帝国軍南部方面軍整備責任者
「会わせたい方って何方なんですか?」
「我々南部方面軍における整備責任者だよ。今、君の機体はこの艦の格納庫にあるんだけど、状態をみてもらってる。」
「直せるんですか?」
「今の若い技師たちには無理だな。今の連中は自動式やドロイド支援型の戦闘曲の整備に特化している。だが、あの人ならたぶん直せるだろう。まだ、マニュアル操作だったときから整備士をしているからな。航空機の整備に関して帝国広しと言えど、あの人の右に出る人は居ない。」
「そんなすごい人なんですね。」
「まぁ、正体は頑固爺だけどな。」
「だ…大丈夫でしょうか?」
「問題ない。あのじいさんが最も重要視するのはパイロットの腕だけだ。未熟者の整備は決して行わない。」
「…」
「まぁ、心配しなくていい。ほら、格納庫に着いたぞ。」
ザビーダ少尉が自動扉を開けると、大きい…広いという言葉では表せない途轍なく巨大な空間があった。
「ここに搭載されていた機体は全て撃墜されてしまったからな。今の護衛機は旗艦を護衛している戦艦や巡洋艦に搭載されているものでカバーしている。今に南部方面軍の本部に到着する。そこで搭載機の補充とパイロットの増員を行う予定だ。」
俺は少尉に従って階段を降りていった。
座って喋っていた整備員達は俺達を見ると直立不動の姿勢になって敬礼しだした。
「彼らにとって君はパイロット達の仇を取ってくれた恩人であり、旧式の機体で敵を殲滅した逸材だ。困ったことがあったら整備員を、頼ってもいいぞ。彼らも必ず守ってくれるはずだ。」
俺は敬礼を返した後、少尉の後を追った。
格納庫の一番奥の扉を開けると、部品がバラバラに置かれた機体があった。
俺が乗っていた機体だ。
やはり相当な損傷を負っている。
「エルド爺。少しいいか?」
「ザビーダか?ちょっとまっとれ。」
機体の下から出てきたのは、ドワーフのように小柄で筋肉質な老人だった。
「エルド爺。紹介するよ。この機体のパイロットで俺たちの恩人であるエドワード伍長だ。エドワード伍長、彼が帝国軍南部方面軍整備責任者であり空軍整備特務大尉のエルド爺だ。」
「エルドじゃ。お前さんがこの機体のパイロットじゃな?」
「はい!エドワード伍長です。よろしくお願い致します!」
「ほほほ。良い良い。そんな堅苦しいのは。お前の戦闘記録はその機体と報告書から確認しておる。見事なもんじゃ。」
「ありがとうございます。」
「この機体は儂に任せておけ。今の技術を運用してより高性能な機体に仕上げてやろう。」




