後輩のくせに…
「どうだ?美味しいだろう?」
「はい!軍の食事って味が濃いものとか塩分が多いものとかそんな感じなのかと思っていました。」
「帝国でもそう言う食事がこれまで多かったんだけどな。南部方面軍には大規模な航空師団が所属してるからな。俺達は濃い食事取らないんだよ。重すぎるとキツイGで戻しちゃうからな。」
「そうなんですね。」
「君には不要なものか?」
「いえ、体は強くできても内臓は分からないですし、そもそも吐くの嫌いなんで(笑)」
「私もだよ。」
そう俺達が楽しく話していると…
「おい!」
俺は自分が呼ばれたように感じた。
俺はそこで少尉に向けて、預かっていた記録媒体を作動させた。
少尉はその様子を見て満足そうに頷き、小さな声で「うまくやれよ」といった。
「私ですか?」
「そうだ!奴隷から解放されたからって調子に乗ってるんじゃない!お前は後輩だろう?俺たちに食事を用意しろ!」
俺に命令してきたのは、伍長が1人と三等軍曹が2人だった。俺は記録媒体を少尉に手渡して、立ち上がった。
「後輩だからなんです?そもそもその軍服。陸軍の方ですよね?」
「だからなんだ!」
「私は空軍です。あなたの直属の部下ではありません。従う理由すらないと思いますが?」
そう言った俺を先頭にいた伍長は近づいて胸ぐらをつかんだ。
「後輩のくせに…」
「後輩、後輩言いますけど。あなたの階級と私の階級同じですよ。」
「は?」
「聞いていないんですか?私は、航空師団第一戦闘航空団内ファントム飛行大隊内ケルベロス中隊所属。そして、ストライダー小隊の小隊長。エドワード…伍長です!」
俺はその伍長の目を見てそう言った。
「お前みたいな奴隷上がりが…伍長だと?」
「嘘つけ。お前みたいな奴が伍長なんて、ほら吹くなよ。」
「不敬罪だぞ!この奴隷がぁ!」
ふと…俺の背後に気配を感じた。この匂い…ザビーダ少尉の弟君のルーク先任曹長?
「何の騒ぎだ?兄貴。」
「見りゃわかるだろ?優秀な後輩に嫉妬した先輩が先輩風ふかそうとして失敗した図だよ。」
「ほぇ~」
「先輩風だと!」
後ろにいた連中が前に出てきてルーク先任曹長に近寄ろうとしていたので、俺は先に口を出した。
「お前ら、口より行動を先に動かすみたいだけどさ。まずは、俺の後ろにいる2人の階級章をよく確認してからにしろよ。」
俺の言葉に苛ついた顔をしたが、言われたように確認すると…みるみるうちに顔が青ざめていった。
「それで?私はいつまで胸ぐらをつかまれてればいいんです?」
そういうと大人しく手を離して、3人とも元いた位置で直立不動で固まった。
「ゲイル伍長…貴様、総司令閣下から身分差別について指摘されて降格されたことをもう忘れてしまったか…?他の二人もマゼル三等軍曹、カラル三等軍曹。彼の直属の上官であるルーク先任曹長とさらに上官であるこの私の前でよくもまぁ彼をいびれたものだな。」
「い…いえ、私は軍律を教えようと…」
「私の前で嘘を口走るつもりか?」
「いえ!我々はそんなこと…」
少尉は記録媒体を、三人に示したうえでとどめを刺した
「これは現在我々イルメシアス男爵家にて製作しており、完成間近となっている記録媒体だ。この存在は勿論、総司令閣下もご存じだ。ここに貴様らの愚行の証拠がきっちりと残っている。いま貴様らが続けた嘘の証言もな。ついてこい。総司令閣下の下へゆくぞ。」
少尉はそう言って3人とも強制連行していった。




