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祭囃子の夜:その頃の面々

「はいっ! わたあめです、棗様!」


「神薙、食い過ぎだ」


「棗様は食べなさすぎなのです。あの牛串などはどうですか? お肉いっぱいでワイルドで、棗様にぴったりです!」



「普通の服は慣れませんね……パイロットスーツが恋しいです……」


「すまないねナインス君……メロンパン屋がぼったくり価格の告発を受けなければ……!!!」


「ポアレ様のせいではありませんっ! ともかく! お祭りを楽しみましょう!」


「そうだね! この高性能カメラは死守したし!」


 そして。


「フランクフルトうんまぁぁぁい! です!」


「可愛いよナインス君! ……ディール来てないよな。来てるとやばいんだな……そんなことよりもうちょっとソースを舐めるように食べてみようか!」


「はぁぁい! わっかりましたぁ!」



「的当てしようぜ!」


「全く、どっちが子供なんだか……すっかり浮かれちゃって」


 そういう紺乃の手にも、射的の銃が。


 しかし、こういう両親はどちらかというと好きだ、と拓は思う。目がキラキラしてて、拓も嬉しくなる。


「あなたには負けないわよ! なんかやたらめったら狙いが正確だけど、パイロットで……じゃなくて、ゲーセンのパイロットで鳴らした腕は確かなんだから!」


「紺乃、もう訂正しなくていいんだぞ」


「そっ。父さんと母さんがでっかいロボに乗ったとこ見てたんだから!」


「そ、そうだったわね。ヒロ、あなた、見てなさい! パイロットの腕を!」


 次々に撃たれていく商品を見ながら、拓は、空に向かった機体を思い出す。あの時の両親は、最高にカッコよかった。


 今だって、それは変わらない。



「チエコ様! 頼まれていたベビーカステラ買ってきました!」


「次は射的ね。あんた、あのゲーム機獲ってきなさい!」


「アイアイサー!」



「はっ! クマの! きぐるみが景品に!」


「……貴方、あんなのが好きなの?」


「なんかココロにビシっときたんすよ! ちょっと射的ってくる!」



「天戸、的当てしようぜ!」


「う、うん!」


 成り行きで出会った、初めての同年代の子達。初めてのお祭り。初めてだらけだ。遊びに誘われたとき、番匠達は「これも縁だ! 行ってこい!」と背中を押され、小学生のグループを混ざった。


 賢は少し戸惑ったが、彼らはあっという間に自分を受け入れてくれた。


 だから、このお祭りを素直に楽しもう。


 射的の欲しいものはよく分からなかったが、カラフルな缶を狙って撃つ。


「おう! お前さん、ケチャップの缶だぜ!」


「えー? お菓子じゃねーの?」


「チョコパイとかくれよ! んなマニアックなもん置いてないでさ!」


 ぶーたれる彼らに、賢は笑顔を見せた。


「これもいいよ、保存が効くし」


「え? それでいいのか?」


「うん。僕、ケチャップ大好きだから!」


 特にオムライスなんて大好きだ。



「……なんで私が……いや、監視なんだな? 監視の一環なんだな?」


「疑い深くてはいけませんよ。日頃ステーキハウスの開店準備で頑張ってくれているので、労いの一環です」


「……祭りなど、来たこともない」


 マリーゼは、京子の強固な表情を見、しばらく考え。


「では、初心者の楽しみ方を教えてあげましょう。……本当は私もあんまり来たことがないんですね」


「おういマリーゼ君! 京子君! 人手が足りない、来てくれないかー!」


「司令があんな調子ですからね」


「……」


 京子は苦虫を噛み潰したような表情で、深く溜息を吐いた。



「射的人気だなぁ……」


 店主は呟いた。

次週に続きます!

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