祭囃子の夜:その頃の面々
「はいっ! わたあめです、棗様!」
「神薙、食い過ぎだ」
「棗様は食べなさすぎなのです。あの牛串などはどうですか? お肉いっぱいでワイルドで、棗様にぴったりです!」
◆
「普通の服は慣れませんね……パイロットスーツが恋しいです……」
「すまないねナインス君……メロンパン屋がぼったくり価格の告発を受けなければ……!!!」
「ポアレ様のせいではありませんっ! ともかく! お祭りを楽しみましょう!」
「そうだね! この高性能カメラは死守したし!」
そして。
「フランクフルトうんまぁぁぁい! です!」
「可愛いよナインス君! ……ディール来てないよな。来てるとやばいんだな……そんなことよりもうちょっとソースを舐めるように食べてみようか!」
「はぁぁい! わっかりましたぁ!」
◆
「的当てしようぜ!」
「全く、どっちが子供なんだか……すっかり浮かれちゃって」
そういう紺乃の手にも、射的の銃が。
しかし、こういう両親はどちらかというと好きだ、と拓は思う。目がキラキラしてて、拓も嬉しくなる。
「あなたには負けないわよ! なんかやたらめったら狙いが正確だけど、パイロットで……じゃなくて、ゲーセンのパイロットで鳴らした腕は確かなんだから!」
「紺乃、もう訂正しなくていいんだぞ」
「そっ。父さんと母さんがでっかいロボに乗ったとこ見てたんだから!」
「そ、そうだったわね。ヒロ、あなた、見てなさい! パイロットの腕を!」
次々に撃たれていく商品を見ながら、拓は、空に向かった機体を思い出す。あの時の両親は、最高にカッコよかった。
今だって、それは変わらない。
◆
「チエコ様! 頼まれていたベビーカステラ買ってきました!」
「次は射的ね。あんた、あのゲーム機獲ってきなさい!」
「アイアイサー!」
◆
「はっ! クマの! きぐるみが景品に!」
「……貴方、あんなのが好きなの?」
「なんかココロにビシっときたんすよ! ちょっと射的ってくる!」
◆
「天戸、的当てしようぜ!」
「う、うん!」
成り行きで出会った、初めての同年代の子達。初めてのお祭り。初めてだらけだ。遊びに誘われたとき、番匠達は「これも縁だ! 行ってこい!」と背中を押され、小学生のグループを混ざった。
賢は少し戸惑ったが、彼らはあっという間に自分を受け入れてくれた。
だから、このお祭りを素直に楽しもう。
射的の欲しいものはよく分からなかったが、カラフルな缶を狙って撃つ。
「おう! お前さん、ケチャップの缶だぜ!」
「えー? お菓子じゃねーの?」
「チョコパイとかくれよ! んなマニアックなもん置いてないでさ!」
ぶーたれる彼らに、賢は笑顔を見せた。
「これもいいよ、保存が効くし」
「え? それでいいのか?」
「うん。僕、ケチャップ大好きだから!」
特にオムライスなんて大好きだ。
◆
「……なんで私が……いや、監視なんだな? 監視の一環なんだな?」
「疑い深くてはいけませんよ。日頃ステーキハウスの開店準備で頑張ってくれているので、労いの一環です」
「……祭りなど、来たこともない」
マリーゼは、京子の強固な表情を見、しばらく考え。
「では、初心者の楽しみ方を教えてあげましょう。……本当は私もあんまり来たことがないんですね」
「おういマリーゼ君! 京子君! 人手が足りない、来てくれないかー!」
「司令があんな調子ですからね」
「……」
京子は苦虫を噛み潰したような表情で、深く溜息を吐いた。
◆
「射的人気だなぁ……」
店主は呟いた。
次週に続きます!




