け、火の通り具合を完璧にコントロールする。

「(……うん、今日も美味しく焼けたね)」

無事にランチタイムを乗り切り、大満足の店主から焼きたてのパンをお土産にもらって、僕はギルドに報告するために戻ってきた。

「ただいま、受付さん。お料理補助、大盛況だったよ」

「おかえりなさい! お疲れ様です……。あ、食堂の店主さんからさっきメッセージが来ましたよ。『リルドは料理の神様の申し子か?』って」

「あはは、ちょっとしたコツを知っているだけだよ。喜んでもらえてよかった」

報酬の銅貨を受け取り、僕は食欲をそそる香りの余韻に浸りながら背伸びをした。

「さて、僕も今夜は、今日教えた玉子焼きを自分でも焼いて、のんびりと夕食を楽しもうかな」

万年Fランク冒険者の日常は、美味しい笑顔を街に広げながら、穏やかに更けていく。


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