柳雅也の過去5
投稿が遅くなり本当にごめんなさい!
これまで少し忙しく、投稿できずにいました。
でもそろそろ終わりなので、それまで読んでほしいです・・・・・。
本当に計画性の欠片もない投稿頻度ですが、これからは予約投稿などを使い効率的に投稿したいと思います。
今まで待ってくれた方、本当にありがとうございます。これからも楽しんで読んでいただけたら幸いです。
目が覚めると、そこは家のベッドだった。
「ん……」
「やっと目が覚めたか、雅也」
横に視線を走らすと、そこにはお父さんがいた。
雅也はさっきのことを思い出し、さっとお父さんから距離をとった。
「どうしたんだ? 雅也」
不思議そうなお父さんに、とぼけるな、と叫びたくなる。
でも、お父さんは演技ではなく、本当に不思議そうにしていた。
「おかあ、さんは?」
咄嗟にそう呟くと、お父さんは悲し気に目を伏せた。
「俺もよく分からない。お母さんは、何者かに殺されたみたいだ。それを見ていたお前もショックで倒れてしまったらしくてな。大丈夫か?」
「……花子は? 優紀は? 桃は?」
雅也は兄弟の名前を口に出した。お父さんは、「いま連絡したところなんだ」という。
「みんないま学校を早退して帰ってきてる。桃はさっき連れて帰ってきて、そこで寝てしまった。お母さんは救急車に乗せられていったよ」
「ねえ、どうしてお母さんは」
「わからないんだよ。お父さんは、気が付いたらお母さんが倒れているキッチンにいたんだ。お父さん、どうしてだか、記憶がすっぽり抜けちゃってるんだよ」
当時は、お父さんがお母さんを殺したというのは夢なのかと疑った。だが、今ならわかる。あの時自分は、人を操る能力を、お父さんに対して使ったのだ。
何を願ったのかまではわからない。ただ、少なくとも俺は、お父さんの記憶が本当になくなるようなことを——。
それからは、能力のルールを徹底的に覚えた。
実践に移ってみたし、その力がどれだけ強力なのかも知っていた。
でも——。
雅也は分かっていた。
その相手には、一度しか能力を使えないことを。つまり——
もう雅也は、お父さんを操り、貶めることはできない。
だがそんなとき、いい噂を聞いた。
あの能力は、一度だけ願いを叶えられる能力と引き換えることができるらしい。
そうすれば、お母さんを、莉緒ちゃんを、取り戻すことができる。
勿論、莉緒ちゃんもあの世
だから——。
高校に入学して、隣のクラスに美少女がいるという噂を聞いたときは、胸の奥で思っていた。
——何が美少女だ。莉緒ちゃんほどは可愛くないだろう。
そう、思っていたのは事実だった。
だから、友人の健斗に誘われて、美少女の姿を見に行ったときは、本当に驚いた。
真っ白な肌、少し茶色がかったふわふわの髪の毛、大きな目、薄い唇、形の整った眉毛や唇。
すべてが、あの日の記憶と重なる。
「…………っっ!?」
まさか、とは思った。
ドッペルゲンガーか、とも思った。
雰囲気も大人びているし、眼鏡も、顔の傷もないけど、でも、それでも彼女だった。
思わず見とれてしまった雅也を、隣にいた健斗が茶化す。
「何だ? 一目ぼれしたか?」
「……そうかも」
「可愛い子だよなぁ。来年のクラスは一緒になりてえわー」
「そうだな……」
まるで、幻覚を見ているようだった。
ずっと追い求めていた相手が、目の前にいる——。
それは信じられない光景だった。
でも、何も言わなかった。そしてその時、親父に呼び出されて、話をされた。
隣のクラスの女の子、神崎リオは、能力を持っている、と——。
神崎リオ。その名前が、雅也の頭で反響した。
莉緒。莉緒。
容姿は違えど、面影はなんとなく似ている。そして、そんな彼女も、能力が——。
どうすべきか考えていた雅也だが、そんなことを考える必要はなかった。彼のもとに、彼女が来てくれたからだ。
「あなたも……能力を使えるの?」
神崎リオの持っている能力は、雅也と同じものだった。
そこからは、少しずつ仲良くなった。優子とも接点が増え、三人でともに何かをすることが多くなって。でも、それでも雅也は言えなかった。
リオにどれだけ近づいても、この言葉だけはずっと言えなかった。
今、何者かに身体を乗っ取られて。そして直感的に思っている。
これが続くと、恐らく本当に身体を乗っ取られ、そしてもう二度と本当の魂がこの身体に宿ることはない。つまり……。
あと数時間もすれば、俺の魂は死ぬ。
——莉緒、莉緒、助けてくれ。
少しずつ、視界がかすんでいくのがわかる。
ああ、これで終わりなのか。まだ、やりたいことも、行きたいところも、言いたい言葉もたくさんあるのに。俺の人生は、これで——。
最後に思い浮かぶのは、莉緒ちゃんのことばかりだ。そして……。
——莉緒ちゃんに、好きって、言えばよかったな…………。
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