表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

45/50

俺の人生を狂わしたヤツは今  side.雅也

今回も少し短めなんですけど、これからはせめて最後まで、無理のない範囲で毎日投稿したいと考えて、無理のない範囲で区切っています。

今回も楽しんでください!

 自分が何かに操られ、少しずつ自我が消えていくのをわかりながら、俺——柳雅也は、リオにただただ願っていた。


 大丈夫だ。きっと、リオなら俺たちを助けてくれる。


 少しずつ、考えることもできなくなってきた。息が苦しい。もうそろそろ限界なのだと気づく。


 リオが今、頑張ってくれているのだ。もう少し。もう少しで、俺たちは——。




 そのとき、だった。


 突然、体にまとわりついていた泥が振り払われたかのように、体と魂が重なる。


 自分の思い通りに、体が動く。息が、できる。


 周りにいたクラスメイト達も、みんな倒れてはいるが、無事なようだ。


 隣にいた桜木と俺は、能力を持っているからなのか、なぜか倒れずに起きている。


「助かった……のか?」


 自分の両手を眺めながら、俺が独り言つと、桜木が立ち上がった。


「あんまり感動している暇はないわ。早く神崎リオのところへ行きましょう」

「それもそうだな。急ごう」


 俺は桜木と一緒に上の階へと向かった。


 久しぶりの自分の体は、少し不思議な感覚だ。


「にしても、ここが神崎リオの家なのね。結構広いのね」

「そうだな」


 俺が頷くと、桜木はためらいがちに尋ねてくる。


「ねえ、柳雅也」

「うん?」

「なんか、私。神崎リオに、私の過去を覗かれてる夢見たの」

「ああ。俺も見たよ」

「あと、私……柳雅也の過去も、見ちゃった」

「……俺も見たよ。お前の過去」


 お互いに顔を見合わせる。どうやら、リオは俺たちの過去を見たらしい。みんなを助けるために。


 そしてどういうわけか、俺と桜木も、お互いの過去を共有してしまったというわけだ。


「あんたの、お父さん。……本当に、お母さんを殺したの?」

「ああ。本人の記憶は消えちまったみたいだけど」

「へえ。記憶を消せ、って命令したら、その通りになるってこと? 初めて知ったな」

「いや……今思ったんだけど、多分、俺はあの時にすでに願い事能力に引き換えていたんだと思う」

「え?」


 桜木が驚いた顔をする。俺は続けた。


「多分、だけど。……実はあれから、一度も能力を使ったことがなくてさ。俺はもらってすぐ、ダメにしちゃったんだ」

「そう、なんだね。……一度でも能力を持ったことがあったら、その人を操ることもできないんだ」

「そうみたいだ。もしかしたらちょうどその時、お前たち二人が能力を使えない状態にあったのかもしれないな。まあどちらにせよ、俺はもう能力を使えない」

「へえ。……私さ」


 桜木が目を伏せた。一気に雰囲気が重くなる。


「ずっと、お兄ちゃんの仇を討とうと思ってた。そのためには、すべてを犠牲にしてもいいって。だけど、あんたや神崎リオに会って、少しだけ、考えが変わっちゃった」

「ん?」

「私は、大切な人にだけ能力を使うって。そう、決めたんだ」


 俺は目を見開いた。


「とあ~る人」として神崎リオを苦しめたこいつが、そこまで考えを改めるだなんて、思いもしなかった。


 だけど、桜木も同じなのだ。


 桜木もやはり、神崎リオにいい意味で人生を狂わされた。だからこそ、ちゃんと——礼を言わないと。


「ここかな」


 ドアの前に立つ。桜木と顔を合わせ、覚悟を決めてドアを開いた。


「リオっ!」








 真っ先に飛び込んできたのは、一人の少女の姿だった。


 ぼろぼろのワンピースを着て、体中に痣のある少女。


 ——莉緒、だ。


「リオ……?」


 一歩、彼女に近づこうとする。その時、桜木がはっと息を呑み、俺の手を思い切り引いた。


「何するんだ、桜木⁉ リオがいるんだぞ⁉」

「違う。違うよ。それは……神崎リオじゃない」

「じゃあ、どこに……」


 ぴちゃ、と音がして、慌てて下を向く。すると、そこには——。


「……え?」


 桜木が気づくのと、俺が気づくのは、ほぼ同時だった。


 俺たちの一歩先に、一人の少女が横たわっていた。


 長くて黒い髪の毛、投げ出された白い腕、見慣れた制服——。


「り……お?」


 どさっ、と膝をつく。桜木も呆然と倒れた女子生徒を見つめていた。


 胸元のあたりから床に広がった赤黒い血。桜木が女子生徒の胸に手を当てて、首を横に振った。


「だめ。……息、して、ない」

この小説を少しでも面白い!いいね!と思っていただけたら、いいね、評価、コメントの方よろしくお願いします!

それらは私の原動力に繋がっているため、すごく励みになります!

また、アドバイスなども参考にさせていただきますのでじゃんじゃん送ってきてください!!

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

毎日18時投稿(予定)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ