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魔族領の影

いよいよ魔族領への進出、さらに新展開あり

人類領の境界を越えた瞬間、空気の質が変わった。

土は赤黒く、風は湿り気を帯び、遠くで何かが燃える匂いが混じっている。


ここから先は――魔族領。

人類連合軍が正面で魔族軍と交戦する、ほんの僅かな死角


その隙を縫い、少数精鋭の冒険者達が裏から進軍する。


正面から勝てぬ戦を、裏から終わらせるための道。

これまで幾千、幾万の冒険者がこの地に足を踏み入れた。


魔王の首を狙い、

人類の希望を背負い、

誇りを胸に抱いたまま――帰らなかった者達。


英雄譚として語られる名もあれば、

名も残らず消えた者もいる。


いずれにせよ、この地は等しく全てを飲み込み、

勇気も、願いも、理想も、土へと還してきた。

それでも歩みは止まらない。


恐怖があるからこそ、進む者がいる。

ノーザ達は、静かに魔族領へと踏み込んだ。

これは命令ではない。

依頼でも、義務でもない。


ただ――


「見てしまった」先に、進むしかない者達の物語。

人類領最後の境界線は、背後で静かに閉ざされた。

ここから先は、帰還を前提としない戦場。


そしてこの日、

魔族領に新たな“異物”が入り込んだ事を、

まだ誰も知らない。


魔族領の荒野に、影が差した。

ほとんど音を立てず、上空から二つの影が舞い降りる。


先に地面へ降り立ったミネルが、軽く手を振って駆け寄ってきた。

「ノーザ〜!!」

少し遅れて、巨大な補給袋を持ったアイリーンが着地する。


「補給、持って来たわ!」

革袋が地面に下ろされ、中身が広げられていく。


乾燥肉と保存食。

浄水用の薬剤。

包帯、止血帯、回復薬。

火打石、燃料、修理用の工具。


ノーザは一つ一つを確かめ、短く頷いた。

「ありがとう。予定通りだ」


隣でニーナが帳簿を開き、数量を指でなぞる。

「食料は三日分、応急キットも十分。燃料も想定消費量内……完璧ですね」


ミネルが胸を張る。

「補給ルートは三本確保してるよ。気流も安定してる」


アイリーンが肩をすくめる。

「見張りも二重。追跡が来たらすぐ知らせるわ」

ノーザは地図を広げ、補給地点と退路を指でなぞった。


前進、補給、撤退。

どの線にも、勢い任せの痕はない。

剣を振るだけが勇者じゃない。

生き残るために整え、

仲間を帰すために考える。


「よし。前進は予定通り。補給は次の地点で受け取る。無理はしない」


その言葉に、誰も迷いを見せなかった。

戦場へ踏み込む覚悟と同時に、帰る算段がある。

理想論ではない。


現実を踏みしめて進む背中。


ミネルとアイリーンは、はっきりと確信していた。

――この男は、勝つつもりで魔族領に来ている。


ノーザは地図を畳み、空を見上げた。

夜明け前の風は冷たく、ここがすでに魔族領であることを静かに主張している。


「じゃあ、ミネル達はサウスダムまで気を付けて戻ってくれ。偵察に出てる部隊には、逃げ遅れた民間人がいたら見逃さないよう伝えてほしい」


ミネルは短く頷き、翼を広げた。

隣でアイリーンが力強く地面を蹴る。

「了解!帰りも安全第一で行くわ」

「何かあったら、すぐ知らせるね」



二人は闇に溶けるように上昇し、人類領の方向へ飛び去っていった。

その背を見送った後、ノーザは小さく息を吐いた。

今、クレインパーティは孤立しているわけではない。


サウスダム王の支援により、国境線の後方には臨時の補給拠点が設営されている。


鳥人部隊が定期的に飛来し、食料、燃料、医療品、簡易装備を運び、帰路で情報を持ち帰る。

前線に立つ者と、支える者。その分業が明確に機能していた。


「補給は二日おき、最悪でも三日は持つ……」

ニーナが携行袋を確認しながら呟く。


数も重量も、必要最低限に抑えられている。

「無理に前へは出ない。戦える時だけ戦う」

そう言ったノーザの声は、静かだが迷いがなかった。


サンが周囲を見回し、低く笑う。

「ほんま、勇者らしからぬ勇者やな。けど……」 「一番信用できるわ」

リーは黙って頷き、背負った装備の紐を締め直した。


ヴィヴィは軽く拳を握り、遠くに見える闇の向こうを睨む。

「派手な戦いは後回しだね。まずは、生きて進もう」


ノーザは一度だけ、仲間全員を見渡した。

ここから先は、誰も助けに来ない。

だが、準備は整っている。

「行こう。魔族領は広い……無駄に血を流す必要はない」


そうしてクレインパーティは、戦闘を避け、影を選び、堅実に――

確実に、魔王へと続く道を進み始めた。


補給を受け取った日の夜。

火を落とした簡易野営地には、最低限の明かりだけが残されていた。


ノーザは地面に地図を広げ、指で区切りをなぞる。

「一人五時間は寝れるようにしよう。交代は静かに、起こす時も最小限で」


そう言って顔を上げると、ニーナが小さく頷いた。

「では、最初は私が見張ります」

サンは干し肉を裂きながら、周囲に視線を走らせる。


「夜は冷えるで。食える時に食っとこ」

ヴィヴィは焚き火の残り火を足で整え、リーは音を立てずに周囲を確認していた。

張り詰め過ぎない、しかし緩めない――前線で生きる者達の空気だった。


その時。

ガサッ――

草陰が、ほんの僅かに揺れた。

瞬間、全員の動きが止まる。

次の瞬間には、ノーザのニルヴァーナ、サンの弓、ヴィヴィの短剣、リーの錫杖が、音のした方向へ向けられていた。


ニーナの詠唱は、声に出す寸前で止められている。

闇の中から、か細い声が震えながら零れた。

「……待って……撃たないで……」


草をかき分け、ゆっくりと姿を現したのは――

土と血に汚れた、ひどく痩せた少女だった。

両手を上げ、膝をついたまま、必死に首を振っている。

「助けて……下さい……」


その声には、嘘よりも先に、疲弊と恐怖が滲んでいた。

ノーザは一瞬だけ仲間を見渡し、武器を下げる。

「大丈夫だ。ここは……人間の冒険者だ」


少女はその言葉を聞いた瞬間、力が抜けたように崩れ落ちた。

ニーナがすぐに駆け寄り、外套を掛ける。

「怪我は……ひどいですね……」


リーは周囲を警戒したまま低く告げた。

「単独……追手の気配は無い……今のところは」


サンは少女と草陰を交互に見て、静かに言った。

「……魔族領で一人ってのは、嫌な予感しかしいひんな」


ノーザは少女の前に膝をつき、視線を合わせる。

「ここは安全だ。……今は、無理に話さなくていい」

少女は震える指で外套を握りしめ、何度も小さく頷いた。


焚き火の残り火が、彼女の顔を淡く照らす。

その影は不自然に揺れ――しかし誰も、その違和感にまだ気付いていなかった。


ノーザは少女の前にしゃがみ込み、傷の具合を一目で見て眉を寄せた。

擦り切れた衣服の下、無理な労働で付いたであろう痣と裂傷がいくつも残っている。

「まず……酷い怪我だな。リー、回復を頼む」


無言で一歩前に出たリーが、錫杖を地に立てる。

低く、しかし澄んだ詠唱が夜気を震わせた。

バイシャジヤグル  全回復魔法。



淡い光が少女を包み込み、荒れていた呼吸が徐々に落ち着いていく。

震えていた指先に、ようやく力が戻った。

「……っ……はぁ……ありがとうございます……」


声はまだ弱いが、先ほどまでの切迫は薄れていた。

ノーザは火の方へ視線を向け、周囲に異常が無い事を確認してから、改めて少女を見る。

「落ち着いたらでいい。……何があった?」



少女は一瞬だけ言葉を探すように視線を彷徨わせ、それからぽつりぽつりと語り始めた。

近くの魔族拠点に捕らわれていた事。

人手不足を理由に、休みも与えられず強制労働をさせられていた事。

逃げ出そうと考えた事すら、これまで一度も無かった事。



「……でも、今日は……違いました」

焚き火の揺らめきが、少女の瞳に不安の影を落とす。


「急に……魔族が、慌ただしくなって……叫び声とか……遠くで何か壊れる音もして……」


サンが低く息を吸った。

「拠点の中で……?」

少女は小さく頷く。


「はい……監視役の人も、応援に行くって……持ち場を離れて……。それで……今しか無いって……」


ニーナは眉をひそめ、静かに問いを重ねた。

「外からの襲撃……ではなさそうですね……?」


「……分かりません……ただ……理由も分からないまま、皆……怖がってる感じでした……」


リーは目を閉じ、周囲の気配を探るように一瞬だけ集中する。

「原因不明の混乱……か……」

ノーザは少女の言葉を反芻するように、低く呟いた。


「……妙だな」

人類連合軍の大規模作戦でも無い。

この周辺で、ここまで魔族が動揺する要因は――本来、無い。


焚き火が小さく爆ぜ、火の粉が夜に消えた。

ノーザは立ち上がり、仲間達を見る。


少女は安堵したように、深く頭を下げた。

「……ありがとうございます……本当に……」


その背後、焚き火の届かない闇が、ほんの一瞬だけ――

“歪んだように揺れた”事に、誰もまだ気付いていなかった。


魔族拠点で起きている混乱の正体も、

この少女が辿り着いた“本当の理由”も、

まだ夜の奥に伏せられたまま。


焚き火の向こうで、ヴィヴィが腕を組んだままノーザを見る。

普段の軽さはなく、試すような視線だった。

「でも……まだ取り残された人もいるんだろ?ノーザ、どうする?」


ノーザは迷わなかった。

視線を伏せる事も、言葉を選ぶ事もなく、ただ真っ直ぐに答える。

「勿論、行くよ。俺達は……救える命は、絶対に見捨てない」


短い一言だったが、焚き火の音が遠のいたように感じられた。

誰も異を唱えない。


それぞれが、その言葉を当然の前提として受け止めていた。


ノーザは息を一つ整え、次の瞬間には表情を切り替える。

戦場での顔――指揮官の顔だった。

「ヴィヴィはラヴズに乗って、この子を前線基地まで連れて行ってくれ。夜のうちに安全圏へ」

少女が驚いたように顔を上げるより早く、ヴィヴィは頷いた。


「任せな。ラヴズなら夜道でも最速だ」

続けて視線が動く。


「リーとサンはミネルと合流だ。救護班を呼んで来てくれ。拠点が混乱してるなら、負傷者は必ず出る」


リーは錫杖を軽く立て、静かに答えた。

「承知した」

サンも肩を鳴らし、歯を見せて笑う。

「了解や。鳥人部隊にゃ一番早いルート教えてもろとる」


最後に、ニーナと目が合う。

「俺とニーナは拠点近くまで進む。明日の夜、魔族拠点の手前で合流だ」


ニーナは小さく息を吸い、強く頷いた。

「分かりました。通信は私が維持します」

指示はそれだけだった。


だが、その場にいた全員が理解していた。



救うために、必ず帰るための動きだ。

ヴィヴィが少女を支え、ラヴズの元へ向かう。

リーとサンは夜の闇へ溶けるように消えていった。

残ったのは、ノーザとニーナ、そして焚き火の残り火だけ。


ノーザは闇の先――魔族拠点の方向を見据える。

そこに何が待っていようと関係ない。

救うと決めた命があるなら、進むだけだ。


魔族拠点――強制労働施設の外縁。

崩れかけた柵と黒ずんだ建屋が、夜の中に沈んでいる。

ノーザは足を止め、耳を澄ませた。

ここまで来れば、本来なら聞こえるはずだった。

鎖の音、怒号、労働を強いられる人の気配。

だが――何もない。

「……静かだな……」



思わず漏れた言葉に、ニーナも小さく頷く。

通信魔法を切ったまま、周囲を慎重に探っていた視線が揺れる。


「奇妙です……労働の音や声も、魔物の気配も薄いような……」


風が吹き、施設の扉がわずかに軋んだ。

それだけが、ここに“何かがある”証のようだった。

ノーザは剣に手を掛けるが、抜かない。


戦場の前兆にしては、あまりに不自然だった。

「逃げた……のか?」


ニーナも同じ違和感を覚えているのか、唇を噛む。

「少女の話では……今日に限って魔族が慌ただしかったと……原因不明の混乱……」


言葉にした瞬間、二人の間に沈黙が落ちた。

“原因不明”――それが一番、嫌な響きだった。

ノーザは施設を見据えたまま、低く言う。

「誰かが先に来てる……しかも、力ずくで」


ニーナの背筋に、ひやりとしたものが走る。

「……魔族同士の内紛、でしょうか?」

「だったら、もっと痕跡が残る。争った形跡も……死体の匂いも薄い」


静かすぎる。

整いすぎている。

ここは“解放された”のではない。

“片付けられた”――そんな印象だった。

ニーナは杖を握り直し、声を潜める。

「ノーザ様……この先、想定外が起きている可能性があります」


ノーザは一度だけ頷いた。

恐怖ではなく、覚悟を深める仕草だった。

「……気を引き締めよう。ここは、俺達の知ってる戦場じゃない」


二人は言葉を切り、影の中へ踏み込んでいく。

この異様な静寂の奥に、何が待っているのか――

まだ、誰も知らなかった。


夜の帳が、拠点を覆い尽くしていた。

黒い建屋の前に、影が一つ、また一つと戻ってくる。


先に姿を現したのはリーだった。

僧衣の裾を整え、小さく一言


「……戻った」


少し遅れて、草を踏み分けながらサンが現れる。

緊張の中でも、声だけはいつも通りだった。

「救助要請は完了や。ミネルちゃん達も動いとる。後方は心配いらん」


その直後、地面を震わせるような足音。

ラヴズが闇の中から現れ、その背でヴィヴィが大きく手を振った。

「送り届けたよ!泣いてたけど……ちゃんと生きてた!」


ノーザは短く息を吐き、全員を見渡す。

欠けた者はいない。それだけで十分だった。

「……よし」

一歩、前に出る。

「行こう。中に、まだ人がいるかもしれない」


誰も異を唱えない。

頷きと、武器を握る音だけが返ってくる。

施設の扉は、拍子抜けするほど軽く開いた。

軋む音すら、やけに大きく響く。

中は暗く、そして――やはり静かだった。

血の匂いも、怒号も、抵抗の痕跡すら薄い。

ヴィヴィが小声で呟く。

「……ねぇ。ここ、本当に魔族の拠点?」


ニーナも眉をひそめる。

「整い過ぎています……まるで、掃除された後のよう……」


ノーザは剣を抜いた。

だが構えは低く、いつでも止められる位置。

「気を抜くな。これは罠か、あるいは――」

言葉を切り、奥を見据える。


「……俺達より先に、“何か”が来た跡だ」

その瞬間。


施設のさらに奥、閉ざされた扉の向こうから――

ごく微かに、何かが崩れ落ちる音がした。

全員が、無言で視線を交わす。

静寂の質が、変わった。

ノーザは短く、しかし確かな声で告げる。

「――突入」

影は一斉に動き出し、

異様な沈黙に満ちた拠点の内部へと、踏み込んでいった。


通路の奥へ進むほど、違和感は濃くなっていった。

足音がやけに響く。生き物の気配が、決定的に欠けている。

先頭を行くノーザが、思わず足を止めた。

視線の先――本来なら巡回兵がいるはずの場所に、誰もいない。


「……魔族が、いない」

その背後で、ニーナが壁に手を当てる。

指先に触れたのは、乾きかけた血痕と、焼け焦げた石材だった。


「ですが……至るところに争った形跡があります。しかも、かなり激しい……」

天井を見上げたサンが、低く唸る。

梁は抉れ、壁には爪でも刃でもない、奇妙な破壊痕が走っている。


「なんやこれ……何が起こったんか、さっぱり分からへん……!」

静寂。



奇襲も、気配も、待ち伏せもない。

ただ、戦い“だけ”があったと主張する痕跡だけが残っている。

リーが一歩前に出て、床に残る痕を確かめる。

祈るように目を閉じ、微かな気配を探るが、首を振った。


「……民間人が抵抗した、という線は薄い。恐怖や逃走の残滓が無い……」


後方を警戒していたヴィヴィが、眉をひそめる。

壊れた檻、倒れた作業台、そのどれにも“人がいた痕跡”がない。


「おかしいよ……強制労働施設なら、人間の気配が残るはずだ。なのに……」


誰かが先に来て、

誰かが戦い、

そして――誰一人、残さず消えた。


ノーザは剣を握り直す。

嫌な予感が、背骨を這い上がってくる。

「……全員、生きているとは思うな。でも、死体も無い」

短く息を吸い、前を見据える。

「この奥だ。何かがある」

灯りの届かない回廊の先、

重く閉ざされた扉が一つ、沈黙のまま待っていた。


重い扉の前で、全員が足を止めた。

空気が、ここだけ違う。張り付くような静けさの奥に、かろうじて残る“生”の気配。


一歩踏み出したリーが、低く呟く。

「……ここか。唯一、生命の気配がする……」

ノーザは短く頷き、後方を振り返る。


ニーナと視線を交わし、即座に判断を下した。

「ニーナ、扉を開けた瞬間に閃光弾魔法を頼む」

指先に魔力を集めながら、静かに返事が返る。

「わかりました……」


合図と共に、扉が押し開かれる――

その瞬間。


扉が開いた瞬間、空気が変わった。

室内は静まり返っている。

争った痕跡は無数にある。


壁に残る爪痕、床に広がる血、砕けた武器。

――だが、そこに敵の姿は一体も無かった。

代わりに、

魔族の死骸が、山のように積み重なっていた。







その中心に、一人の少女が立っていた。

黒い制服。この地には明らかに不釣り合いな服装。

長い黒髪が、血と埃の匂いの中で微かに揺れる。

少女は無傷だった。

怯えている様子もない。

泣いても、震えてもいない。

ただ――

穏やかな笑顔を浮かべている。

その足元には、

つい今しがたまで生きていたはずの魔族達が、

無惨な姿で転がっていた。

理解が、追いつかない。

誰が、どうやって、

これを――。


「……!ニーナ、待て!」

制止の声が、空間に走った。

そこに広がっていたのは、想定していた戦場ではなかった。


部屋の奥、壁際に寄せられるようにして、数人の民間人がいた。

誰も傷ついてはいない。だが、全員が震え、声も出せずに身を縮めている。

そして、

床一面に転がる、魔族の死骸。

数え切れないほどの“山”。

切断、圧壊、抉り取られた痕。

武器によるものとも、魔法によるものとも違う。

ただひたすらに、“蹂躙された”結果だけが残っていた。



ノーザは、思わず息を呑む。

「……君は……」

少女はゆっくりと顔を上げ、こちらを見た。

その瞳には、恐怖も敵意もない。

ただ、深い影のような静けさだけが宿っていた。

急展開だとは思いますが、でも1話から決めてました。

この少女の見た目、かなり異色


福島ナガト https://www.pixiv.net/users/118222108

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