開業への第五歩目 ~ 『 まだまだやることいっぱい 』
カルテ、診察券、薬袋なども作らなきゃいけない。
カルテは自分で印刷出来るし、薬袋は既製品を使うにしても...。
診察券は作ってもらわないといけないね。
ならばその前に病院の名前を決めなきゃ...って、もっと早く決めろよ。
一度決めちゃったら簡単には変えられないので、かなり悩む...。
病院名に自分の名前を入れる気はないんだよね...。
町名とかもぱっとしないし...。
何か思い入れのある単語でもあればなぁ...。
言いにくいと電話に出た時に噛んじゃうし...。
悩むなぁ。
そんな感じで数日悩み考え、やっと名前が決定した。
最初に感じた印象って大切だよね。
初めて病院の土地を見たときの感じ。
そう、ひなたぼっこ動物病院。
これでいい。
そして、その名前にあわせたロゴも自分で作った。
カルテは、いっこく橋で使ってるのを1枚もらってきて、それを参考にしてMacで作ることにした。
出来上がったカルテのすみに、決まったばかりの病院の名前を入れる。
おお、なんだかそれらしく見えるぞ。
ちょっと、うれしくなった。
そんなことでMacをいじってる時に「受付どうしよう...」って思った。
カルテの管理と会計。
いっこく橋では、パソコンの受付ソフトを使ってたものね。
先々のこと考えたら、最初っからデータベースで管理した方がいいよね。
手書きの計算書もかえって面倒かもしれないし。
とりあえず、受付会計のソフトがどれくらいするのか調べてみた。
たっけー...。
ダメだ、そんな予算はない。
それにマックのってないんだよね。
いざと言う時、Macなら自分でなんとかできるかもしれないけど、Windowsじゃお手上げかも...。
よし、まだ時間はある。自分で作るぞ!
てなわけで、まずは本を買ってファイルメーカーの勉強からはじめた。
その頃、院長に紹介してもらった菊池さんに会った。
病院の近くのコーヒー屋さんにやってきた彼女は、ショートカットで眼鏡をかけ、まだ少し幼さが残る顔立ちの子だった。
「はじめまして」
お互いに緊張してるのが分かる。
でもしばらく話してるうちに会話が楽しくなった。
いつの間にかお互いが最近やり始めたゲームの話になっていた。
「まだ、開業前だから。これから一緒に病院を作ってくつもりでよければ、来て」
最後にそう言って、別れた。
昼間は、いっこく橋で手術。
帰りに病院の建築現場によって進行状況の確認、そしてマンションに戻って夜は受付ソフトの製作...。
こんな日が続く。
受付ソフトは、まずカルテのデータベース部分と会計部分とに分けて作ることにした。
カルテ部分は通常のデータベースで問題なし。
ワクチンの接種日、フィラリア予防の日付けが入るようにした。
会計部分がちょっと厄介。
まず、カルテ番号を入れることによって、名前住所などをカルテのデータベースから引っ張ってくる。
そして、処置のデータベースにあらかじめ入力してある項目を診療ごとにプルダウンで選択して金額を合計。消費税等を計算して請求金額を出す。
これのレイアウトを変えて印刷することによって、患者さんに渡す計算書とした。
さらにワクチンの証明書も、カルテ番号を入力して名前住所などを自動入力。
ワクチンの種類はチェックボックス。
接種日を入れることによって、次回の接種予定日も自動入力。さらに接種日がカルテのデータにもフィードバックされるようにした。
これはフィラリアの予防薬も一緒。
こうしておけば、その月に出すワクチンのハガキとかフィラリアのお忘れが検索可能だものね。
で、ついでに日計、月計、年計も出るようにした。
そして、デバッグ。
途中、何度も頭が爆発しそうになったぞ。
完成までに何日もかかったけど、これだけのことが出来れば十分でしょ...。
何かあっても自分で対処できるしね。
かなりお金の節約になったはず。
最後に、ソフトが立ち上がったときのtop画面に、病院の名前とロゴを入れた。
すっげー、ちょっといいかも...。