救出
日記:地球歴 残存記録 第195日
#場所:独立星系連合 主要拠点惑星 『エレーナ』ガデール共和国首都 『カラサクス』独立星系連合元老院会議場地下
【ザビーダ大尉視点】
「まさか…あの方が。」
「あれが誰だか知っているのか?ザビーダ大尉。」
「アルカディア帝国マリーク第二皇子殿下だ。」
「どうしてこんなところに…」
「決まっているだろう?ここにあの方がいて、敵組織とあれほど親密に話している。」
「まさかこれは…」
「クーデターを起こすつもりか…まずいこととなった。早急に姫様を救出して陛下と協議せねば。」
「では…動くとしよう」
「あれが戦闘ドロイドか。」
〈あの姫様…なんで捕らえたんだ?〉
〈知るか。司令官の命令だ…〉
〈お前ら黙れ。任務に集中しろ!〉
「ドロイドが言葉を話すのか?」
「だが、姫様の居場所がわかったのは好都合だ。ザッシュ二等軍曹。エルダー二等軍曹。各々中隊を率いて、撤退用意をしておけ。」
「「かしこまりました。」」
「では…行こうか。」
「俺の合図であの3体を倒すぞ。頭と胴体の根元を狙え。1.2.3…撃てぇ!」
〈うぎゃー〉
〈ぎゃー〉
〈ぎゃー〉
機械音とともに3体が倒れる。俺達は、そのそばを抜け、姫様が捕らえられていると思われる部屋をこじ開けた。
陸軍の小隊が突入する。
俺も続いて入室する。中にはお人形のように整った顔立ちの少女が部屋の隅で震えている。
俺は覆面マスクを外して声をかけた。
「シェリーナ皇女殿下。私です。」
「イルメシアス男爵様…?」
「はい。お助けに参りました。お父君もガルガンティア公爵閣下も惑星宙域にてお待ちです。」
「お父様も私のために?」
「南部方面軍全軍をもってお迎えにあがっております。直ぐに出ます。動けますか?」
「はい。でも…マリーク兄上が。」
「そのことは、陛下のもとに戻ってからといたしましょう。」
「そうですね…護衛を頼みます。」
「姫様…私の後ろにしっかりついてきてくださいませ。」
エルシャル子爵閣下もマスクを外して声をかけた。とても柔らかな声だ。
「エルシャル。あなたも来てくれたのね。」
「私がそばにおりますので、お気持ちを強くお持ちください。」
「参りましょう。」
「ここを曲がれば、格納庫です。既に2個中隊で確保済みです。…いや、少しお待ちを。」
俺が角からハンガーを覗くと…
中隊が倒されている?
ドロイドの軍勢。そして…
「シェリーナぁぁぁ!!!逃げられと思ったら大間違いだぞ!お前はここで俺と暮らすのだ!独立星系連合の王妃でしてな!」
「そんな…兄上。」
「エルシャル大佐。先行部隊は全滅です。」
「ザビーダ大尉。姫様を頼みます。あなたの機体なら、2人搭乗出来るはずだ。うちの1個中隊とヘリ部隊を護衛につける。お前たち…ザビーダ大尉と姫様をきっちり守れ。」
「大佐はどうされるのだ。」
「奴らを引きつける。隙は一瞬しかない。駆け抜けろ。」
「それでは皆さんが…」
「姫様。貴方が帰還すればこの作戦は成功。帝国は全軍を持って敵と戦えます。どうか…私のことよりも帝国国民全体のことをお考えください。」
「エルシャル…ごめんなさい。そして…ありがとう。」
「ご武運を。ザビーダ…後を頼む。」
「おまかせを。」
「行くぞぉぉぉ!!!」
決死部隊がハンガーに飛び出し、手榴弾を敵ドロイドに投げるとドロイドが彼らに向く。爆発と同時に彼らがドロイドに向けて総攻撃を行う。ドロイド達は全員そちらに向く。
俺と姫様と護衛部隊はその背後を走り抜けて行く。
姫様をコックピットの後部座席に乗せ、俺も乗り込み、他のヘリ部隊、護衛航空部隊が乗り込み、エンジンをかけると流石に敵も俺達に気付き発砲してくる。
「大尉!行ってください!ここは我々がぁ!!」
航空機部隊の離陸の間、俺たちの背後をヘリ部隊がカバーしてくれている。
「皇帝陛下バンザぁぁぁい!!」
「アルカディア帝国に栄光あれ!!」
俺達全機が空に上がる頃には、ヘリ部隊も全滅していた。
「イルメシアス大尉…私の…私のせいで…あの方々が…」
「姫様。我々軍人は民を守るためにおります。民を守るために命をかけることは誉れであり、彼らは名誉の死を遂げたのです。哀れんではなりません。彼らの死を無駄にしないためにも姫様は逃げ延びねばなりせん。」
「くっそぉぉぉ!!!」
「どうしたんだよ。皇子様〜」
「のんきなこと言うな!それに私は皇子ではない。この独立星系連合の国家元首であるぞ!お前はさっさと部隊を率いて私の后を奪還してこい!」
「へいへい」
「さてと…お楽しみの時間だ。」




