ここは…
「ここは…」
俺は確か、戦闘機で戦って…撃墜されて…不時着したはず…。死んだはずだから、ここは天国なのか…?
「天国ではないぞ?」
ん…誰だ?俺のそばに誰かいるのか?
俺は顔を横に傾けた。
そこに明らかに高位の階級章着けた軍人が椅子に座り、コーヒーを飲んでいる…!?
俺は飛び起きて、ベッドに土下座をした。
「私のような奴隷を助けて頂き、誠にありがとうございます!」
俺は必死の思いでそう伝えた。
「恩人を助けることは当然のことだ。それに君は既に奴隷ではない。」
「…奴隷ではないとはどういうことでしょうか?」
「南部方面軍総司令、アルカディア=ガルガンティア総司令閣下から恩赦が下った。君の功績に対して、奴隷身分の解放、帝国市民権の授与、帝国軍正規部隊への加入及び伍長への昇進。」
「私が…伍長?」
「そうだ。私はザビーダ=イルメシアスだ。帝国において男爵位であり、帝国空軍少尉を拝命している。南部方面軍において航空部隊の隊長をしている。」
「まことに失礼なことをお聞きいたしますが、航空部隊の指揮官にしては階級が低くありませんか?」
「なら君は航空部隊の指揮官にはどのくらいの階級が必要だと考えるか?率直に答えなさい。敬語は不要だ。」
「南部方面軍が陸軍と海軍に特化している部隊ということは、奴隷部隊にいたお話好きな軍人から伺いました。しかしそれでも、航空師団を率いるには、大佐や少将クラスでなければ…」
「君は、民間人にしては軍について知識があるようだな。」
「アマチュアのサバイバルゲームが好きでした。母国では現役の兵士達と撃ち合ったこともあります。その時に色々と教わりました。」
「君の言う通り、方面軍における航空軍を統括するには、大佐であることが必須条件となる。ただ、わが軍では航空軍の殆どが撃墜され、多くの将校達が戦死した。生き残っている最上位が私になる。」
「なるほど…」
「それと、君はこれからエドワードと名乗るように。奴隷前の名前と認識番号は忘れろ。」
「少尉に従います。」
「そうか…動けるか?」
「ええ。激しい動きは難しいですが。」
「少し、君の戦闘能力を確認したい。別に対人戦闘を今からしろとは言わん。射撃能力と航空シミュレーションにて腕前を確認しておきたいのだ。」
「それでしたら。」
「では、ついてきたまえ。エドワード伍長。」




