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後半に大地へ

今回からストロダンで色々やる予定です

魔族との長きにわたる防衛戦争が続く世界。

各国の版図は、もはや「安全地帯」「境界地帯」「前線」に明確に分かれつつあった。


ノーザたちの旅路は、人類側領土の後半区――


ここは、魔族領まであとわずか。

戦火の影響も大きく、有力な冒険者パーティや軍属の精鋭部隊が多く集う“強者の国”でもある。


国境線沿いには連合国軍の堡塁が立ち並び、

空には時折、龍族の哨戒飛行が行われ、

街道では冒険者・傭兵・軍兵が入り混じって行き交う。


かつてノーザが救った村のような穏やかな光景は、もうどこにもない。

代わりにあるのは、

「魔族との全面戦争が、すぐそこにある」

という緊迫感と、戦う者たちの息遣い。


冒険者国家ストロダン


魔王領へ続く道そこに位置する国

――ストロダン王国。


ここは、後半戦へ挑む冒険者たちが集う“戦場前夜の国”だった。


ストロダンは前線こそ近いが、驚くほど活気に満ちている。

街道には大型の馬車と荷車が途切れず行き交い、

鍛冶師たちの金槌の音が朝から夜まで響いていた。


この国には、前半地域で名を上げた冒険者がこぞって集う


「もっと強い仲間を探したい」

「最新の武具を揃えて魔王討伐を狙いたい」

「高難度依頼で名を轟かせたい」


そんな“野心のある連中”が押し寄せ、

自然と兵站も装備も情報も充実していった。


職人のレベルも高い。

武器鍛冶、金属工房、魔石加工、魔道具店……

どれもこの国でしか手に入らない品物が多い。


だが裏返せば、治安は最悪


冒険者が集まるということは、

同時に “乱暴者・悪党・成り上がり崩れ” も集まるということ。


酒場では無所属冒険者の腕比べと称した喧嘩が頻発、路地裏ではギルドの名を語る不正な勧誘や、

魔族のスパイと思しき影が暗躍する。


この国の軍は規律に優れた強国だが、

善良な冒険者、反社界組織、魔族の密偵が入り混じる国内、衛兵が目を光らせても追いつかない。


ストロダンの裏通り。

酒場の残り火が揺れるような、赤黒い夜。


よろめく足取りの酔っぱらいが、

壁際で怯える女性を乱暴に押さえつけていた。


「へっへっへ……可愛い顔してるじゃねぇか……お兄さんと、ちょーっと遊ぼうやぁ?」


「……いや!やめて……!」


女の悲鳴。

通りには誰もいない。

衛兵も、冒険者も、助ける者はどこにも――


そう、“普通なら”。


だがこの夜だけは違った。


「――やれやれ。酔い酒に罪は無いが……

 その使い道がみっともない。」


低く通る声。

酔っぱらいが振り向く。


「はあ!?誰だテメェ!!」


路地の端。

月の光を背負い、僧衣の男が静かに立っていた。


僧兵――リー・シガー。


合掌しながら、心底呆れたようにため息をつく。


「南無……あなたの来世が、もう少しマシでありますように。」



次に現れた緋色の影

「暴力は良くないよ!!」


怒号と同時に、路地に風が走った。

拳が閃いたと思った次の瞬間――


ゴロツキの顎に豪腕アッパーカットが炸裂!


「グエェェッ!?」


戦士――ヴィヴィアン・スカーレット。


軽く拳を振り払うと、けだるげに笑った。

 


「ようやるわウチの女戦士ちゃんはのぉ〜。

 ……まあ暴れるん見てるだけでも飽きんけど。」


高い位置から陽気な声。

いつの間にか、壁の屋根の上で弓を抱えた男が笑っていた。


狩人――サン・グリーン。


 

「大丈夫ですか? お怪我は?」


ふいに柔らかな光。

女性の前にひざまずいた魔法使いが、

温かな魔法の光を淡く灯した。


魔法使い――ニーナ・ピサロ。


「怖かったでしょう……もう大丈夫です。私たちがいますから。」


女は震える声で礼を言った。


「あ……ありがとうございます……!」


そして


「……いや、どう考えてもこっちが

 先に殴りかかってるよな。」


最後に現れた男が、

後頭部をかきながらぼそっとつぶやいた。


若き冒険者――ノーザン・クレイン。

鍛え抜かれた気迫は、酔っ払いなど吹き飛ばすほど。


「まあ……助けになったなら、いいか。」


闇夜に、五人の影が揃う。


五人の姿を見て、ゴロツキは震え上がった。


「ひ、ひぃ……なんなんだお前ら……!?」


彼らは答えない。

ただ静かに、堂々と立っていた。

冒険者の国ストロダンに――

ついにノーザン・クレイン達が降り立った瞬間だった。


その後

薄暗いランプの灯りが揺れる、ストロダン宿屋の一室。長旅の疲れを癒やす香草茶の湯気が、静かに立ち昇っていた。


ノーザが椅子に腰掛けると、

仲間たちも自然と席に着き、丸いテーブルを囲む形になる。


ここからが“後半戦”――

その重みが全員の胸にあった。


この国を訪れた最大の理由

ノーザが口を開く。


「……この国ストロダンを選んだ理由は一つ。

 魔族領土へ進む前の、最終準備のためだ。

 装備、名声、仲間、情報……全部ここで整える。」


皆、それぞれ真剣な眼差しで頷く。

そして仲間たちから意見が飛び交う


ヴィヴィが手を挙げる

「へへ……まず名前を売る為にも、あの噂の武闘大会、出てみたいね!

 優勝すりゃ、誰もがあーし等を知る事になるだろ?」


拳を握り、すでに闘志満々。


 


リーが理性的に続ける

「しかし……まずはギルドへの登録が先かと。活動拠点と仕事を確保しておけば、この国での立ち回りも容易になる」


まっとうな意見に皆がうなずく。


 


サンがニヤつきながら

「それとやな……そろそろ新しい装備欲しいやろ?

 黒刀やら戟やら雷の腕輪やら、皆パワーアップしとるけど……ワイらももっと“ええもん”探してもええ頃ちゃうか?」


酒瓶を机にコトンと置き、にやにやしている。


「兄弟以外にや、ウチらも更に強ぅなろや?」


ニーナの意見

静かに湯気の向こうから口を開く。

「魔族領土へ近づくほど、敵の質も量も上がります……情報収集も大切です。

この国は冒険者が多い分、“魔族の最新情報”も集まりやすいはずです。」


そして少し遠い視線を落とす。


「ノーザ様には……できる限り万全で挑んで欲しいのです。」


その声音には、隠しきれない心配と想いが滲んでいた。


全員の意見を聞き、ノーザは腕を組んだ。


「よし。まとめると――

 ギルド登録、装備強化、名声獲得、情報収集。

 全部やる。全部整えて……魔族領へ進む準備を万全にする。」


仲間たちが力強く頷き合った。


ここストロダンは、後半戦への入口。

ここからの一歩一歩が、魔王討伐への道を切り開いていく。



ストロダンの大通り――

前線に近いこの国は、他の国とは空気がまるで違った。


建物はどれも補強され、武器屋・鍛冶屋・闘技場が軒を連ね、

行き交う人々は皆どこか荒々しい。


革鎧の戦士、黒ローブの魔術師、巨大な斧を背負った蛮族、

そして目が死んだような盗賊まで。


どいつもこいつも“修羅場を幾度も潜った顔”。


 

サンが辺りを見回しながら口笛を吹いた。


「流石やなぁ……皆つよそ〜な奴ばっかりや。」


肩に戟を担ぎながら、まるで見世物を眺めるように面白がっている。


 


ヴィヴィは周囲を警戒しながら腕を組む。


「強いだけならまだマシだよ。

 この国には“金のためだけに魔物狩る奴”もいれば、

 “暴れたいだけの野蛮パーティ”もいるんだろ?」


 


リーが静かに頷き、全体を観察するように歩く。


「心の乱れを抱えた者ほど、強さと危険は比例する……。

 この国では、己を保つ者ほど貴重かもしれませんね。」


 


ニーナは人混みの中を淡々と歩きつつ、

堂々とした魔力を漂わせていた。


「冒険者の層が厚い国では“競争”も激しいものです。……ただ、襲われる側にならないよう気をつけましょうね。」


その一言にヴィヴィがにやっとする。


「ニーナ、その台詞自分が狙われた時用に取っとけば?」


「わ、私はノーザ様と常に一緒ですので問題ありません!」


「いや言ってる意味が分からねぇよ……」


 


そんな喧騒の中、ノーザは静かに黒刀六道を背に負いながら歩く。


刀を持つ彼の存在感は、この街ですら浮くほど研ぎ澄まされていた。


「……強者の国か。

 ここで得る経験は、魔族領へ行くための最後の試練になりそうだな。」


 


武器を担いだ屈強な男たちの視線がノーザ一行をちらりと見た。

中には品定めするような、少し敵意混じりの目もある。



そしてギルドの巨大な建物が見えてくる


石造りの円形建物。

入口には巨大な盾と剣の紋章。

冒険者たちが次々と出入りし、喧騒と怒号が響き渡っていた。


ノーザが息を吸って言う。


「よし……いよいよ俺たちも登録だな。」


ギルド内部は外よりさらに騒々しかった。

巨大なホールに所狭しと冒険者が溢れ、

壁には依頼書が何十枚も貼られ、

カウンター前には長蛇の列ができていた。


怒号、笑い声、武器の金属音、魔法の火花……

まるで“戦場の準備室”そのもの。


そんな中をくぐり抜け、ノーザ達は受付カウンターへ。


 


受付嬢は慣れた手つきで書類を整理し、にこやかに言った。


「はい、新規登録で……五名ですね!

 代表の方はこちらにサインをお願いします!」


ノーザが頷き、羽ペンを取る。


「お願いします。……仲間も一緒に登録したいんですが。」


「もちろんです。

 ストロダンではパーティ登録をすると依頼の幅も広がりますので、

 一緒に活動される方は最初からまとめておくとスムーズですよ!」


 


登録手続きを待ちながら、ノーザが周囲を見回す。


盾を背負った巨漢、

両腕に魔力を纏わせた術士、

冒険者団の制服を着た精鋭パーティ……

どいつもこいつも凄まじい存在感。


 


ノーザが小さく息を呑む。


「……流石だな。

 見た感じ、AランクやBランクばかりだ。」


ヴィヴィが口笛を吹きながら周囲を眺める。


「こりゃあ一筋縄じゃいかない国だね。

 でも、燃えるじゃないか!」


 


リーは冷静に分析していた。


「一人一人の闘気が濃い……。

 前線に近い国だけに……か」


サンはニヤニヤしながらノーザの肩を小突く。


「兄弟、ワイらもそのうちこう並んで“上位ランカー”になるんやで。見とけよ〜?」


 


ニーナは胸を張って断言する。


「大丈夫です。

 私達ならすぐ追いつけますよ!

 ノーザ様の強さは……あの方達にも、決して負けません!」


ノーザは照れくさく笑いながらも、六道の柄にそっと触れた。


「……うん。

 俺達も、もっと強くなっていこう。」


 


そんな会話をしていると――


受付嬢が新しいギルドカードを掲げた。


「はい、おまたせしました!

これで皆さん、正式にストロダン支部の冒険者です!ようこそ上級者向けの戦場へ!」


ノーザ達はお互いに頷き合った。


いよいよここからが、

“本当の後半戦” の始まりだった――。


ギルド登録を終え、帰り道。

夕暮れのストロダンは活気がありつつも、どこか殺気が漂っていた。


ノーザが気合いを入れて拳を握る。


「よし!この国では……Bランク冒険者を目指すぞ!」


サンが笑いながら肩を組む。


「兄弟、ええなそれ!バチバチに名上げたろやないか!」


そんな明るい空気に包まれながら歩いていたその時――


広場の方から怒鳴り声が響いた。


 


「なんだテメェ!!」


振り返ると、

マフィア風の男たちが、ひとりの青年を壁際に追い詰めていた。


革ジャン風の装束、銃や刃物を隠し持つような重たい気配……

明らかに裏社会の連中。


青年はノーザ達と同じくらいの年頃。

しかし、どう見ても線が細く、喧嘩慣れしていない雰囲気。


それなのに落ち着いた表情で、

ただ静かに両手を上げていた。


「……止めろよ。

 俺は、ほんとに喧嘩とかしたくないんだって……」


男たちは聞く耳を持たない。


「てめぇ、さっきぶつかっといて謝りもしねえのか!?

 ナメてんのかコラ!!」


青年は困ったように眉を下げた。


「いや……ぶつかったのはそっちじゃ――」


「言い訳してんじゃねえ!!」


胸ぐらを掴まれ、片腕で軽々と持ち上げられる青年。


青年は身体を強ばらせながらも、

どこか“妙な余裕”を感じさせた。


(……なのに、戦う気配がない)


ノーザは直感した。


“この青年は弱い……だが、普通じゃない”


周囲の冒険者も遠巻きに様子を見ているが、

マフィア風の連中はこの国でも有名な厄介者らしく、誰も近づこうとしない。


青年は再び苦笑しながらつぶやいた。


「やだなぁ……ほんとに俺、喧嘩とか向いてないし……

 お願いだから、それ以上は……」


まるで“本気を出したくない理由”があるような、

そんな声音。


 


ヴィヴィが拳を握りしめた。


「ノーザ……行こう。あれ、見過ごせないよ」


ノーザは頷き、足を踏み出す。


青年が胸ぐらを掴まれ、壁へ叩きつけられそうになった瞬間——


空気を裂く鋭い風切り音。


マフィアの手に握られていた短刀が、

何かに弾かれたように宙を舞い、石畳へ転がった。


「……あ?」


男たちが一斉に振り返る。


そこにいたのは、ニルヴァーナを構えた

ノーザ。


荒事に慣れたマフィアたちでさえ、一瞬たじろぐほどの眼光。

柄に宿る光が、微かに淡く――静かに揺れていた。


「君、大丈夫か?」


ノーザは青年を背にかばいながら、

真正面から敵に歩み寄った。


「なんだテメェ!?邪魔すんじゃねぇ!!」


「お前ら……冒険者ではないな。

だったら——」


足が一歩、石畳を強く踏み込んだ。


その瞬間、


バンッ!!


ニルヴァーナの柄が、 マフィアの鳩尾に叩き込まれた。

「ぐぼッッ!?」


宙に浮いたまま数メートル吹き飛び、地面で伸びる。


続けざまに、後方にいたもう1人へ振り返りざまの一閃。


刃ではなく、今度も“柄”で武器だけを叩き落としていた。

切り裂かず、ただ制圧するための正確無比な一撃。


「な、なんだこいつ……!?」


ノーザは一歩もブレずに構えを解き、

ただ淡々と、しかし確実に前へ進む。


「暴力を振るうなら……俺が相手だ」


町の空気が、一瞬で変わった。


通行人の冒険者たちも思わず足を止める。


ヴィヴィが拳を握る。


「相っ変わらず……惚れるねぇ!」


ニーナが呆れ半分、誇らしげに微笑む。


「ノーザ様……本当に格好良すぎます……♡」


サンがニヤつきながら呟く。


「兄弟、今日もバチバチ決まっとるやないか」


青年は呆然とノーザの背中を見ていた。

恐怖からではなく——

何かを思い出すように。


「……助けてくれたのか。

 ありがとう」


とても清んだ目だった。


マフィアたちはまだ戦意を失っていなかった。

倒れた仲間を見て、後方の3人が一斉にノーザへ襲いかかる!


金属の刃が月光を弾き、一直線。


「ノーザ殿!!」

「兄弟、気ぃつけぇ!!」


仲間の声が飛ぶ——そのとき。


青年が、

まるで好奇心を抑えられない子供のようにノーザの手元を覗き込んだ。


「へえ〜……君、そういうスキル構成してるのか……」


「……は?」


まったく戦闘力のないように見える青年が、

なぜかノーザに手をかざす。


その仕草は魔法でも技でも無かった。

ただの“操作”のような、不思議な動き。


「じゃ、ちょっと触るよ。

 ——チューニング!」


ビリッ!!!


目に見えない波がノーザの身体を走る。


【ノーザの蹴技スキルが Lv1 に下がった】

【ノーザの剣術スキルが Lv5 に上がった】


青年はノーザの背を軽く押した。


「ごめん、説明は後で!僕は戦えないから!

 そいつ等お願い!」


ノーザはニルヴァーナを静かに構える。

刀身が軽く震え、剣術Lv5という数字以上の鋭さが指に伝わる。


「……Lv5、試させてもらう」


一歩、踏み込み。


黒く輝く刃が空間を裂いた。


——ニルヴァーナの一閃!!


刃が、ただ一周するだけで空気が悲鳴を上げる。


ギィンッ!!!


マフィア達の武器が一瞬で砕け散り、

そのまま全員が地面に倒れ伏した。


青年はその光景を見て感嘆の息を漏らす。


「……すごい。

 ほんの少しスキルをいじっただけで、ここまで変わるんだ……」


ノーザはニルヴァーナを納めながら、青年へ向き直った。


「……お前……ただ者じゃないな。

 一体何者なんだ?」


青年は悪戯っぽく笑い、片手を上げた。


「僕?

 ただの“調律師”。

 ——正確には……スキルチューナー、だよ」


路地裏の騒ぎが収まり、

マフィア達が完全に沈黙したのを確認すると、

青年はホコリを払いながらノーザへ向き直った。


ノーザの蹴技スキルがLv2に戻った

ノーザの剣スキルがLv4に戻った


その瞳には、怯えではなく好奇心の光。


「……いやぁ、助かったよ。ありがとう」


ふわりと笑う青年。

近くで見ると ノーザと同い年ほど、

身長も 170cmほどでノーザより少し低い。

線は細いが動きは軽く、まるで猫のようだった。


ノーザが問いかける。


「……さっきのスキル……どうやったんだ?」


青年は肩をすくめた。


「気になる? 普通は気にするよね。

 ——僕は、リコ。リコ・ヴェール。

 ちょっと珍しい職業をしていてね」


ヴィヴィが眉を上げる。


「珍しいって……もしかしてあんた、さっきのが本当に……?」


青年は悪戯っぽく片目をつむる。


「そう。スキルの“調律”。

 僕の職業は スキルチューナー。

 人の成長の“傾き”をちょっとだけ変える仕事さ」


ニーナが思わず息を呑む。


(本当に……実在していたんですね……レア職業……!)


リーは腕を組み、興味深く青年を見つめる。


「噂には聞いたことがあった……人の潜在能力に干渉する者……」


サンは感心したように口笛を吹く。


「兄弟の剣スキル、ホンマに跳ね上がっとったからなぁ……」


リコはノーザをまっすぐ見つめた。


「君たち、面白いね。

 戦い方も、旅の目的も……

 何より“未来を変えそうな空気”がある」


その声色は冗談とは思えないほど真剣だった。


そして一歩、ノーザたちへ近寄り——


「ねえ、僕も仲間に入れてよ。

 戦闘は全然できないけど……

 その代わり、君たちの力を最大限に引き出す自信はある」


仲間の間に一瞬の沈黙。


ノーザが返事をするより早く、

背後で ドタドタッ!! と騒がしい音がした。


ニーナがノーザの腕を掴んでガタガタ揺さぶってくる。


「ノーザ様!入れましょう!!

 レア職業ですよ!?スキルチューナーですよ!?

 心頭滅却を外せる可能性があるんですよ!!?」


声が切実すぎた。


続いてヴィヴィが横からノーザの肩をガッと掴む。


「そうだよノーザ!

 向こうから入りたいって言ってんだから

 チャンス逃したら一生堅物のままだろ!?

 いいから入れよ!!」


2人がノーザの両肩をガッと掴んで前後に揺さぶる。


心頭滅却を外させる為だけに

“スキルチューナー欲しがり度MAX”。


ノーザは必死に女子の手を振りほどきながら、


「お、落ち着け二人とも!!

 理由の方向性おかしいから!!」


サンが後ろでニヤニヤ笑いながら呟く。


「必死やなぁ女の子って……

 兄弟、モテる男はつらいで?」


リーが小声でため息をつく。


「……煩悩まみれの理由で加入を急かすのは感心せぬ……」


リコはその光景を見て目をぱちぱちさせた。


「え、なにこのパーティ……

 え、僕ほんとに入って平気……?」


ノーザは女子組を押し返しながら必死に叫ぶ。


「お、俺の意志も尊重してくれ……!!」


——しかし女子の圧は止まらない。


ニーナの瞳はギラギラと輝き、


(ノーザ様の“心頭滅却”……絶対剥がします……♡)


ヴィヴィも拳を握りしめていた。


(堅物のままじゃあーしらの恋が進まないんだよ!!なんとしてでも外してやる!!)


ノーザは悟った。


(……こいつら、真剣に心頭滅却と戦う気だ……)



御詫び 書き終わった後スキルチューナーって他にやってる人いないか気になったので調べたんですけど、すみません、いました

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