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祭囃子の夜③

「あ! お面かわいい!」


「お前の母さんたちも着けてるよな、仮面」


「まぁそだけどさ」


「ご両親は相変わらずなのね……」


 水生が呟く。陽給の転校前から変わらないのか、あの両親。


「ま、ママ達のことはいいでしょ! ほら、このお面! キャラメルライダーだよ! 昔見てたでしょ?」


「だったっけな」


「だったよ! ほら、このキャラメルメルト1号とか!」



 2人はお面を、至近距離で見合っている。至近距離で!


 水生は思う。これこそ、2人の距離が縮むチャンス!


「えいっ」


「うわっ!?」


 水生は火ノ原の背中をとん、と軽く押す。目の前には陽給が! 2人の急接近を試みる!



 顔が思い切り近づいた。慌てて離れる。慣れない挙動をしたせいか、足がもつれて転ぶ。砂の味を感じながら水生に毒づいた。


(水面緒め……!!!)


 しかし、当の陽給は。


「わー、大丈夫ー?」


 火動が転んだことにしか心配していなかった。しかも気楽に。突如転んだ、くらいにしか考えてないようだ。……水面緒は陽給とくっつけたがっていたが、果たしてこいつは火動を意識するのか?


 激しく疑問が湧いたが、水面緒たちは金魚すくいへと移行していた。


 金魚すくい。


「2人1組! でいいよね!」


「今、3人しかいないんだが」


 火動のツッコミはさておき、陽給は浴衣の袖をまくって臨戦態勢に入る。水面緒も同じく。


「行くよ水生ちゃん!」


「ええ、陽給ちゃん!」


 2人のコンビネーションは。


「えいっ! ……えいっ! 店主さん、この金魚に加速装置入ってない!?」


「嬢ちゃんの動きを上回ってんだよ……」


 水生の動きはひたすら不器用だった。金魚がすいすいと逃げていく。


「ファイトだよ水生ちゃん! こう、動きを読んで!」


「ブイの動きを!?」


 完全に混乱していた。


 結果。


「1匹……1匹だけ……」


 意気消沈した水面緒が呟く。残念賞だった。


「か、かわいいじゃん! つ、次は火動とね!」


「あぁ」


 こうなったら流されよう。


 陽給の動きを読み、金魚が逃げそうな方向にブイを入れる。金魚は狙い通りブイの上へ、そしてお椀の中へ入っていった。


「火動、ナイスアシスト!」


「どうも」


 結果は5匹。


「ずるーい……男の子の身体能力ずるい……」


「そこはどうにもならないだろ」


 水生がジト目で睨んでくる。正論を言うと、頬を膨らまされた。


 果たして水面緒水生は、己の野望を達成できるのか……!?


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