未来へと続く夢:最終決戦! A・Aの力!②
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「レッドグロウの空想値、急上昇! 再び塔化の危機が!」
柞磨も町田も混乱していた。再び塔化なんて聞いていない。あのコアは凄まじいエネルギーを放っている。さすが動力源というべきか、しかし感心している場合ではない。
「司令! どうします!?」
「モニターしかできないですけどね!」
だが、不動の男は迷わなかった。恐れも惑いもなく言い放つ。
「2人を信じる! なぁに、ファーレンを爆散させたコンビだ、これくらいなんでもないさ!」
「そうです! しれーが言うんだから間違いないですっ!」
「……まだ、とっておきの策があるわ」
勝利を熱く信じるコンビの隣で、アノニは静かに言った。
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「火動! 火動!?」
陽給は焦った。
火動はブチ切れている。その怒りが呼応して、レッドグロウはトゲが無数に出てものすごく怖い外見になっている。マジヤバイ状況になるのも時間の問題だ。
しかし、落ち着けと言われても落ち着けないに決まっている。陽給が自分の母親を人質に取られたら、何発入れたって怒りが収まらないだろう。
陽給が取れる策は、彼のためにできることは!
ディールは止まらない。更に言葉を操り、火動を惑わせる。
『ヴァース! 私を殺そうと言うのだな、だが、それでは母が悲しむぞ? ここで共に取り込まれるのが策というも「アイスクリーム!」
「……は?」
ディールが呆気に取られる中、陽給は叫んだ。
いつだって、陽給のメモリには残っている。幼い頃の泣き虫な火動。久し振りに出会った時の困惑した顔も。一緒に夏の夜空を見た時の、優しい瞳も。
自分にできることは一つだけ。
夏の記憶を! 楽しかった記憶を! ありったけ思い出させることだ!
怒りになんて潰されて良い、なんて理由一つも無い。火ノ原火動という相方は、陽給にとってそれほどに大切なのだ。
だったら目を覚まさせてやるのも、陽御崎陽給の役割だ!
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「何を……トチ狂ったか!?」
「イチゴ! ショートケーキ! プール!」
「ど、どうした?!」
火動も思わず聞き返す。
いきなり陽給が単語を叫び出した。いつも突拍子がないが、今回は特に飛び抜けている。今度は「ステーキ!」なんて叫んでいる。このマイナスエネルギーに中てられてしまった、ことはないだろうが……。
「どうしたも何も! ステーキだよ火動! 今は好きなモンだけに集中して! そいつの言うこと掻き消して!」
「サンキュ……!」
陽給らしい耳栓方法だ。怒りに染まっていた思考が、クリアになっていく。透明になった心に、相棒の声が強く響く。この状況に合うとはとても思えない突拍子もない言葉なのに、とても力強く感じられた。
悪夢から、目覚めさせてくれる太陽の光のような。
「小癪な……スペキュラティ、数で押し潰せ!」
量産機が、嵐のように襲いかかる。再起したレッドグロウは鋼鉄を割き、砕き、進み続ける。
けれど、コアに近付いても唯架さんを引き離す方法は見つかっていない。陽給が唇を噛み締めた時、画面に文字が浮かび上がった。『対話』……対話?
「陽給! 聞こえてる!? 『Inter Cosmo』ボタンがあるはずだ!」
『そんなボタンが!?』
こんな機能見たことない。インター……ええと、英語は得意じゃないけど止まってられない、考えているヒマはない! 何より賢からの言葉だ、信じるに足りすぎる!
躊躇わず、文字を押した。




