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アイドル+パイロット=!? ②

というわけで、アマテルにアイドルが来た。


『はぁーいみんな! 今わたしはアマテルに来ていまーす! アマテルは、巨大ロボットからみんなを守ってくれる大事な組織! 今日は何と! このわたし、薔原きゃろちゃんがロボットに乗っちゃいまーす!』


 マネージャーに案内され、カメラを回されている彼女を、ジャンは離れた場所から見る。


「きゃろちゃん……年齢不詳アイドル、さすが実物でも年齢不詳のジュニアっぷり……!!!」




 そのちょっと前。


「私が……きゃろちゃんのロボを……!!!」


「あぁ。……私は司令として、インタビューとやらに答えなくちゃならないらしくてな。……ぶっちゃけこれっきりにして欲しいよ、インタビューってどうすりゃいいんだ。芸能界って面倒だぜ……」


 相当疲れているのか、珍しく司令の口調が崩れている。


 だがまぁ、自分が名指しなのも分かる。空想は思い入れのあるものほど頑丈に、精細に出来上がる。きゃろちゃんに入れ込んでいる自分ならば、「お客」を乗せても恥じない機体を作ることが出来るだろう。




 自分の相方になると説明された男は、なんとなく胡乱な印象だった。きゃろの中でスイッチが「素」になる。別にきらびやかな自分を作る必要はないだろう。


「ロボのデザインだけど。これ作ってね」


 差し出されたのは一枚の絵だった。


「ウサギ型! アメとかリボンとかかわいくね!」


「うわぁむつかしそう……できるんですか、副指令さん?」


「できますよ。棺に、実現できない空想はありません」


 目の前の男はものすごくノリノリだ。今にもあいあいさー! とまで言いそうなノリ。


「あとナイフ。いざという時刺せばなんとかなるでしょ」


「きゃろちゃん、アイドルアイドル! ナイフなんて物騒なものはいらないの!」


「えー、美少女パイロットには必須じゃない?」


「可愛くキュートに倒しての! あ、シメは文字通りきゃろなビームで。お願いしますね、副司令さん?」


 マネージャーの注文に頷く。司令はガンマルムを発現し、柞間はメカエリナを造っているが、別にロボットでなければいけない理由はない。それが戦いにおいてやりやすいだけで、棺の巨神はこういった柔軟な発想も可能である。


「ナイフは薔薇の意匠を加えるなんてどうでしょう?」


「いいわね! 薔原の薔は薔薇の一文字。あんた、なかなかセンスいいじゃない!」


「えー?! だからナイフは無しですってー!」




 ジャンは心の中でニッコニコである。推しに自分の提案を採用してもらうことほど良いものはない。


「可愛い中にも刺激を。なによりそっちの方が戦場に向かうアイドルらしいじゃない? ……あずき納言には負けないんだから……」


 あずき納言とは、最近売り出し中のYAH! TUBERである。顔出しはしておらず素顔は不明だが、3Dモデルにも負けず劣らずの美少女という噂がまことしやかに囁かれている。


 発信される動画はタコ焼き一気食いとかチョコを造ろうとして噴火させる実況など、センセーショナルなパフォーマンスがやたらと見られ、刺激に飢えた少年少女の心をかっちり掴んでいる。しかしその中に、どこか高い教養を感じさせる言動がちらほら現れており、そのギャップでさらに人気を呼ぶ。今やランキング一桁台の常連なのだとか。


 ジャンは彼女の動画を見たことはないが、YAH! TUBEのおすすめに上がってきたり、シンックスのトレンドに入っているため名前と容姿は知っている。名前の通り、和を基調としながらビビットな彩りの動画だった。アイドルと華やかさは変わらない。


 生身のアイドルと3DのYAH! TUBERはどちらが上でなくても、推しがのし上がりたいというなら叶えてやりたいのがファンというものだ。


(これは成功させなければいけませんね)


 このPRは、間違いなく彼女のこれからを左右する動画になるだろう。技術が発達した現在でも、巨大ロボットに乗るアイドルは前代未聞だ。年代問わず注目されるに違いない。


 ジャンはこっそり内心で拳を握り締めた。

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