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女神なんて名前、復讐しようとしている私には似合わないです

 宿舎に行くと、同じ部屋で過ごすメンバー、いわゆるルームメイトが発表された。


 二人から四人の人数で割り当てられる部屋はそれぞれ呼ばれる名前が違っていて、毎月行われるテストによって部屋を変えているらしい。


 最初なので、入学試験の結果でそれぞれ割り振りしているという。


 一応言っておくと、私は入学試験で一位をとった。推薦だったけれど、それでも試験は一般とほぼ同じものを受けた。時期は推薦の方が先なので、さすがに同じ問題とはいかなかったけれど、それでもかなり難しかったと思う。


私が推薦をもらった理由として、代表的なものを述べておくと、偏差値は七十近くの難関校だし、推薦をもらった陸上が強いというのもあった。でもいちばんの理由は、宿舎付きだったからだ。


 いまどき宿舎付きで高偏差値で陸上強豪校の高校はあまりなくて、ここに推薦をもらえたときは絶対に入学すると決めていた。だから推薦とはいえ勉強を頑張ったし、そのお陰でいちばんをとれたときは純粋に嬉しかったし、「美人で頭がいい」という称号をもらえるのはいい気分だった。


「ねえ、神崎リオ」


 声をかけられて振り向く。そこにはさっき別れたばかりの桜木さんが立っていた。


「あ、桜木さん」

「あ、じゃないのよ。ていうか、デエスってどこ?」

「でーす? 何言ってんの?」


 言われていることの意味が分からずきょとんとする。

 桜木さんは呆れたようにため息をついた。


「ほんとにあんた何なの。部屋割り、見た?」

「いや、これから見ようと思って」

「ほんっととろいわね。これだから神崎家の人間は」


 馬鹿にしたように笑う桜木さんにむっとする。

 でも私はあえて何も言わない。こういうときは、ノーコメントがいちばん。


「あんたが試験一位なんでしょ? 私、二位だから。部屋割り一緒なの」

「え、桜木さんと?」

「その呼び方やめてよね。桜木って苗字は好きじゃない」

「じゃあなんて呼べばいいわけ」

「さあね、なんでもいいわよ」

「じゃあ、ユウでいい?」


 ユウコ、という名前はなんだか長く思えたから二文字にする。ユウは「好きにして」と吐き捨てた。


「で、デースっていうのは、うちらの部屋の名前。意味は女神とか、そんなやつ。人数は私とあんたとあと一人の三人構成ね」

「え、じゃあ、三位は誰なの?」

「知らない。確か、ハーフの子だったと思う」


 部屋割りは、クラス混合なので、私たちの知らない人もいっぱいいるんだろう。


「ハーフ?」

「ええ。名前が、シモン・なんとかっていうやつだったから」

「ふぅん。どんな子なんだろ?」

「とにかくデースに行くわよ」


 デース、と呼ばれる部屋の前に立つ。


 扉には、「Déesse」と書かれたプレートがあり、すぐに私たちの部屋だと分かった。

 レトロなデザインの茶色に金の模様が入った扉。


 横を見る。隣の部屋のドアは、金の模様がない。


――私たちはいちばん成績がいいから、学校において「優遇対象」なんだろう。


「何してるの? 神崎リオ」

「ううん、何でもない」

「じゃあ早く入りましょうよ。もしかしたらその子、もう中にいるかも」

「うん。分かった」


 私は素直に頷いて、ドアノブが回るさまを見ていた。


 がちゃり。


 あっけない音とともに、扉が開く。

 ゆっくりと足を前に進めていく。

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