エピソード5
荒れた駅に1両の電車がドアの開いたまま止まっている。しかし、越島ミノルは思わず出口に走ろうとしていた。一瞬、そのまま電車に入ったら、異なる世界に吸い込まれるとも思った。駅構内を出た瞬間、彼は気を失った。
目を開けると、越島ミノルは自分が洞窟の中にいることに気づいた。逃げようとしたが、縛られ、口をふさがれ、まったく身動きがとれない。
ゴブリンが彼のスマホを持って操作している。
「人生は悪くなりようがないから良くなるし、多くのことは、頑張れば乗り越えられるんだ。だがそれはおとぎ話のようなことだ。500ラーファコインっていくらだと思う?日本円からしたら…20億円だよ。そんなにおいしいこと、自分に回ってくるとも思った?」
越島ミノルは泣くこともなく、叫ぶこともなく、茫然自失の状態だった。20億円って、原画の単価5000円から割っても、何枚が必要なのか?
「従わなければ、非常に悪質な罰が待っているよ。」
蒸し暑い洞窟の中に数時間置かれた越島ミノルが今望んでいるのは、シャワーを浴びて寝ることだ。
拷問の日々は終わりが見えないようだ。その日から彼は密かに脱出を計画した。 しかし、逃げることはできなかった。実に、そんな日々は僅か数日しか経たなかったから。森の中に、ぽつんとスタジオが立っている。彼はそこに連れられて、描くことを強いられてきた。
ゴブリンの着ぐるみを脱いだ女の子が心場町に戻って、バスで都会に戻った。国際展示場に出席した。
「アニメを作るAIを開発した天才プログラマー、▽▽さんがゲストとして来ました」
司会者が言う。