後輩のくせに…
#日記 地球歴残存記録 第189日
#場所:南部方面軍旗艦インペリアル・シールド 下士官食堂
「どうだ?美味しいだろう?」
「はい!軍の食事って味が濃いものとか塩分が多いものとかもしくは、淡白なものとかそんな感じなのかと思っていました。」
「帝国でもそう言う食事がこれまで多かったんだけどな。南部方面軍には大規模な航空師団が所属していることもあるんだが、一番大きいのはガルガンティア公爵閣下がいらっしゃるのが大きいかな。」
「では、他の方面軍では違うんですか?」
「勿論だ。こんなに豪華な食事が出るのは南部方面軍だけだろうな。」
「総司令閣下のご移行ですか?」
「どちらかと言うと、皇帝陛下の移行かな。陛下がまだ皇太子でいらっしゃったとき、数年間南部方面軍にいた事があってな。その時の経験がもとに軍の食事改革が進められたんだ」
「でも、軍上層部は伝統だなんだと反対され、南部方面軍だけこうなったということですか?」
「そうだな。」
「なるほど。」
俺が帝国軍についてザビーダ少尉からあれこれとしていると…
「おい!」
俺は自分が呼ばれたように感じた。
俺はそこで少尉に向けて、アイコンタクトをして預かっていた記録媒体を作動させた。
少尉はその様子を見て満足そうに頷き、小さな声で「うまくやれよ」といい、俯いた。
「私ですか?」
俺が振り向くと…
「そうだ!奴隷から解放されたからって調子に乗ってるんじゃない!お前は後輩だろう?俺たちに食事を用意しろ!」
そう言って俺の肩を掴んで命令してきたのは、伍長が1人と三等軍曹が2人だった。俺は記録媒体を少尉に手で隠しながら渡してながら立ち上がった。
少尉はそっと受け取ってくれた。
「後輩だからなんです?そもそもその軍服。陸軍の方ですよね?」
「だからなんだ!」
「私は空軍です。あなたの直属の部下ではありません。整備特務大尉エルド様にお聞きいたしましたが、空軍である場合、従うのは空軍の上官。私はその方から自由に動いてよいと仰せ使っております。貴方がたに従う理由すらないと思いますが?」
そう言った俺を先頭にいた伍長は近づいて胸ぐらをつかんだ。
「後輩のくせに…」
「何度も申し上げますが、私はあなたの後輩ではありません。それに後輩、後輩言いますけど。あなたの階級と私の階級同じですよ。」
「は?」
「聞いていないんですか?私は、航空師団第一戦闘航空団内ファントム飛行大隊内ケルベロス中隊所属。そして、ストライダー小隊の小隊長。エドワード…伍長です!!」
俺はその伍長の目を見て階級章を指差しながらそう言った。
「お前みたいな奴隷上がりが…伍長だと?」
「嘘つけ。お前みたいな奴が伍長なんて、ほら吹くなよ。」
「不敬罪だぞ!この奴隷がぁ!」
ふと…俺の背後に気配を感じた。この匂い…ザビーダ少尉の弟君のルーク先任曹長?
「何の騒ぎだ?兄貴。」
ルーク様は、ザビーダ少尉に状況を聞いている。
「遅かったなお前。状況?見りゃわかるだろ。空軍の優秀な隊員に嫉妬した陸軍の先輩方が先輩風ふかそうとして見事に言い負かされて謀略に訴えようとしている。」
「ほぉ…ダサ笑笑」
「先輩風だと!」
後ろにいた連中が前に出てきてルーク先任曹長に近寄ろうとしていたので、俺は先に口を出した。
「あんたらさ、口より手を先に動かすみたいだけどさ。まずは、俺の後ろにいる2人の階級章をよく確認してからにしろよ。」
俺の言葉に苛ついた顔をしたが、言われたように確認すると…みるみるうちに顔が青ざめていった。
「それで?私はいつまで胸ぐらをつかまれてればいいんです?」
「そうだな。うちの部下の胸ぐらをどうして貴様らがつかむ権利があるんだ?」
そういうと大人しく手を離して、3人とも元いた位置で直立不動で固まった。
「ゲイル伍長…貴様、総司令閣下から身分差別について指摘されて二階級降格されたことをもう忘れてしまったか…?ほんの一週間前だろう?他の二人もマゼル三等軍曹、カラル三等軍曹。彼の直属の上官であるルーク先任曹長とさらに上官であるこの私の前でよくもまぁ彼を殴ろうとしたものだ。」
「い…いえ、私は軍律を教えようと…」
「私の前で嘘を口走るつもりか?」
「いえ!我々はそんなこと…」
少尉は記録媒体を、三人に示したうえでとどめを刺した
「これは現在我々イルメシアス男爵家とイルメシアス伯爵家にて製作しており、完成間近となっている記録媒体だ。この存在は勿論、総司令閣下もご存じだ。ここに貴様らの愚行の証拠がきっちりと残っている。いま貴様らが続けた嘘の証言もな。ついてこい。総司令閣下の下へゆくぞ。」
少尉はそう言って3人とも強制連行していった。




