かわいいフランス人は、少し控えめみたいです
ついに、ルームメイトの登場ですね……!
どんな子なんでしょうか!?
かなり不安になって緊張して部屋に入ったのだけれど、
そんな心配ご無用だった。
なぜなら中には、ひとりのかわいらしい女の子がいたからだ。
大人びた顔立ち。しゅっと通った鼻筋に、真っ白い肌。
そして極め付きは、少し黄色がかった白色の髪の毛と、灰色と水色を混ぜたような、薄い色素の瞳。
私はほとんど村から出ていなかったから、外国人との交流も皆無に等しい。
両親から虐げられている私が海外旅行はおろかどこかへ遊びに行ったこともなく。
初めて見る日本人以外の姿に目を見張る。
「あれ、皆さん……」
彼女は、首を傾げて私とユウを交互に見る。
「もしかして、ルームメイトの方ですか?」
Roommate.
発音が英語で変換されるほど、彼女の発音はよかった。
彼女は慌てたように手を振る。
「申し遅れましたね。私はエメラルド・シモンです。両親どちらもフランス人なんですけど、お母さんが小学生のときくらいに日本に来て、ほとんど日本語を話しているので、フランス語、英語、日本語の三か国語はしゃべれます」
「へ……」
私は思わず間抜けな声を出してしまった。そんな私を、ユウが鋭く睨んでくる。
すいません。頭の中でそう呟きつつ、「えっと」と言葉を選んで続ける。
「私は神崎リオ。ルームメイトだよ。あと……敬語じゃなくていいよ」
「あっ、いえ、私はこれが主流なので」
やんわりと断られて、ユウが「ぷぷぷっ」と馬鹿にしたように笑う。
――うるさいな! あんただって同じこと、考えていたくせに!!
「ええっと、そちらは?」
「私? 私は桜木ユウコ。あそこにいる女が勝手にユウって呼んでる」
「女⁉ 失礼な!」
「そうなんですか。じゃあ私もそこにちなんで、ユウさんと呼ばせていただきますね。そちらは、リオさんで大丈夫ですか?」
「大丈夫!」
私は大きく頷く。そしてすぐ、疑問に思って尋ねた。
「じゃあ私は、シモンさんのことをなんて呼んだらいいの?」
「えっと、エメラルドで結構ですよ。シモンって、少し呼びづらいと思うので」
「私は本名で呼ぶ派なのよ。シモン・エメラルド」
「じゃあ私はエメラルドって呼ぶ」
私が言うと、エメラルドは嬉しそうに顔をほころばせた。
――かわいいっ! これぞ本当の女神よっ!
「これからよろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしくっ」
「あら。入り口で止まっていないで、早く中に行きましょうよ」
ユウがせかすので、部屋に入ると。
そこには、驚くほどの景色が広がっていた。
まず飛び込んできたのは、リビング。ふかふかそうなソファーに、きれいなクリーム色のテーブル。
あとは、いくつかに部屋が分岐していて、そのうち一つが三人分のベッドが並ぶ寝室、もう一つはトイレ、もう一つはミニキッチン、もう一つは自由に使えるんだろう部屋。
浴場は外にあるし、普通は食堂で食べるから、夜中とかにお腹がすいたときに軽く料理もできるのは嬉しかった。
「わぁ……」
私は感嘆の声を漏らした。
――すごい。すごく豪華だ。
ほかの部屋がどんなものなのかは分からないけれど、たぶんこの部屋がいちばんいいんだろうな。
ぼんやりとそう思っていると、校内放送が入った。
『ピーンポーンパーンポーン。
新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。
さて、そろそろ夕食の時間ですので、食堂へ来てください。
昼は弁当持参だったと思いますが、夕食は食堂にお集まりください』
「あっ、夜ご飯ですって!」
エメラルドが飛び上がって喜び、部屋を出て行く。
私もつられて出て行った。
エメラルドの登場は、連載当初から決めていたことなので、やっと書けて嬉しいです。
そんなに私もフランス人にお会いしたことはないのですが、
「かわいいフランス人の女の子はこんな感じかな?」
と想像を膨らませて書きました。
もし感想ございましたら書いてくださると嬉しいです。それでは。




