アルカディア帝国皇帝
「叔父上からご連絡が頂けるとは…何かございましたか?」
「ユリウスよ。その、叔父上という呼び方やめてくれぬか?お前さんは皇帝陛下で、儂は公爵なのだ。」
「だから?俺からしたら、幼少期から戦略や剣術を手取り足取り教えてくれた優しい叔父さんだけど?」
ふぅ…小童はほんとに昔から変わらん。
まだ皇太子だった頃に先代皇帝であった実兄から頼まれて傅役として、戦場における全てを教えた。
昔から飲み込みが早かったこの子は、次々に儂の教えを吸収していき、優秀な指揮官となった。
幾度かともに戦場を駆けたが、部下達からも慕われる素晴らしい指揮官ぶりじゃった。
まぁ…部下達だけじゃがな…
それでも、儂からすれば今でも可愛い教え子であり、甥っ子じゃ。
呼び方さえかえてくれればの…
「それで、叔父上。本日はどのようなご要件で?」
「あぁ…。ユリウスよ。我が南部方面軍に使徒様が降臨なされた。つい先程じゃ。」
「!?」
「実際に儂もその場におったからな。間違いない。」
「何者なのですか?その者は。」
「元独立部隊121戦闘歩兵師団所属。現南部方面正規軍航空師団第一戦闘航空団内ファントム飛行大隊内ケルベロス中隊所属。そして、ストライダー小隊にて小隊長を務めているエドワード伍長だ。」
「そもそも…121歩兵師団?そんな部隊あったか?」
「最初に言ったろう?独立部隊だと。以前、青い惑星を征服したろう?」
「あぁ。きれいな星だったな。」
「あそこの健康な男性達を奴隷軍人として徴収したことによって生まれた部隊だ。部隊数は1から40,000まである。彼はその中の121番目の部隊の唯一の生き残りだ。」
「それだとさ…彼、帝国を恨んでるんじゃないの?」
「彼の本音は正直分からないが、心根では恨んでいるであろうな。あの星は間違いなく平和な星であった。そこからいきなり戦場につれてこられたのだ。それでも彼は恩に報いると言った。あの言葉は本音だろうな。」
「でも、奴隷から解放したのと市民権と階級を与えただけでしょ?」
「後ろ盾も与えた。イルメシアス男爵とその一族をな。」
「確か、南部方面軍の航空師団を率いている一族だっけ?」
「あぁ。あそこの若き当主であるザビーダ少尉に委ねてある。儂も最大限協力するつもりだ。」
「そうしてあげてよ。彼も使徒なら、是非会ってみたいから。沢山功績あげさせて、有名にして、階級をあげて、なるべく早く皇宮に連れてきてよ。その為にエドワードなんて名乗らせてるんでしょ?」
「…」
「その名前は君が戦場で亡くした嫡男の名前だろう?忘れもしないよ。僕の近習だったからね。いずれは僕の近衛騎士になってほしかった」
「あの子もあの世で誉れたかいだろうな…」
「とにかく、彼の事は頼んだよ。」
「あぁ…」




