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未来へと続く夢:「栄光」の未来②

「ヘカトンケイルは本来、地下遺跡を守る武装なんですね。バロット家に受け継がれた兵器のようなものです。こんなうねうねの機械は技術的にオーパーツだって? まぁ、そうなんですが。この世にはまだまだ知らない事がたくさんあるんですよ。棺だって数百年前の遺跡から発見されたでしょう?」


 話しながら、マリーゼはヘカトンケイルを操作する。大量のチューブが壁のように折り重なっていく。びっしりと折り重なったチューブはややグロい気もした。整備斑がそれをモニターする。


「さ、できましたよ。この壁ヘカトンケイルも一時的なもの。火動さんの空想が解けると溶けてしまいますから、早めに奪還してきて下さいね」


 見れば見るほどオーパーツだ。そんな溶ける機械なんてあってたまるか、とも思う。


 けれど。


「ありがとう、マリーゼ」


 思えば、面と向かって話すのはこれが初めてだ。ずっと番匠や整備斑と一緒に話していた。改めて礼を言うのは少し照れたが、彼女の献身がなければ手段は手に入らなかった。


「あれ、大事なものなんだろ」


「司令にも言いましたが、どうってことないですよ。これも世界のためでしょう?」


 そう言って、彼女は笑った。穏やかな、当然のこととして受け入れている笑顔。


「さ、お母様に威勢の良い姿を見せてきて下さい。親であれば、子の成長はどうであっても嬉しいものですから」


「……あぁ」


 マリーゼを始めとしたアマテルも、火動と母を応援してくれている。


 その事実は、とてつもなく嬉しかった。


「……レッドグロウの勇姿、見ていてくれ」


「えぇ。ばっちり高画質で納めますからね!」





 そして、整備班と賢、マリーゼ、アノニで作り上げた棺。今までのつるりとした表面ではなく、蔦で編み上げたような複雑な表面をしていた。


 パイロットスーツに袖を通す。「思い出の詰まった品だから捨てないで! ステーキハウスに飾ってもいいから!」とマリーゼに言っていてよかった。もう一度使う時があるとは思っていなかった。


(本当は、使わないほうがいいんだけど)


 けれど。こんな時でも、このぴっちりした感覚がテンションを上げてくれる。バレーの試合の前みたいに、必ず自分はできるというエネルギーを与えてくれる。


「先ほども言ったとおり、この棺の耐久度は1回分しかありません。これが最後と思って下さい」


「やれるやれる! 前みたいに中央まで行って、火動ママを取り返してくるだけだもんね!」


「あぁ」


 ようやく火動とママさんの和解が見えてきた瞬間なのだ。必ず取り戻さないと!


「アイリスで調整したが、性能は元の棺と変わらねぇ。いけるぜ!」


「賢君のカンすごかったな……マジで必要な部品発掘するんだからよ」


「えへへ……火動、陽給、僕はここから応援してるよ!」


 賢は、なんかすげー力を持つ少年、だけじゃない。陽給の大切な友達だ。応援するってだけで、陽給の精神パワーは満タンになる!


「俺たちもよ! 応援だけってのが辛いトコだけどな」


「だいじょーぶ! 帰って来たらステーキちょうだい! デザートにアイスもつけてね!」


「おうよ!」


 整備斑達は敬礼する。陽給は心の奥が熱くなってくるのを感じた。みんながいる! 絶対に守って、絶対に火動ママを助けて、絶対にあの男におしおき! して帰って来なければ!」


 火動が棺に乗り込む前、陽給は彼に向かって手を上げた。


「火動、根性のハイタッチだよ! 気合い入れる時には必ずしなきゃね!」


 言うと、彼は微かに微笑んだ。今の今まで、固く焦った表情ばかりだったのが、少し綻んだ。状況は状況だが、進もうとするだけでは何かを取り逃してしまうだろう。いわゆるフラグが回収されないってやつだ!


 手と手が重ねられた。軽快な音がする。


「じゃあ、行ってきます!」


「あぁ! 最後の発進だ!」


 司令が豪快に叫ぶ。


 陽給の周囲を青い光が包み、「レッドグロウ」を創り上げていく……!

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